2043
北街の西側は、倉庫の他にも商業ギルドの関係者やそこと関りがある工房などが多く並んでいる。
忙しさは平時ほどではないが、何だかんだで雨季の間もこの辺りは仕事が行われていて、他の場所に比べたら人の往来は多い場所だ。
身分が高い者が出歩く場所ではないが、荷物を運んだりもするから馬車の往来も多い。
今も商業ギルドや商会のマークがある荷馬車が何台も走っているし、他の場所と違って忙しいんだろうな。
……というよりも、アレは何をしているんだ?
馬車が工房の前で停まっては、荷が入った木箱を何箱も降ろして、またすぐに別の場所に向かっている。
一台だけじゃなくて、ほとんどの馬車が同じ行動をとっているし……工房全体を巻き込むような大規模な依頼でも出てるのかな?
「様子を見るだけじゃなくて、こっちの方でも話を聞いて回る方がいいか」
職人らしき男たちが、角にある建物の軒下に集まっていることに気付いた俺は、話を聞くために彼らの下に下りていく。
「雨が上がったらすぐにアレは北に持って行くんだろう?」
「ああ。向こうは簡単な修復程度は出来ても、一から作れるような設備は無いからな」
「騎士団から兵たちがずっと行ったっきりらしいが……そのまま残ってるのか?」
上から近づいて行くと彼らの話し声が聞こえて来た。
どうやら、彼らも詳しい状況は把握出来ていないようで、それぞれで知っている情報を出し合っている。
真面目に話している中にお邪魔するのは少々気が引けるが……「こんにちはー!」と、思い切って声をかけた。
「うおっ!?」
「なんだっ!!」
俺と面識がないのか、慌てて周囲を見渡す者もいれば。
「蛇姫か」
「セラ殿……驚かすなよ」
「落ち着け、屋敷のセラ殿だ」
慣れている者は、慌てている者たちをなだめるために声をかけている。
「驚かせちゃってごめんね。ちょっと話を聞かせて欲しいんだけど……」
俺はそう言って切り出すと、彼らから話を聞くことにした。
◇
彼ら曰く、今朝方商業ギルドから使いが来て、全工房……とまではいかないが、武具を扱う工房の大半に依頼があったらしい。
何でもこちら側で通用する程度のレベルでいいから、武具を大量に用意して北に送り届けるそうだ。
「今から仕立てるの? 流石に時間無さすぎない?」
今運び込まれているのは素材なんだろうか?
街の工房総出で……となればそれなりの数を用意出来るだろう。
ただ、どれくらい用意するつもりなのかはわからないが流石に時間がなさすぎる気がする。
そもそも、この時期は職人たちだって休暇中の冒険者の装備の整備で忙しいだろうに……そんな余裕はあるのかな。
今受けている仕事は放棄出来ないだろうし……どうするんだろう?
「流石に一からってわけじゃないさ。商業ギルドに加盟している商会が押さえているパーツを、ここで組み上げるんだ。最終調整は現地でだな」
目の前を通り過ぎていく馬車を見ながら首を傾げていると、職人たちが説明を始めた。
「元々雨季明けに向けて備えていたし……まあ、何とかなりはするな」
「ほぅ?」
「前から一の森の拠点に送るための武具を注文する……とは聞いていたんだが、計画に変更があったらしい。一の森を想定する代物に比べたら、質を落とすと言うと聞こえは悪いが……手間はこっちの方がずっとかからねぇ」
その言葉に、俺は「なるほどねー」と頷いた。
一の森の開拓から北側に方針を変更したし、その影響が彼らにも出ているんだろう。
「ただ、商業ギルドが倉庫に素材をため込んでいるだろうし……どこかでまた依頼があるかもしれないな。姫さんは何か聞いていないか?」
「うん? 一の森で通用する武具の素材ね……?」
これから色々運び入れるはずの倉庫に、使う予定の無い物をずっと残しておくはずはないし、多分ルバンのところの兵や冒険者に、彼が今後集める者たち向けにするつもりなんだろう。
予想は付くが、彼らも聞いていないようだしまだはっきり伝えるわけにはいかないよな。
さて、どうしたものか。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




