2036
「ただいまー」
「お帰りなさい。わざわざ呼び出された割には大して時間がかからなかったわね。何の用だったのかしら?」
部屋に戻ってくると、相変わらず読書中だったセリアーナが顔も上げずに話しかけてきた。
部屋の中には彼女の他にはフィオーラがいる。
ファイルがテーブルの上に積まれていてフィオーラはそれを読んでいるが、俺が部屋を出た時には無かったし、今の間に持って来ていたんだろう。
アレが何の資料かも気になるが……とりあえずはだ。
「今度オレが一の森の北側に向かうでしょう? その件でちょっとね。今騎士団本部にアレクが行ってて、夜くらいにはコッチにも報告が来るよ」
セリアーナのすぐ隣に移動すると、簡単に説明をした。
使用人たちがいるし、とりあえずこの場で言えることはこれくらいだろうか?
「……夜なのね?」
セリアーナはこの場で俺が詳細を話すつもりがないことが分かったのか、深く溜め息を吐いた。
「そうそう。んで、エレナが後で情報を纏めておくって言ってたから、詳しいことは明日わかるはずだよ」
「お前には難しい話だったのかしら……まあ、いいわ。ご苦労様」
セリアーナはそう言うと、座れと言いたいのか手で自分の膝を軽く叩いている。
「はいはい」
若干失礼な言い方に反論しようかとも思ったが「まぁ、いいか」と大人しくセリアーナの膝に座ると、彼女が「問題はないのでしょう?」と小声で呟いた。
「それは多分大丈夫だよ」
加護を発動しながら、俺も同じく小声で返すとセリアーナは満足そうに「ならいいわ」と頷いた。
◇
夜になり夕食も終えると、フィオーラは先に部屋を出て行った。
流石に反省したらしく、今日は彼女は酒を飲むつもりはないらしい。
その代わり、自宅には戻らずにウチの屋敷に泊まっている。
まぁ……元々日頃から酒を飲んでいるわけじゃないし、ウチに泊まっていくのも毎度のことだって考えたら、普段通りではあるな。
んで、エレナは今頃自宅でアレクから色々話を聞いているだろうし、テレサもちょっと用事があるからとまだ帰って来ていない。
恐らく騎士団本部かリーゼルの執務室で、昼間アレクが持って行ったルバンのところの話について協議でもしているんだろう。
ってことで、今晩は二人でダラダラと……等と考えていると、部屋のドアがノックされた。
「む?」
セリアーナの様子を一度窺うが、彼女の様子に変化は無い。
ってことは。
「奥様、旦那様からです」
対応していた使用人が、受け取った封がされたファイルをこちらに持って来た。
「ご苦労様。今日はもう貴女たちは下がっていいわ」
「……わかりました」
彼女たちはそのファイルが気になるようだが、セリアーナにこう言われたら下がるしかないからな。
一度だけセリアーナの机の上に視線を送ったが、すぐに揃って部屋を出て行った。
「……何て書いてあるの?」
彼女たちを見送った俺はドアを閉めると、セリアーナの机の前に飛んで行く。
「今読んでいるから、もうしばらく待って頂戴」
封を開けたセリアーナはファイルを読みながら返事をした。
「ふぬ……」
内容は昼間のアレクの件に付いてだろうが……思ったよりもずっと資料の数が多いようだ。
俺はセリアーナの背後に回り込んで、資料を覗き込んだ。
パッと一枚見ただけでも文字がびっしりと……。
「随分細かいね。オレが聞いたこともない商会の名前だらけだよ」
「……ルバンと関わりがある商会や商人のようだけれど、私も知らない名前が多いわね。村の拡大の援助ね……お前が今日聞いた話はコレなのかしら?」
「それだけじゃないけどね。一応それも含まれてるよ」
後は調査隊に一人参加するって件もあるが、それは大したことじゃないだろう。
それよりも、セリアーナも知らないような名前がいくつもあるのか。
……やっぱり詳しい話は明日のエレナ待ちだな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




