2035
一通り話しを終えたアレクは、騎士団本部に向かうために彼と共に部屋を出て行った。
そういえば彼の名前すら聞いていなかったが……まぁ、俺が直接関わることもないだろうし、別にいいか。
二人が出て行ったドアの方を眺めていると、エレナが声をかけて来た。
「今日は悪かったね。わざわざ君を呼ぶほどのことではなかったかもしれないけれど、一応ね。ルバン卿からの伝言……それだけなら私が聞いてさえいればセリア様に伝えることが出来るんだけれど……」
「まぁ……オレが直接関わることはないけど、一応顔くらいは知っておいた方がいいだろうしね」
軽くだが頭を下げるエレナに気にしないでと伝えると、彼女は「そう」と笑った。
「今日はエレナはどうするの? このままこっちにいるのかな?」
「そうだね……アレクもあの様子だと、下の騎士団本部に報告に行ったら戻って来るだろうし、ここに残るつもりだけれど……何か用事でもあるのかな? 一応明日はセリア様の下に向かうつもりだけれど」
「用ってほどじゃないけど、帰ってからセリア様に伝える時にどうしようかなと思って……」
今アレクがオーギュストに伝えに行っているし、先程の会話でも出たように夜にはセリアーナにも伝わるだろう。
ただ、帰ってからはどうしようかな。
アレクが言っていた……で納得はしてくれるだろうけれど、夜に詳細を求められても俺が上手く伝えられるかどうかだよな。
そうエレナに言うと、彼女は「確かに……」と頷いた。
「村を拡大するのもタダじゃないからね。上に計画を提出して、そこで承認されたら十分な資金は出るだろうけれど、リアーナの……それも魔境に近い場所での作業だし、簡単には人が集まるとは思えないよね」
リアーナはお金には困っていないし、今までのルバンの功績を考えたら十分な資金をちゃんと用意するだろう。
ただ……資材は彼の村ならいくらでも他所から集めることは出来るだろうけれど、作業をする人間はそうはいかない。
今はリアーナ領は全体的に人手不足だ。
数年前に領都で武具職人が一時的にパンクして足りなくなった際には、お隣のゼルキス領から出張してきてもらって凌いだりしたが、それが出来たのはミュラー家の縁を頼ったり、そもそも元々ここがゼルキス領だったって関係もあって職人たちもそこまで敬遠していなかったからだ。
でも、それが他所の者となるとどうだろうな。
募集したからって簡単には集められないだろう。
「オレとかセリア様とかが集めるのとはちょっと事情が違うよね」
「そうだね……この場合だと、ルバン卿の伝手……というよりは奥方の実家かな?」
ルバンは冒険者として手広く活動してきていたが、それでもリアーナというやたら危険な領地のさらに端っこに人を集めるのは、今の村を作った時の分でも精一杯だろう。
それ以上となると、彼の奥さんたちの伝手を頼ったんだろうが……。
「彼女たち自身も名の通った冒険者だったし、十分人を集められるだろうけれど、それでもどれだけ集められるかわからないからね。さらに別の協力者がいる可能性もあるか」
「ルーさんのことだからそんな変なことはしないと思うけど……」
自分が作業する立場だと怖いが、それでも投資するには魅力的な土地なのがこのリアーナだ。
質と素性と手段を選ばなければ、人を集めることは可能だろう。
ただ、そんなのを領都の側の重要拠点に入れるわけにはいかない。
そんなことはルバンだってわかっているだろうが、今エレナとちょっと話しただけで俺も気になった訳だし、セリアーナだってそうだろう。
セリアーナの立場だと気軽に当人から話を聞くのは難しいし、それは間に入る者の役目だろう。
「……うん、そうだね。私も情報を集めておくし、改めてアレクからも話を聞いておくよ。結局セリア様に話を伝えるのは明日になるけれどね」
エレナはそう言って苦笑しているが、俺にとってはセリアーナを納得させられるしそれで十分だ。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




