2046
玄関前でたむろしていた彼らは何も朝からここにいたわけではなく、ここでこれからダンジョンに潜る仲間との合流待ちだったらしい。
長時間待っていたわけでもないのに、馬車が何台も……と言っている辺り、商人たちも一気に来たようだ。
……工房エリアも混んでいたし、まだ商人たちが街で色々動き始めたばかりなのかもしれない。
朝のうちに貴族街に出入り出来るお偉いさんがそっちで色々話をして、それから商業ギルドに話を持って帰ってから、加盟している商会と……非加盟の商会の順で情報が伝わって、各商会が動き始めたって感じかな?
非加盟の商会にもわざわざ情報を伝えるものか……ってのも気になるが、今回の場合だと結局はそこの品や伝手も使った方が効率がいいわけだしな。
彼らの話を聞いて、北街やこの辺で馬車を見かけたタイミングだったり理由は概ねわかって来た。
とは言え……あくまで予想に過ぎないし、一応中で話を聞いてみた方がいいんだろうか?
それとも、ここで切り上げて街の様子を見て回る方がいいか……と迷っていると、冒険者たちが声をかけて来た。
「中に入るのか?」
「冒険者もいるが……商人連中がロビーに大勢いるぞ?」
「アンタ商人連中と仲が悪いんじゃないのか?」
「セリアーナ様は違う派閥なんだろう?」
彼らは俺が商業ギルドとはそこまで親しいわけじゃないことを知っているからか、商人が大勢中にいることを気にしているらしい。
「……あんまり親しくないってだけだよ。それも、オレが直接商人たちと関わらないからってのが理由だしね」
確かに商業ギルドはリーゼルの派閥で、冒険者ギルドが傘下のセリアーナとは同じ派閥ってわけではない。
ただ、セリアーナとリーゼルは別に対立しているわけじゃないし、そもそも派閥を作っているわけでもない。
あまり一纏めにすると組織の管理が面倒になるから、それぞれ担当を分けている……ってだけなんだよな。
外からはそう見られておいた方が、情報を集めたりしやすいって面もあるんだろうが……それはわざわざ彼らに話すことではないか。
しかし、そうするとどうしたものか……。
「まぁ……大した用事じゃないけど、折角来たんだし中に挨拶だけでもしておくよ」
わざわざここまで来て、中に商人が大勢いるからって引き返すってのもあからさま過ぎるし、ここは中に入ることにするか。
「そうか……まあ、姿を見せるくらいで揉めるようなこともないよな」
俺の言葉に驚く彼らに挨拶をしながら、俺は扉を開けて中に入っていった。
◇
「……おっとぉ?」
玄関の扉が閉まる音で、ホールにいた者たちが一斉にこちらに振り向いた。
商人たちは普段だと奥の談話室だったり会議室だったり……そこに入れないようなら、受付の窓口で冒険者ギルドの職員たちと商談をするんだが、溢れて待機用の席でも話をしている。
外に停まっていた馬車だけじゃなくて、それ以外にも来ていたようだ。
思った以上いた商人たちの視線に少々ビビってしまったが……気を取り直して中に進んで行く。
一応大半は商業ギルドに非加盟の商人だと思うんだが、少しは加盟している商人もいるんだろう。
中々鋭い視線を向けて来る者がいる。
こうなったら俺も色々出して威嚇してやろうか……?
街中ならともかく、ここは冒険者ギルドの中だし多少の派手な真似も通るだろう。
手を出すのは論外だが、ヘビとか目玉を出すくらいならいけるはずだ。
よし……やるか!
と気合いを入れていると。
「セラ! こっちだ!!」
受付の奥から姿を見せたアレクが、俺の名を大きな声で呼びながら腕を振っていた。
俺も驚いたが、商人たちはもっと驚いたようでサッと顔を伏せたり逸らしたりしている。
「……ふん!」
商人たちのその様子を見てやる気がなくなった俺は、小さく鼻を鳴らすと真っ直ぐ受付の方に進んで行った。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




