2025
セリアーナたちが起きてこないし、手持無沙汰になった俺は遠慮するテレサを無視して施療を行っていた。
起きてきたらセリアーナたちの二日酔い治療に使うつもりだったが、久しぶりだし慣らしは必要だ。
……ってことはもちろんあるが、テレサ自身も休養は必要だと俺は思っている。
丁度いい機会だしテレサにも回復してもらおう。
しばらく続けていると、いい加減テレサも使用人たちの目がある状況での施療にも慣れたのか、楽な姿勢をとったりとくつろぎ始めた。
セリアーナたちのための練習……って建前ではあるが、テレサにも回復してもらうためにやってるんだし、ちゃんと休めているようで何よりだ。
テレサの場合はどこか特定の部位が特別悪いってわけじゃないから、肩に当てた手を基点にして全身に発動している。
ピンポイントじゃなくて広範囲な分効き方は控え目ではあるが、俺も相手もどんな恰好でも可能なのが利点だな。
ってことで、一応使用人もいるし当たり障りのない内容ではあるが、俺とテレサは施療中お喋りをしていた。
それにしても、テレサから出てくる話題が冒険者たちのことだったり、商業ギルドに所属していない商会が扱っている品だったり……随分と実務的な内容ばかりだ。
まぁ……俺に合わせて話題を選んでいるのかもしれないが、テレサのプライベートが全く見えてこないな。
趣味が仕事みたいな人だし、住居も屋敷の一室だから仕方がないのかもしれないが……長期休暇とかは無理でも定期的な休日を設けた方がいいんじゃないか……。
テレサと話しながらそんなことを考えていると、今までじっと座っていたテレサの頭が不意に寝室の方を向いた。
「うん? どうかした?」
「お二人が起きたようですよ」
どうやら寝室の二人が起きた気配を感じたらしい。
テレサは施療はもう十分なのか「ありがとうございました」と言って立ち上がると、使用人たちに向かって指示を出し始めた。
◇
二人が寝室から出て来たのは、テレサが二人が起きたことに気付いてから二十分ほど経ってからだった。
俺と違って着替えたり髪を整えたりと、やることがあるからそれなりに時間がかかるのはわかるんだが……それでも普段よりも時間がかかっていたな。
その割に髪のまとめ方が普段よりも簡単になっているのは、まだ昨日の酒が残っているからだろうか?
やっぱり二日酔いだな。
「む?」
寝室から出て来た二人を眺めていると、セリアーナが俺をジロっと睨みつけてくる。
一瞬部屋の手前に控えている使用人たちを見ていたし、彼女たちを部屋に入れたことに抗議をしたいんだろうが、自分が酔っぱらったことが原因だってこともわかっているんだろうな。
俺を睨むだけで、何も言えないでいる。
そして、ドアからすぐ出たところで立ち止まっているセリアーナの肩に、後ろからフィオーラが無言で手を置いた。
セリアーナは大きく溜め息を吐くと、こちらに歩いてくる。
「おはよー! 具合はどう?」
「……おはよう。お陰様でぐっすり眠れたわ。お前が使用人を呼ぶのは珍しいわね」
「部屋が散らかってたからね。オレ一人で片付けるのは大変だから、皆にお願いしたんだ」
「おはよう。昨晩はセリア様に話に付き合ってもらったのよ。ごめんなさいね」
二人は俺に挨拶をすると、普段自分たちが座っている場所に腰を下ろした。
俺はその二人の様子を改めて確認するが、思ったよりは顔色は悪くない。
もちろんベストコンディションってことはないんだろうし、二日酔いなのは間違いないだろうが、先程セリアーナが言ったようにしっかり眠っていたからな。
大分回復はしているみたいだ。
「お早うございます。こちらをどうぞ」
テレサが声をかけながら二人の前に水が入ったグラスを置くと、二人の顔を何度か見た。
「お二人とも体調に問題がないようでしたら、お風呂の用意が出来ていますから入って来られてはどうでしょう?」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




