2030
リアーナ領……というか辺境での活動において、一般市民に対して抜群の知名度を持つジグハルト。
とりあえず、彼の存在感とありがたさを再認識したが……それがどう昨晩の二人に繋がるのか……だよな。
話の続きを待っていると、セリアーナが何やら困ったような顔をしている。
「どうかしたの?」
「いえ……どう話したらいいか迷ったのよ」
セリアーナはそう言うと、チラッとフィオーラに視線を送った。
彼女はその言葉は聞こえているだろうが、背もたれにもたれかかったまま何も反応しない。
その様子を見て肩を竦めると、「いいみたいね」と再び口を開いた。
「フィオーラはジグハルトと一緒に暮らしているでしょう? 彼がずっと家に戻ってこないからその分の仕事や作業がずっと溜まっていく……とか、色々あるみたいよ」
微妙に濁した部分は生活の愚痴でもこぼしていたんだろうか?
ともあれ、セリアーナの言葉に俺は「……なるほど」と頷いた。
彼らが結婚しているかどうかって問題は別にしても、話だけ聞くとありがちな夫婦のすれ違い……って感じだ。
だが、彼らの立場や役職だとそう簡単には片付けていいことではないだろう。
まぁ……セリアーナが微妙に濁した部分を考えると、そっちが本題だった気もするが……今はそこは深掘りしないでおこう。
しかし。
「ジグさんって結構領都を離れていることって多くない?」
ふと湧いた疑問を口にした。
フィオーラの愚痴は理解出来るが、今までジグハルトは任務だったり趣味だったりで街を離れる機会はよくあった。
今回の調査隊の任務抜きでも、ジグハルトは一の森の開拓拠点の防衛に入る予定だったはずだ。
何でまた今回だけ……?
酒を飲んだ勢いか、それとも今まで抑えていた不満が溢れてしまったとかだろうか?
それはそれでフィオーラらしくない気がするが……と首を傾げていると、セリアーナではなくてテレサが俺の疑問に答えた。
「ジグハルト殿は確かに領都の外での活動が多いですが、それでも大抵の場合数日……長くても一週間ほどで一度帰還しています。今回は少々長く離れていますし、そのせいではありませんか?」
「あぁ……そういえば、今回はずっと向こうにいるよね」
テレサが言うように大抵の場合は数日で街に戻って来ていたし、戦争だったり未開拓地の調査だったりで長期間街の外に出たまんまってことはあったが、そういう時は準備期間が前もってしっかりあったからな。
今回は緊急事態だったし細かいことは何も決まっていないまま出発したって経緯があるから、今までとは全然違うな。
「まあ……色々あるのよ」
セリアーナはそう言ってフッと笑うと、今度は俺の顔を見た。
「セラ、北の拠点に立ち寄った時にでもジグハルトに早めに戻ってくるように伝えなさい。テレサ、可能でしょう?」
「……探索する範囲がどれくらい広がっているかにもよりますが、姫と連携を取れば手間を一気に減らすことは可能なはずです」
今度は二人で揃って俺を見た。
彼女たちが何か言う前に、俺は「いいよ」と答える。
「一の森に入る前に朝から北の森を見て回れば見つけるのは難しくないよ。一の森の方は、一日二日後回しにしたところでどうにかなるってもんでもないだろうしね」
普通に北の森を探るだけなら、いくら上空から見れるからとは言え簡単にはいかない。
だが、北の森に流れて来た一の森の魔物……となれば話は別だ。
見た目に大差はなくても、北の森に比べるとちゃんと力の差があるし、それが複数纏まっているとなれば見つけることは難しくない。
元々ジグハルトたちを手伝う予定だったが、あくまでメインは地上の部隊で、彼らの調査と探索しながらの速度に合わせるつもりだった。
だが、こうなったら話は別だな。
サクサク片付けてジグハルトにはさっさと帰って来てもらおう。
北の拠点の住民たちも、一先ず北の森にもう不安はない……ってわかれば納得するだろう。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




