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124話 師弟のコンビネーション

「ルォオオオッ!!!」


 魔族が吠えた。


 そして、突撃。


 あれこれと考えて、策を練っている時間はない。

 行き当たりばったりになってしまうが、即興で……それぞれのタイミングで動いていくしかなさそうだ。


「あたし達が来た以上……」

「もう好きにさせないのでありますよ!」


 アルティナとノドカは、怯むことなく、逆に前に出た。

 魔族の突撃に合わせて、同時に突きを放つ。


 その狙いはとても正確だ。

 故に、読みやすい。


 魔族は途中で体を捻り、二人の突きを避けた。

 そして反撃を……


「そこだ!」

「ッ……!?」


 体を捻り、わずかな隙ができたところで、俺が切り込む。

 全力で剣を振り下ろして……


 しかし、避けられてしまう。


 ただ、一歩、魔族は遅れていた。

 すぅっと線が入るかのように、魔族の体に傷ができる。


 二人のおかげで、ようやくダメージらしいダメージを与えることができた。


 アルティナとノドカは、あえて簡単な攻撃を繰り出して、反撃を誘い……

 後に続くであろう俺に託した、というわけだ。


「次、いくぞ」

「「はい!!」」


 繰り返しになるけど、どのように動くか、相談しているヒマはない。

 それでも、俺達は抜群の連携を披露することができた。


 互いが互いの死角をカバーして。

 攻防をフォローして。

 時に罠を張り。


 三人で魔族を追い込んでいく。


 互いに考えていることがわかる。

 心が繋がっている。


 嘘みたいだけど本当の話。

 言葉を交わさなくても、アルティナとノドカと完璧な連携を繰り出すことができた。


 師匠と弟子だからなのか?

 それとも、常日頃、一緒にいるからなのか?


 どちらでもいい。

 今はただ、魔族という脅威を排除するために、一人ではなくて三人で力を合わせよう。


「合わせてくれ!」


 とても曖昧な指示だ。

 こんなことを言われても、普通なら困惑するだろう。


 でも、アルティナとノドカなら。


 そう信じて、俺は前に出た。


「おおおおおおっ!!!」


 気合を迸らせながら剣を振るう。


 ありったけの力を込めて。

 技術などは、ひとまず無視をして。


 全力の一撃を繰り出した。


 岩を断つことをイメージした斬撃は、しかし、魔族に避けられてしまう。

 ただ、それは今までにない動きだ。


 今までならば、魔族は、俺の剣を避けることはしない。

 真正面から受け止めて。

 あるいは、軽く体を逸らすことで衝撃を分散させて。


 まったく避けようとせず、己の体を盾にするかのように受け止めていた。


 しかし、今は避けた。

 つまり、直撃したらダメージを負うと判断したのだろう。


 全力の一撃を繰り出した俺は、体勢を崩していた。

 敏捷な動きを見せることはできない。


 魔族もそれを理解している様子で、カウンターを叩き込もうとするのだけど……


「させないわ!」

「させません!」


 アルティナとノドカが、それぞれ剣撃を放つ。

 二人の攻撃は同調しているかのように息がぴったりで、ほぼほぼ同時に魔族を打つ。


 こちらはダメージを与えることができなかったけれど、動きを阻害することはできた。


「助かったよ」

「ふふんっ、師匠をサポートするのは弟子の役目よ」

「精一杯、がんばらせていただくのであります」

「なら、そのまま頼む」


 ここで怯まない。

 さらに前に出た。


 斬る。

 叩く。

 薙ぐ。

 払う。

 突く。


 ありとあらゆる角度から、ありとあらゆる斬撃を叩き込んでいく。

 後のことを考える必要はない。

 アルティナとノドカがなんとかしてくれる。


 だから俺は……


「お前を……斬る!」


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