2056
「巡回から戻って早々に来るとは……外で何か起きたか?」
オーギュストも彼の姿から、外から戻って来たばかりと予測したようだ。
何か急ぎの事態が起きたのかと訊ねたが、彼は「いいえ」と首を横に振った。
そして、一度姿勢を正すと「報告です」と口を開いた。
「先程まで巡回に出ていたのですが、雨足が弱りだしました。リアーナ領やゼルキス領での生活が長い者に確認しましたが、恐らく数日以内に雨が止むはずです」
その言葉に、会議室から「おおっ」と声が上がった。
どうやら皆雨季が明けるのを待ち望んでいたようだ。
この場もそうだが、ここ最近色々なところで行われている会議の議題の大半は雨季明けに備えてのものだったし、そういう反応をするのも当然かな?
雨季の期間は大体どれくらいか……ってのはわかっているから、明けるのが何時かってのは予測出来るが、それでも自然現象だし絶対ってことはないからな。
それに……。
「ようやくか。……例年よりも少し期間が長かったか?」
オーギュストもホッとした様子でアレクに声をかけている。
「どうだろうな? 精々数日程度だし……これくらいなら誤差じゃないか?」
「そうか。数日程度とはいえ、魔境に隣接している以上何が起きるかわからないからな。念のため魔導研究所や各ギルドにも意見を求めよう」
慎重な姿勢ではあるが、それでもやはり無事雨季が明けることへの安堵の方が大きいらしい。
この雨季そのものは一応自然現象ではあるんだが……魔力や魔素の影響を受けて、その現象に変化が起きる場合もある。
もちろん、雨季だろうとそうでなかろうと魔境への警戒は怠っていないし、魔境で大きな変化があればそうそう見逃すことはない……とは思うんだが、それでも魔境は広いからな。
ウチの兵や冒険者が踏み入れる範囲よりずっと東の奥の方で何か起きていて、それに気付けていない可能性だって十分ある。
たかが数日とはいえ、オーギュストはその可能性が頭にあったんだろう。
ただでさえ最近は色々魔境絡みでも問題が起きていたし……気にしすぎとは言えないよな。
とは言え、まだ確定ではないがオーギュストもひと安心だろう。
オーギュストは「よし」と言って手を叩くと、皆に向かって口を開いた。
「一先ず外部の意見を待つとして、数日以内に雨季が明けることを前提に予定に組み込んでいく。いいな?」
その言葉に皆は頷いた。
そして、俺にも同意を求めるようにこちらを見るが。
「セラ副長も構わないな? ……といっても、君の場合はどうとでもなるか。こちらで準備を急がせておこう」
何度か俺と一緒に任務で遠出をしたことあるオーギュストは、その辺のこともよくわかっていて、俺が口を開くより先に自分で訂正している。
言うことが無くなってしまった俺は、肩を竦めながら「りょーかい」とだけ言った。
◇
騎士団での会議を終えた俺は、そのまま屋敷に帰ってもよかったんだが……折角だからと冒険者ギルドへの伝令について行こうと決めた。
そう伝えると、オーギュストはすぐに冒険者ギルド宛ての指示書を仕上げて、部下の一人に伝令役を命じた。
んで、地下通路を冒険者ギルドに向かって出発したんだが……。
「多いね?」
「本部に向かう方たちですか?」
「そうそう。さっきオレは屋敷の地下通路から来たんだけど、そっちも多かったんだよね。でも……こっちはそれ以上だね」
すれ違う皆はこの街の人間で、ついでに結構な立場の者ばかりだ。
流石に俺が誰かってのは一目でわかっているため、わざわざ脇に退くと足を止めて会釈をしてくる。
そこまでしなくていいのにな。
「ある程度ルバン卿が治める村の件の情報というか……方針が定まったのでしょう。後は騎士団とどうかかわっていくか……それを相談しに来ているんでしょうね」
「なるほどねー……」
「とは言え、我々も全てに対応出来るわけではありませんから、今日だけでは終わらないでしょう。あと数日は続くはずです」
ってことは、地下通路はしばらく避けた方がいいかもな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




