2032
何の用なのかわからないような非常にシンプルな文章でアレクから呼び出された俺は、それでも一先ず話を聞くために彼の家に向かうことにした。
特に着替えたりはしていないが、いくらアレクとはいえ、誰かを紹介するような真面目な用事ならちゃんと書くだろうし、まぁ……これでいいだろう。
そして、それくらいの用事ならわざわざ移動が面倒な玄関からではなくて、いつも通りの窓からの出入りで十分だ。
アレク宅の三階の窓辺に近づくと、街の監視を行っている兵の姿が目に入った。
アレク宅は領主の屋敷程ではないがオーギュスト宅と同じで高台の上の方に建っているし、街全体を監視するのに丁度いい場所だ。
雨季だろうと何だろうとお構いなしで、いつも誰かしらその監視の任務に就いている。
その彼も俺に気付いたようで、すぐに窓を開けてくれた。
「お邪魔しまーす」
中に入ると窓辺の彼以外にも待機している兵たちがいて、その彼らが俺に声をかけてくる。
「隊長に用事か? ……そういえばさっきここから屋敷に伝令が向かっていたな」
「下の様子まではわからないが……朝から来客が続いていたし、今もいるはずだ。その関係かもな。とりあえず事件が起きているわけじゃないぞ」
「街で騒ぎは起きていないしな……」
彼らの任務はあくまで街の監視だし、屋敷の来客状況までは把握出来ていないようだが、それでもここから領主の屋敷に兵が伝令が向かったことは把握出来ていたようだ。
もちろん、ここからだと何のために送られたのかわからないし、気にはなっていたんだろう。
アレコレと好き勝手に俺が何しに来たのかの予想を口にしている。
「色々予想してるところ悪いけど、オレも何のようなのかわからないよ。伝言も話すことがあるから来てくれってだけだしね」
俺がそう言うと、彼らは揃って「ああ……」とか「隊長らしいな……」と納得している。
それでも気になることに変わりはなく、こちらを見ている。
「帰りにこっちを使うことがあれば、その時教えるよ」
俺は彼らにそう言うと、部屋を出てアレクの元に向かうことにした。
◇
三階の部屋を出た俺は、まずは廊下で適当に使用人を捕まえるとアレクがどこにいるかを訊ねた。
応接室の一つにいるとかで、そのまま案内してもらうことになった。
その間に軽く彼女にも話を聞いてみたんだが、俺を呼びに行っていたことすら知らなかったようで、何の用かは見当もつかないらしい。
ついでに、エレナもアレクと一緒にいるようだが、今来ている客が誰かとかはわからないそうだ。
彼女は申し訳なさそうにしていたが、それはつまり、そこまで重要な客が来ているわけじゃないってことだし、それがわかっただけでも気が楽になる。
俺は「気にしなくていいよ」と伝えつつ、そのまま部屋の前まで一緒に向かった。
「こちらになります。それでは失礼します」
「うん、ありがとー」
廊下を戻っていく彼女に礼を言うと、俺はドアをドンドンとノックした。
すぐにドアが開いたんだが、開けたのはアレクだ。
「……来たよー?」
てっきり使用人が開けると思ったんだが、アレク自らだったことに少々驚いてしまった。
一応人の家だし、【妖精の瞳】やヘビの目の発動は控えていたんだが……使用人たちを外してるんだろうか?
俺が戸惑っていると、その様子が分かったのかアレクは苦笑しながら口を開いた。
「よく来たな。中に入ってくれ」
アレクはドアを押さえたまま一歩下がると、中に入るように言った。
「うん。お邪魔しまーす」
言われるままに部屋に入ると、中には他に二人いた。
一人はエレナで、ソファーに座ったままこちらを見て微笑んでいる。
そしてもう一人だが……。
「誰?」
騎士か冒険者か……服の上からでもわかる程度には鍛えられた男がいるんだが、少なくとも俺がこの街で見たことある者ではないはずだ。
誰だ?
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




