2037
資料を読み終えたセリアーナは、ファイルを閉じると後ろにいた俺に隣に来るように言った。
「ルバンが寄こした人間が、お前の一の森の探索の補佐する隊に加わる……直接関係があるのはそれくらいかしら?」
「そうだね。後は……もし何かあっても動くのは騎士団辺りだろうし、オレたちにはあんまり関係ないかも? でも、一応ルーさんってセリア様側の人なんだっけ?」
「あの男に限ってそんな問題を起こすようなことはないでしょう」
俺の言葉に苦笑しながらセリアーナは答えた。
「お前から見てどうだったの? 一緒に探索するわけではないけれど、お前の部下に同行させるのでしょう? 王都圏に比べたらリアーナ領の方が強力な魔物が多いけれど、それでも魔境ほどではないわ。」
その資料にどれくらい詳しく記されているのかはわからないが、それでも例の彼の経歴みたいなものが記されていたんだろう。
セリアーナは、彼が魔境の魔物と戦うかもしれないことを不安に思っているようだ。
「と言ってもねぇ……アレクの家で勝手に【妖精の瞳】とか発動しっぱなしにするわけにもいかなかったから、何にもしてなかったんだよね。とりあえずオレが見た限りではちゃんとした冒険者って感じだったよ」
セリアーナの疑問に、俺はアレクの家で見た彼のことを思い出した。
第一印象がゴツイおっさんだったし、まぁ……素人ってことはないだろうし、ルバンが送り出した上にあの場でアレクもエレナも何も言わなかった辺り、彼の実力に関しては問題無いはずだ。
それと。
「真面目そうな人だったし、指示に従うって言ってたから大丈夫じゃないかな?」
「……詳しいことは明日のエレナの報告を待つわけね」
セリアーナは「ふう……」と溜め息を吐くと、ファイルを閉じた。
そして、そのまま腕を組んで何事か考えている。
「ちょっと見せてもらうよ」
机の上のファイルを手に取ると、パラパラと資料に目を通していく。
資料に記されている者の名前は、商会だったり商人だったりの名前の他に、貴族っぽい名前やどこぞの工房や職人らしき者の名前までと、バラエティーに富んでいる。
俺は仕方がないとしても、セリアーナですら知らない名前があるってことは、所謂大物はいないんだろう。
ルバンは元々国中に知られているレベルで名声がある男だし、その気になれば大物を引っ張って来ることも出来るだろうし、そうじゃないってことは……敢えてかな?
「何か気になることでもあって?」
資料を見ながら考え込んでいると聞こえてきた声に、そちらを向くとセリアーナと目が合った。
「お? 考え事はもういいの?」
「外の様子を探っただけよ。妙な集まりはないし、気にするだけ無駄みたいね」
領都内のどこまで調べていたのかはわからないが、あの彼に怪しい動きはなかったらしい。
まあ、ルバンのところがこっちに何か仕掛けてくるような理由はないし、当たり前と言えば当たり前か。
窓の外に視線を向けながら「ふむふむ」と頷いていると、セリアーナがさらに続けてきた。
「それで、お前は何を考えこんでいたのかしら?」
「あぁ……大したことじゃないけど、ルーさんが声をかけているらしい人たちで、そこまで大物っぽい人がいないのはわざとなのかなと思って」
「そうかもしれないわね。下手に力がある者を引き入れても、効率は良くても手に余る可能性があるでしょう? それなら多少は手間をかけても、確実に自分の支配下に収められる者を集める気なんでしょう」
「港自体はルーさんが押さえてるから大丈夫だろうけど、村を大きくした後で揉めても面倒だしね。……セリア様は何もしないの?」
「今のウチにそこまで手を広げる余裕は無いわ。実家に声をかけたら何とか出来なくもないでしょうけれど……その場合はお前が面倒を見ることになるわよ?」
「それは止めとこうか……」
俺が即答すると、セリアーナは「賢明ね」と笑った。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




