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街と1の森との間にある訓練場。
そこの上空所々にジグハルトが打ち上げた照明の魔法が漂っている。
それに照らされている地上を見れば、あちらこちらでオオカミやゴブリンとの戦闘が繰り広げられている。
今のところこちらが優勢だ。
皆頑張っている。
「むっ!」
笛の音に振り返り、そちらを見ると盾役の男が崩れ落ちている。
これはいかん。
急がねば!
「へいっお待ち!」
照明を腰に下げ赤いケープを翻し、降り立った。
一目で俺とわかる格好だ。
「すまん!助かった!」
【浮き玉】を飛ばし急行すると、その男の仲間が既に介抱を始めていた。
見ると太ももからおびただしい出血がある。
「ほい」
ポーチから取り出した上級ポーションを瓶ごと渡すと、すぐに振りかけている。
「オオカミ?」
「ああ。横の群れから飛び出してきたのにやられた」
オオカミは大抵5-10頭位で1つの群れになっているが、それを崩して来たか……。
「わかった。伝えておくよ。今はオレ達の方が優勢だから無理はしないでね」
さっきまでなかった行動をして来たし、先遣隊から本隊に切り替わったのかもしれないな。
他に被害が出ないうちに報告をしておこう。
◇
シンプルに「ルトル防衛戦」と銘打ったこの戦い。
名前と同じく作戦もシンプルだ。
冒険者と街の兵士の混成部隊120名強と彼らを支援する20名がいる。
彼等は役割によって2つのグループに分けていて、一つは盾役で、腕力自慢、体力自慢が魔物を迎え撃つべく正面に広く布陣している。
もう一つはアタッカー役で、盾役達の両側面に位置取り魔物に止めを刺す役だ。
それぞれ2組ずつ作り、順次交代しながら戦っているが、怪我人は出ているが死者やリタイアした者は今のところ出ていない。
この街の冒険者でも腕の立つ精鋭が集められているから、不意さえつかれなければそうそう崩れるようなことは無いだろう。
引き寄せてボコる。
急造部隊だけに複雑な連携は出来ないが、力押しのこの作戦はよく合っている。
更に、5騎だけだが騎乗した騎士が、追い込みや群れの分断を行っている。
数は少ないが、新領地の団長や隊長候補だけあって、腕も頭も勘も良く器用に立ち回っている。
それらとは別に偵察役として森に入り、この魔物の群れやボスの情報を探っている者達もいる。
今の時点でもある程度予測は付くらしいが、確定させるためだ。
そして俺は、リーゼルのいる本陣付きの伝令&ポーションの緊急配布係だ。
流石にセリアーナは危険なのでエレナとフィオーラを付けて屋敷にいるが、彼はここまでやって来た。
訓練所手前に本陣を張り、情報の整理や街からの支援物資の差配を行っている。
「おわっ⁉」
その本陣へ向かう途中、不意に前方が光ったかと思うと光線が撃ち出された。
ジグハルトだ。
以前王都の訓練場でフィオーラが出していた壁を少しアレンジして足場というよりも櫓の様な物を本陣すぐ前に作り、そこから戦闘範囲の外に出ようとしている魔物を射抜いている。
一応周りに被害が出ない様加減しているらしいが、一撃必殺なあたり、彼を当てにしたがっていた騎士達の気持ちがよくわかる。
「戻ったよー」
万が一にも誤射をされないように、少々遠回りをしながら本陣に辿り着いた。
流石にここまで下がると戦闘の音はわずかしか聞こえないが、代わりにおっさん達の声が響いている。
伝令役は当然俺以外にもいて、彼等から受けた報告を基に兵を送る場所を決めたりしているんだろう。
「おお、セラか」
おっさん達の1人が俺に気付きこちらを向いた。
この中だと俺の声は浮いているからか、初めの数回は正面からではなく後ろや横から現れていたので、驚かせてしまっていたが、流石に慣れたようだ。
帯同している薬師はすぐに俺からポーチを受け取りポーションの補充に向かった。
あのポーション瓶は回収して洗浄後また使うようになっている。
この緊急事態にと思わなくも無いが、大量生産が出来ないから、緊急事態だからこそリサイクルできる物はするそうだ。
まぁ……中身振りかけるだけだしね……?
「ああ、ご苦労様。何か異常はあったかい?」
「ちょっと魔物の戦い方が変わってきているみたい。群れから抜け出して、別の群れと戦っている所に乱入したりしているね。何人かそれで大きめの怪我をしていたよ」
相手が本隊に変わって来たんだろうけれど、その判断は俺がする事じゃ無いし報告だけしよう。
「そうか……わかった。また頼むからそれまで休憩していてくれ」
「はーい」
まだまだ忙しそうだな!
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・3枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚




