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俺とジグハルトの両極端なガチャを終えたその夜。
つい先程報告会も終わり俺は【隠れ家】にいる。
明日は城の敷地内にある騎士団の訓練場で【竜の肺】の検証に立ち会うから、早く寝るべきなのだろうけど……。
『セラ、入れて頂戴』
セリアーナの声が【隠れ家】内に響いた。
訓練場の使用についてじーさんの所にエレナと一緒に行っていたのだが、戻ってきたようだ。
中へ迎え入れる為に、玄関まで行きドアを開ける。
許可を出せば勝手に入れるようになれば便利なんだけれど、なんかそんな機能は無いんだろうか?
「どーぞー」
「お邪魔するね」
2人が中に入って来るが、エレナは何か書類の様な物を持っている。
「それが申請書?」
「そうだよ。ヴィーラ殿が伝えてあるから大丈夫だろうけど、念の為にこちらでも用意しておいた方が良いからね」
「へー……」
渡された申請書を見るが、中々細かく書いてある。
王城の敷地内にあるから無理も無いのだろうが、訓練場を使用する人数や名前、持ち込むアイテムの名称、形状等々……結構な機密情報だ。
地方と違って王都圏だと、中々アイテムやスキルの検証をできる場が無いから、どうしても騎士団の訓練場を使う事が多い。
そして、その使用許可を出すのは申請者の出身地から出向している領主の一族。
ミュラー家の場合はじーさんだ。
この制度のお陰で、国にも領主にもアイテムやスキルの詳細が知られる。
「あれ?」
よく出来てる……そう思いながら申請書を見ていたが、あることに気づいた。
「ねぇ、これ、オレの【浮き玉】とアレクの【猛き角笛】しか書いてないよ?【竜の肺】は?」
使用者はオレ、アレク、ジグハルト、フィオーラと合っているが、アイテムが違っている。
肝心なのが書いていない、
「申請書は人目に付くこともあるから、それでいいのよ」
……この制度は穴があるね。
「アレクやフィオーラなら上手くやるでしょうから、2人の言う事をよく聞くのよ」
「……はーい」
あの2人なら慣れてそうだもんな。
「ところで、何をしていたの?随分と色々広げているようだけれど」
「手入れをねー」
リビングに移動してきたセリアーナが、部屋を見て何をしていたのか聞いて来た。
まぁ、普段俺は本を散らかすことはあっても、それ以外は広げることは無いからね。
で、何を広げていたのかと言うと、アイテムの手入れの準備だ。
別に雑に扱っているつもりは無いのだが、昼間のジグハルトを見てしまうと、少し手入れ位はしようかなと思ってしまった。
「そう。邪魔はしないから続けて頂戴」
納得したのか、そう言い本棚から本を取って、半ばセリアーナの席と化している1人掛けのソファーに座り本を読み始めた。
エレナは何やら書き物を始めている。
2人の事は放っといて、手入れを始めようかね。
とは言っても、どうしようか。
一応【隠れ家】内には武具の手入れ道具なんかも用意しているのだが、そもそも俺のアイテムはどれもそのままの形で直接切ったり殴ったりするような物じゃない。
刃こぼれしたり歪んだりはしないだろう。
それなら汚れを落として、磨いたりする位かな?
◇
手入れを始めてから、多分20分位経ったと思う。
身に付けている物を外し、ブラシで埃を落としてから、濡れた布で拭いてから更に乾いた布で磨く。
物がアクセサリーなだけに、そんなに本格的な事じゃない。
しかし……これは意外と楽しい。
血や油などは付着していないが、細かい細工が施されているからそこに埃が詰まっていたりして、それを搔き出したりと、チマチマした作業なのだが、苦にならない。
裁縫はミシンが無いから断念したが、意外と向いているのかもしれないな……。
「セラ、お茶が入ったよ。休憩したらどうかな?」
「はーい」
【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】は終えたから、後は【浮き玉】か。
これはもう磨くだけでいいかな?
セラ・【隠れ家】【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・29枚
エレナ・【】・【緑の牙】・2枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・5枚




