20話
王国の槍を殺してすぐの司祭はすでにこの王都まで帰ってきているのだった。
「お疲れ様です。順調ですか?」
そう言いながら暗殺ギルドに顔を出す。
「おじさん!」
受付が見つけた途端、尻尾を振るようにして司祭に近寄る。司祭にまでおじさんなのか、もう年上全員がおじさん扱いになっていそうで少しヒヤヒヤする。
「言われた通りに戦闘訓練をしていたよ」
その目はキラキラとしており、今は頭の撫でて欲しそうに司祭を見上げているのだった。
「ありがとうございます」
司祭はそうお辞儀をすると、コールの方に近寄ってくる。そして一定距離の近くによることで、話しかけてくるのだった。
「勉学の方は大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。もう学園への入学はできるよ」
いつ試験が出てきても大丈夫なように準備はできているのだった。試験は来週だ。緊張するのは戦闘面だけだ。と言っても入学時に見られるのは、戦闘面はほとんどない。
見るのは学力や精神性だけだ。戦闘面はおまけで、クラス分けをする時に使うために知るというのが基本となっている。
戦闘は成長していけば自然と身につくだろうという観点から、重視されていないのだった。
「学生との戦闘を見るとどう思います?」
「…同い年なら圧勝、年上でも体格さの違いが少なく、武器を持っていないのなら勝てる」
仕事モードに入った受付の人がそう淡々と答えるのだった。
「そうそう、あのユウマって子をまとめた紙が来てるよ」
紙飛行機の形におられた紙が飛ばされるのだった。
紙に書かれているのは、この身辺調査と書かれているものだった。生年月日から、これからの行動予測まで書かれている。まずは生年月日だが、同い年だ。おそらく神による計らいだろう。
ここ数日の間、知らされていなかったが裏では助けた王女との婚約が決まっているらしい。一番重要視されているのは王子の方であり、国民に関係のない王女は気にも留められていないのだった。
そのため、この報告で初めて知ったのだ。こいつのこれからの行動は、学園に入ることが決まっているようだ。
初めて顔合わせをする。冒険者に潜り込んでいるものからの情報では、家族を重要視しているらしい。遠く離れた土地にいることから、すぐに会いにいくことはできないだろうと書かれているのだった。
「この方は?」
「敵の神子」
「どう殺します?」
「今、殺すのはなし。この地域のあたりにいるものは?」
司祭は支えられていない紙の上側を掴み、寝かせる。
「辺境ですね…。この地区なら、6人はいます」
「帝国のフリってできるよな?」
「変装や工作はお手のものです」
この転生者がいる地区は帝国の近くにある町だ。帝国から2つ目の位置にある。囲いの戦術をするのであれば、その町から襲撃されても不自然ではない。
「これが帰省するまでには、これの親を殺しておく必要がある」
「精神崩壊?いや、強者を帝国にぶつけるのが狙いですね」
「偽善が強ければ強いほど、帝国への牙となる。殺すことや狙われることでの精神負荷での奇襲で暗殺するのが一番の狙いだな。王国が負けて、一級戦犯で処刑されるのでもいい」
どっちに転んだとしても、最高の結果になる。
「王都もガラ空きになりますね」
「この時に王を暗殺して、内乱を発生させるのでもいいかもな」
まだ王国内だけであり、帝国や聖教国の情報がない。そのため、外交で協力関係を築こうとしているのであれば、真っ先に疑われるのは俺たちになるだろう。
「帝国の外交官の性格は?」
「帝国こそ至高の国です」
これなら心配する必要はないな。戦争を引き起こすことは容易となった。
「実行時期はどうします?」
「梅雨あたりだな」
腐って病気でも発生してくれるのが一番だ。湿気と夏に近いことから暑さから、腐敗は加速する。その結果、病気が発生すればいいのだ。
「病気を発生させ、上の聖職者で治療をさせる」
「そこを暗殺ですか」
「他にも病気用のポーションを買い占めと独占で利益を上げることもできるだろうな」
今後の展開も考えて、大量の金が必要になる。そのための金稼ぎと行こうか。




