171
さぁ、気を取り直して次だ次!
当たり外れと言ってはいるが統計で見ると実は出る確率はほぼ同じらしい。
割と収束してしまっているが、恩恵品と加護を引く確率は合わせて6割強。
むしろそっちを引けない方がおかしい!
よし……行ける気がして来た!
「……なに?」
視界の隅の何やらジト目で見ているセリアーナが気になり声をかけた。
「……いえ。もう何も言わないわ」
……そんな変なポーズしているかな?
聖貨10枚。
金貨にして200枚。
割といいペースでゲットしているとはいえ大金だ。
そりゃ、変な気合の入り方くらいするさ。
さぁ!気を取り直してラスト1回だ。
「ふぬっ!」
良いの来い良いの来い……。
ドラムロールをBGMに精神を集中し……!
「ほっ!」
音が止まると同時に、【隠れ家】に入る時のドアのイメージが見えた。
一瞬間違って発動してしまったのかと思ったが、その直後【強化】という言葉が頭の中に浮かんだ。
……どういうこっちゃ?
「加護かしら?」
セリアーナは、何も現れない事からそう推測したのだろう。
ただ俺としては何か違う気がする。
何だろう……勘?
「何か違う気がするんだよね……【強化】って出たけれど……」
それを聞いたセリアーナとエレナは2人揃って首を傾げている。
心当たりは無さそうだな……。
今回のこれは手応えというか今までとは何か違う気がする。
「【強化】の言葉が浮かぶ前に【隠れ家】を使った時のような感覚があったんだよね。何か関係あるのかな?」
「【隠れ家】……加護よね。そうね……セラ、確かめてみましょう。エレナ、誰も部屋に入れないで頂戴」
⁉
「はい。お気を付けて」
止めないのか。
「いいの?」
「調べ物をするなら2人の方が良いし、今更危険も無いでしょう?」
「ふむ……」
エレナをちらっと見ると苦笑している。
ずっと屋敷の中だし退屈しているのかもしれないな。
「わかった。んじゃ行こう」
【隠れ家】を発動し、セリアーナと共に中へ入った。
◇
「……わかりやすいわね」
「……そだね」
【隠れ家】の玄関で思わず足を止めてしまった。
何が【強化】なのかはわからないが、とりあえず入ってすぐに変化はわかった。
【隠れ家】の間取りは玄関から片側に、手前からクローゼットとトイレが設置された廊下が伸び、その奥にリビングとキッチン、浴室に洗面所それともう一部屋がある。
だが……廊下のクローゼットの対面にドアが増えている。
「入ってみましょうか?」
「……オレから入るよ」
鍵こそ付いていないが頑丈で、室内ドアではなく玄関ドアの様だ。
見憶えは無いが、入ってみよう。
「あ……」
ドアを開き中を見るとすぐにわかった。
短い廊下の片側に小さい冷蔵庫とキッチンがあり、その反対側にトイレと浴室、洗面所。
そしてその先にはフローリングの部屋がある。
ロフト付きだ。
これは……学生時代のワンルームだな。
こだわってロフト付きを選んだくせに、5月の連休が終わる頃には面倒になって荷物置きになっていた悲しい思い出が蘇って来るじゃないか……。
「どうしたの?あら……広がったわね」
ドアを開けた場所で固まっていたのを不審に思ってか、セリアーナが覗き込み、俺の微妙な想いを他所にシンプルな感想を述べた。
そして、スタスタと進みながら各ドアを開けていく。
といっても、トイレと浴室しか無いけれど……。
俺もついて行ったが、変わった事は特になく、すぐに見終え戻って来た。
キッチンのガスコンロがIHになっていた事だろうか?
前世なら大事だが、今の状況じゃ大したことない気がする。
「そちらを本館。こちらを別館とでも言うべきかしら?こちらからだと外の様子を見れないわね……。使うとしたら物置か……アレクの部屋にしましょうか?」
「そうだね。ちょっと居心地悪そうだったし」
セリアーナの言葉にアレクの【隠れ家】での様子を思い出す。
俺も含めて女だらけだからな。
特に主であるセリアーナがすぐ目に付くところにいるし、むしろ気疲れするんだろう。
【隠れ家】に入る機会があっても外にいる事が多かった。
これなら彼も利用できるかな?
しかし……機能に変わりは無かったし、強化って増築なんだろうか?
今後ここを利用する人数が増えた時に便利ではあるけれど、いまいちよくわからんね。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・3枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚




