2050
南門での話を終えると、改めて南街の上空を飛んで回ることにした。
警備の兵たちから聞いた限りでは、詰所に話を聞きに来る者たち以外に南街に変わりはなかったらしい。
まぁ……それはわかりきっていたことだ。
こっちは街の施設が多いし、領都の外と関わるようなことはない場所だからな。
ルバンの村の件も領都の北側の調査の件のどちらも、この辺には関係がないんだ。
「基本的にこの辺はいつも通り過ぎるだけだから、わざわざ街の様子を見ることはないけど……こうやって改めて見てみると、他とは全然違うね」
この時期は他のエリアは住宅以外はあまり人の気配がなくて、街全体が静かになっているんだが、南街は外を出歩く者の姿こそ無いものの、各建物内で多くの人間が動いている気配がある。
ウチの地下施設と似たような傾向なんだろうな。
「だからどうって話でもないんだけどね……。戻るか」
南街でやることはもうないし、後は軽く中央通りや広場を見て回ってから屋敷に戻るとしよう。
俺は街の中央に向かって飛んで行った。
◇
一通り街を見て回って来たところで、俺はセリアーナの部屋に戻って来た。
「ただいまー」
そう言って窓から入ると、セリアーナとエレナが「お帰りなさい」と返してくる。
部屋にいるのは二人と使用人たちだけで、テレサとフィオーラはいなかった。
「テレサとフィオさんは?」
窓辺から中に入ってセリアーナの執務机の前に出ると、テレサたちはどうしたのかを訊ねた。
「二人はそれぞれ使いが呼びに来て、仕事に向かったよ。街の様子はどうだったかな?」
エレナはそう答えると、こっちに来るようにと手招きをする。
俺はエレナの隣に腰を下ろすと、一先ず見て来た街の様子を伝えることにした。
「商業ギルドが中心になって工房に武具の作製を頼んでいるか……。それも魔境用じゃなくてこちら側の魔物用のだね?」
「作製……じゃなくて、ある程度出来ているパーツを組み合わせたり仕上げをするってだけらしいけどね。職人たちはそう聞かされてるみたいだし、冒険者ギルドに寄った感じでも、その情報は間違ってないと思うよ」
「魔境産の素材を貯めこんでいるはずだけれど……それは商会がまだ持っているのかしら?」
「うん。貴族街を出てちょっと行ったところに倉庫があるでしょう? そこにまだ保管してるんだって。ルーさんのところにどう関わるのかはまだ決めてないみたいだけど、何にせよ良い武具はまだ後に残してるみたいだよ」
俺の言葉に、セリアーナは小さく溜め息を吐いた。
まだどうなるかもわからないのに、良い物を温存していることに呆れでもしたんだろうか?
「そう……。他所からの護衛辺りが買い求めるかもしれないし……ルバンの所に向かう者が必要になるかもしれないものね」
「今期で領都の冒険者たちに売り切ることが出来なくても、他所から来る者がいればどうにでも出来る自信があるのでしょう。我が国だけじゃなくて、大陸西部ですと魔境産の素材は大分入手手段が限られていますからね」
魔境産の魔物にこだわる必要はないんだろうが……確実に強力な魔物の素材だってわかるのは大きいだろう。
もちろん、探せばまだ大陸西部にだって強力な個体がいるかもしれないし、ダンジョンからだって調達出来なくもないが、やはり魔境産ってブランド力は大きい。
「どの道、質の良い武具は必要になるわけだし、売る相手や方法はかまわないのかもしれないわね。……もうリアーナで活動する反王国勢力は残っていないでしょうけれど、一応売却先には気を付けるように言っておいた方がいいかしら?」
「商業ギルドから方針について報告があるとは思いますが……念のため伝えておいた方がいいかもしれませんね。どの程度制限するかは任せますが、武具だけじゃなくて薬品に使える物などは気を付けた方がいいでしょう」
セリアーナはエレナの言葉に頷くと、「続けて」とこちらを見た。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




