2045
職人たちとの会話を終えた俺は、一旦北街の上空に上がって様子を見ることにした。
「まだまだ馬車は北街を移動しているみたいだけど……あくまで北街内での移動だし、他所からも来てないみたいだね。それならこのまま変わりはないか……」
これ以上北街を見ていても得られるものはないだろうと、他のエリアに向かうことにした。
何だかんだで屋敷を出てから三十分以上経っているし、また少し街の状況が変わっているかもしれないしな……。
「中央広場や通りを見てから……東街に行くか」
街の施設が多い南街は見る必要がないだろうし、とりあえずそのルートで見て回ればいいだろう……と決めると、一先ず中央広場に進路を向ける。
俺が初め貴族街から出て来たばかりの時は、中央通りには特に目立つ物はなかったが……。
「おや? ……アレは荷馬車じゃーないね?」
そろそろ北街を抜けるというところで、中央広場の辺りに東側からやって来る馬車の姿が目に入った。
「荷馬車じゃないね……」
よく見ると離れた位置からでも結構凝った装飾が施された馬車であることがわかる。
「それでも家紋はなしか。商業ギルドの紋章もないね。東側から来たってことは冒険者ギルドからの帰りだろうけれど……加盟していない商会かな?」
もっと近づけば何かわかるかもしれないが、流石にそんな真似をしたら御者に怪しまれてしまうか。
別に冒険者ギルドに行っちゃ駄目だなんて決まりがあるわけでもないし、そこまでやることもないだろう。
「ここから見える分だとアレ一台だけみたいだし……まだ冒険者ギルドに残ってるかもね」
中央広場沿いの上空を一回りする予定だったが、ここは先に東街から見て回るか。
◇
中央広場をさっさと通過した俺は、すぐに東街の上空に到達した。
ここら辺は冒険者ギルドがあるため、冒険者絡みの店が多く並んでいる。
店が並んでいるってだけなら中央広場なんかも一緒だが、向こうは主に街の住人向けの店だったり、他所から来た者向けの店だ。
もちろん、小さい店だけじゃなくて、自店舗内に大量の商品をため込んでいるようなデカい店もある。
先程北街の工房エリアで遭遇した大量の馬車の積み荷は、その店の商品だろう。
「……そこが冒険者ギルドにも話を持って来たとかかな?」
工房に運んでいた物は、質はいいだろうがそれでも普通の武具のパーツだと言っていたし、リアーナの売りである魔境用の武具やその素材はまだ残っているわけだ。
それを処分するには……自分の店に並べるのもアリだが、敢えてこっちに来たんだろう。
領都の腕の良い連中だけじゃなくて、これから領都にやって来る者たちの護衛連中にも売り込めるかもしれないしな。
それに……もしかしたらルバンがいずれ集める者たちにも売れるかもしれない。
むしろそっちが狙いなのかもな。
「ってことは、冒険者ギルドもある程度話は通ってるのかもね。アレクのとこに来た彼も冒険者だって言ってたしね」
別に何でもかんでも聞き出そうとは思っていないし、ウチに迷惑がかかることでもないから好きにしてもらって構わないんだが……ちょっとは話を聞いておいた方がいいだろう。
◇
軽く東街の上空を一回りして来ると、俺は目的地である冒険者ギルドの玄関前に降下した。
「副長?」
「お疲れ様ー」
玄関前にたむろしている冒険者たちが俺に気付いて声をかけて来た。
「最近よく顔を見せるな? 雨季なのに忙しいみたいだな」
「今日はアンタだけじゃなくて、商人連中もわざわざ御大層な馬車で乗りつけてくるし……何かあったのか?」
上から見ていて気付いたが、やはり冒険者ギルドにも商人の者らしい馬車が複数台停まっている。
先程見かけた豪華な馬車と同じような馬車だし……彼らが言うように商会の主が直々に来ているみたいだな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




