2033
謎の彼は、わざわざ立ち上がると俺に向かって会釈をしてきた。
礼儀正しいのはいいことだが、この態度……本当に誰だ?
仮に騎士団関係者だとしても、一番隊の兵がアレクの家に来るってことは考えにくいし、かと言って二番隊の兵はこんな態度ではない。
そもそも、流石の俺だって二番隊の兵の顔は覚えている。
んで、随分緊張しているみたいだし、その俺への接し方から冒険者って線もないだろう。
まぁ……この街の冒険者じゃないって可能性もあるが、そうなったらもうわからない。
さっさと教えてもらおう。
「お前に慣れていないヤツだからな。そんなに睨んでやるなよ」
「別に睨んでるわけじゃないけど……誰なの?」
笑いながら声をかけてきたアレクにそう返すと、テーブルの上に置かれている手紙を一枚渡してきた。
「ふむ……?」
何だろうなと思って読んでみると、どうやら彼はルバンのところの兵で兼業で冒険者も続けているそうだが、将来的には専属で兵として働いてもらいたい……ってことが書かれていた。
と言っても、書かれているのはそれだけで大した情報はなく、彼がここに来た目的はよくわからない。
「ウチへの紹介状みたいなもの?」
アレクに返しながらそう訊ねると、アレクが何か言う前に彼が「いえ、違います」と言った。
「む?」と彼の方を見ると、立ったままではあるが表情は大分和らいでいる。
今の間で緊張が解れたみたいだな。
「ミネア様が帰還される際に、ルバンのところを使っただろう? その時に北側の状況を話したはずだ」
「うん……と言っても、簡単にだけどね」
「それから少し経ってから、一の森の南側……ルバンの村の側で魔物の群れを討伐しただろう?」
「何か問題になってた?」
確かに戦闘自体は結構派手にやっていたけれど、群れはちゃんと仕留めたし川に何かが落ちて流れて行ったり……なんてこともなかったから、ルバンのところには影響はなかったはずだ。
首を傾げていると、彼は「いいえ」と首を横に振った。
「オーギュスト団長からも連絡がありましたが、我々が見た限り村への影響は何もありませんでした。ですが、今回は村には影響がなくても次何か起きた時にそうだとは限らないとルバン様が警戒しています」
「あの辺りは川幅が広いし、一の森から魔物が簡単には来れないと思うけど……」
ルバンが警戒する理由はわからなくもないが、今言ったように村との間にはデカい川が流れている。
わざわざあの川を渡ってまで大して旨みの無い村を襲うようなことはないよな?
「まあ、お前の言いたいことはわかる。まだコレは公表していないようだし大っぴらに言いふらすなよ?」
アレクはそう言うと別の紙を渡してくる。
そこには村の拡大の計画について記されていた。
「……村の拡大? 向こう岸にってことなのかな?」
「そのつもりらしい。こちら側だけだと、接岸出来る船の数に限りがあるしな」
リーゼルには内々に伝えているそうだが、あくまで概要だけで具体的にはなっていないようで、まだまだルバンの周りだけで止まっているらしい。
アレクも村の拡大に関しては聞いていても、対岸に考えているってのは今日初めて知ったんだとか。
まぁ……彼はここ最近ずっと北の拠点にいたし、知る機会も無かったんだろうが……結構大きいニュースだと思う。
商会に知られたら、北の方の開発に匹敵するくらいの大騒ぎになるはずだ。
「へぇ……それは結構思い切ってるね」
対岸に作る必要は理解したが、それでも魔境により近づくことになるし、なかなか思い切った決断だと感心していると、アレクも「そうだな」と頷いた。
そして、彼を指差す。
「コイツはその際に対岸の調査を任される予定らしい。で、ウチがまだ一の森を含む森の調査をするって報告も受けているそうでな。そこに参加させて欲しいんだと」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




