2042
昼食をとってからしばらくして、俺は街に向かうためにセリアーナの部屋から飛び立った。
目的地は冒険者ギルドだが、その前に軽く街の視察だ。
丁度ここ最近は夜間も含めて街の上空を飛ぶ機会があるし、ルバンの件が街に何か影響があるかどうかを見比べられるな。
「……とはいえ、こんなもんかな? 貴族街だからってこともあるけど、今のところ変わりはないね」
街との境にある壁が見えてきたところで、高度を下げながら俺は首を傾げた。
執務室や本館の廊下で会ったように、貴族たちにも情報が伝わっているから、貴族街にも少しは動きがあってもおかしくないと思っていたんだが……馬車が走り回ったりしているなんてことはなかった。
もちろん、全く人の姿がない……なんてことはなく、巡回や警備の兵以外にも馬に乗って移動する者たちは数人いた。
馬に乗っているくらいだから貴族の使いなんだろうが、それはいつものことだしな。
「ちょっとわからないね。それなら……」
俺は門の手前側にいる警備の兵たちの下に向かった。
この雨の中でも、だらけた様子を見せないあたりは流石は一番隊ってところかな?
俺の降下に気付いた彼らは、門前に一人を残してこちらにやって来た。
「セラ副長? どうしました?」
「お疲れ様。ちょっと今日の街の様子を聞きたいんだけどいいかな?」
「街の様子ですか? 何でしょうか?」
貴族街側に立っている兵は、俺の言葉にすぐ反応するが……街同様に特に変わった様子はない。
もしかしたら彼らも事情をまだ知らないのかもしれないな。
この分だと情報収集にはあまりならないかもしれないが……折角だしな。
「貴族街に出入りする人とか、こっち側でも普段よりも人の往来が多かったとか……そんなことはなかったかな?」
「そうですね……自分たちは昼から立っていますが、普段と変わりはありません。ですが、朝は街から訪問する者が普段よりも多く記録されていました。商業ギルドの関係者が多かったですね」
「朝のうちだけか……」
引継ぎの際に聞いたか業務日誌でも読んだかはわからないが、今いる彼らが入るより先に貴族街の方は落ち着いてしまったようだ。
確かに朝は本館の方は来客が多かったもんな。
今はどうなっているかはわからないが、屋敷に前もってアポを入れずに来れる者がそんなに大量にいるとは思えないし……今頃は落ち着いているかもしれない。
「……領地に何かあったのでしょうか? 事件が起きたのなら本部から連絡があるはずですが……」
「うん……まぁ、大したことじゃないけど、ちょっと商業ギルドとか冒険者ギルドとかが忙しくなるかもしれないんだよね。まだはっきりしてないしオレからは言えないけれど、後で団長にでも聞いてみてよ」
俺の言葉に、彼らは「わかりました」と頷いた。
「んで……向こうの方は変わりは何かあった?」
気を取り直して、俺は街の様子を訊ねながら門の向こう側を指した。
貴族街のすぐ側だし元々そんなに人が出歩くような場所ではないが、今はそもそも街全体が出歩く者が少ないし、変化があれば気づくかもしれない。
だが。
「いいえ……朝から街で何か事件が起きたりもしていませんし、特に普段と変わりはないはずです」
「貴族街周辺も、住民があまり近づくことがない場所だから……ということはあるでしょうが、貴族街に訪れる者以外はいなかったようですよ」
「いつも通りってことだね……ありがとう」
彼らの話を聞く限りだと、少なくともこの辺では何も変化は感じられなかったようだ。
まぁ……もし騒がしくなるにしても、冒険者たちがいる東街や、他国や他領の者の屋敷がある北街の奥の方だろうし、それも無理はないのかもしれない。
一先ず、ここで得られる情報は得たし……彼らに挨拶をして高度を上げると、街に向かって出発した。
まず向かうのは北街だな!
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




