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リアーナの騎士団が人員募集をしていると代官に公布だけさせて、後の判断は対象者に任せるというアレクの案は、オーギュストもリックも興味深そうに聞いていた。
彼らが今まで経験している騎士団の募集は、各地で代官がしっかりと数を決めて、それに合わせて能力や基準を設けて選別する……ってタイプだったろうし、今回のアレクの提案とは大分違っているはずだ。
確かに一般的なのは前者だが、あらゆる面で忙しいリアーナの現状を考えると、ちょっと即していないんだよな。
職人や農家の次男三男でも仕事はあるだろうが、それでもそこを離れてでも何かしたいって者が目指す場合だと、最近は冒険者が有力候補だ。
昔と違って今はリアーナ内の冒険者の評価も上がってきているし、待遇もマシになってきているからな。
そこを目指そうと考えている者に、騎士団って選択肢を用意する……ってのがアレクの考えだ。
リアーナみたいなド田舎の若者が、いきなり騎士団を目指そう……とは中々考えないだろうし、成果が出るかどうかはわからないが、かかる手間なんて俺の移動と指示を伝えることと、現地での公布程度だし大したもんじゃない。
将来的にどうするかはともかく、現時点ではやって損するような案ではない。
オーギュストはしばし黙って考え込んでいたが、顔を上げるとアレクを見た。
「私には馴染みのない手段ではあるが、検討する価値はあるな。領地全てで……とは流石に出来ないしもう少し場所を絞ってから執務室に持って行こう」
「おう。……文官たちは難色を示すかもしれないが、旦那様や冒険者ギルドの人間なら前向きに考えるだろうよ」
「ふむ……そうなるといいが……まあ、それは後でだな」
オーギュストはアレクの言葉にもう一度頷くと、部屋の皆を見回した。
「後は各々部屋に持ち帰って処理することになるが……一先ず議題は消化したな?」
オーギュストがそう言うと、皆がそれぞれ頷きながら返事をする。
「結構。それでは、セラ副長……待たせたな。君の用件を聞こう」
「……おぉ、そーいえばそうだったね」
何だかんだですっかり俺も会議に参加していたから忘れていたが、俺が今日ここを訪れたのは、一応彼らに用事があったからだ。
「待たせてしまったからな……。丁度今ここに我々が揃っているし、何を聞きたいのかはわからないが、すぐに答えられるぞ」
そう言って、部屋の皆を一瞥する。
俺の様子から大した用事じゃないと察したのか、部屋の空気が一気に弛緩したが、それを引き締めるようにオーギュストが促してくる。
アレクはともかく、リックたちもスッと表情を引き締めた。
「ふぬ……畏まってもらったのに大したことじゃなくて申し訳ないんだけど……もうすぐオレが調査に出発するでしょう? んで、それにウチの兵たちや冒険者たちが同行するけど……その編成がもう決まってるなら教えて欲しいんだ」
「ふむ……ウチから同行する者はもう決めているが……冒険者ギルドからは、三人付けるとは聞いているが詳細はまだだな。必要か?」
「用意するポーションとか魔道具があるでしょう? 全部任せていいんならそれでいいけど……」
「騎士団の任務でもあるし、必要な道具の用意はこちらで引き受けよう。それとは別に……なんだ? おい」
オーギュストが話している途中ではあったが、急なドアをノックする音に会話を中断すると、ドアを開けに行くように命じた。
近くの兵がドアを開けに行くと、何やら話し声が聞こえて来る。
特に焦っているようには聞こえないが……わざわざ今ここに報告に来るくらいだし、何かがあったんだろう。
俺だけじゃなく他の皆もそちらを見ていると、対応に出た者と別の兵も一緒に部屋に入ってきた。
恰好こそ騎士団本部内にいる他の兵と一緒だが、足元や頭が軽く濡れているし、巡回に出ていた者が装備だけ外してきたってところか?
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




