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「……確かに、セラ君はこれから北の拠点周辺を見て回ることになっているからね。この状況で慣れない仕事が増えるのは避けた方がいいかもしれないかな? 今すぐ決める必要があることでもないし、一先ず記念祭が終わるまではそちらに専念するのも悪くないね」
リーゼルは直接的な表現を避けて先程の俺の話を纏めていた。
そして、リーゼルが口を閉じると、今度は同席している彼が口を開いた。
「私共もルバン卿の計画を支援したい気持ちはあるのですが、やはり今の領内の状況や今後の予定を考えると、中々踏み切ることは出来ません。もちろんセリアーナ様やセラ様から要請があればいつでも協力する用意はありますが……」
「今のところオレたちも様子見って感じだね。ルーさんの方でちゃんと開拓の支援をしてくれる人を募ってるし、あんまり偏らないように気を使ってるみたいだから、向こうから何か言って来るまで待ってもよさそうな気はするけど……」
俺がそう言うと、彼は「確かに」と深く頷いた。
「声をかけている者たちはリアーナ領の外の者たちばかりですし、ルバン卿も以前から準備をしていたのでしょう。もちろん、魔境のすぐ側で活動することに関しては訓練が必要でしょうが、それ以外は彼に任せても問題なくやり遂げると思います。ですが……」
「わかっているよ。いくらルバン卿が管理する村とはいえ、ウチの領内の事業に他所からの支援だけで成り立たせるわけにはいかないからね。前もって聞いていたことだし、ある程度はウチからも参加させてもらうよ。時期や規模は……まだ決められないけどね」
「ふぬ……」
「セリアにはとりあえずそう伝えてもらえばいいかな? もっとも……ウチが本格的に動くにはもう少し様々な情報を集めてからだろうね」
リーゼルの言葉、同席する彼は「そうですね」と同意するように続いた。
二人の立場的に、あからさまにルバンを警戒するようなことは言えないからなのか、どうにも要領を得ない言葉ばかりになっているが、まぁ……何にせよリアーナ領として動くのはもうちょっと情報を集めて、ハッキリしてからってことらしい。
「セラ君。調査の件に関しては今日中に団長とも協議をするから、君は気にせず準備を進めておいてくれ」
「わかりました。んじゃ、オレはこの辺で……」
とりあえずセリアーナ側の方針は伝えたし、リーゼルたちの方針についても聞けた。
そして、今度の調査の件についても聞けたし……ここで俺のやることは完了だな。
これ以上ここにいても、彼らも話をしにくいだろうし……退散だ!
◇
「ただいま戻りましたよー……皆いるね?」
部屋にはエレナの他にテレサとフィオーラも来ていた。
場所をいつものソファーに移して話をしているようだが、使用人たちも部屋にいるし、そこまで内密な話はしていないんだろう。
精々情報のすり合わせ……くらいかな?
「お帰りなさい。リーゼルとは話は出来たのかしら?」
「忙しそうだったし、簡単に報告をしただけだけどね。……よいしょっと」
セリアーナに返事をしながら、空いた場所に腰を下ろした。
「んじゃ、一先ず旦那様との話を伝えるね」
俺はリーゼルとあのおっさんとの話や本館の様子。
さらに、本館の廊下で別のおっさんと少しだけではあるが話したことなどを伝えた。
とりあえず、ルバンの村の拡大事業に関してはリアーナ領としてはもう少し状況を見守って、魔境での活動の訓練に関しては騎士団も含めて協力出来るところは協力する……って感じだな。
そして、セリアーナや実家関係の動きに関しては特に制限をするようなことはない……と。
「まあ……妥当なところよね。少なくとも、この件に関しては向こうから話が来なければ、私から動くことはないでしょう。お前も調査の件以外はそのつもりでいていいわよ」
「む? 了解」
俺に直接話を聞きに来る者はそうはいないだろうけれど、今日の廊下の出来事みたいなこともあるし方針が決まるのは助かるな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




