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110話 快進撃は続かない

「ちっ、冒険者か……手間をかけさせてくれるな」


 大剣を手にした男が奥からやってきた。


 その顔や体には、無数の傷跡が刻まれている。

 強面の人相もあり、街中で会えば子供は泣き出してしまいそうだ。


 それだけじゃない。


 男から放たれる闘気、プレッシャーはかなりのものだ。

 質量すら感じるほどで、他の冒険者達は一瞬で飲まれてしまっている。


 ただ、ゼクスは別だ。

 不敵な笑みを浮かべたまま。


「おい、てめえがウロボロスの幹部か?」

「幹部? はっ、バカを言うな。俺が全てを支配しているんだよ」


 つまり、ウロボロスのトップということか。

 どうやら、ここは『当たり』だったらしい。


 とはいえ……


「……ガイ師匠、あやつ、あほでありますか? わざわざ、自分から狙ってくださいと言っているようなものでありますよ?」

「……言ってやるな。男には、時に見栄を張りたい時があるんだ」


 もっとも。


 男が本当に組織のリーダーと断言することはできない。

 長を名乗る影武者で、本物は裏で脱出の準備をしているかもしれない。


 すぐに男を倒して、拠点の調査を進めた方がいいだろう。


 前に出ようとしたら、


「おっと。ここは、このゼクス様に任せてもらおうか」


 そう制止されてしまう。


「む? しかし……」

「あんなやつ、大したことねーよ。ってか、俺の手柄を横取りしないでくれ」

「……わかった、任せるよ。ただ、くれぐれも気をつけてほしい」

「俺様を誰だと思っているんだ? 楽勝だぜ!」


 ゼクスはにやりと笑い、組織のボスに突撃した。


 隣で、ノドカが冷ややかに言う。


「今の、盛大なフラグでありますな」

「そう……か?」

「拙者、彼が倒される方に一票です」


 本当に倒されてしまうと困るので、そうならないように注視しよう。


「おらぁっ!」


 ゼクスは獣のように突撃して、組織のボスに斬りかかる。

 重く速く、そして綺麗な剣筋だ。


 組織のボスは大剣を盾のようにして、ゼクスの攻撃を受け止めた。


 まるで石像のよう。

 不動の構えて、まったく怯むことがない。


「へぇ、やるじゃねーか。お前の部下達は、俺の一撃でみんな倒れたぜ?」

「てめえこそ、まあまあだな。俺の部下になるっていうなら、見逃してやらないでもないぜ?」

「はっ、ありえねえな。なんで、強い方が弱いヤツの部下にならないといけないんだよ」

「吠えたな、小僧」


 再び剣が交差する。


 ゼクスはさらに剣速を上げて、変幻自在の剣を見せる。

 対する組織のボスも攻撃に移り、大剣を軽々を操ってみせた。


 二人の攻防は続く。

 激しく、激しく、激しく。

 荒れ狂う嵐のように、周囲の物を巻き込みつつ、切り結んでいく。


「おぉ、あの小童、なかなかやるでありますな。拙者が思っていた以上の実力者がありますよ」


 ノドカは、ゼクスを小童呼びできるほど年上ではないと思うのだが……

 ふむ。

 年上ぶりたい年頃なのだろうか?


「これなら、拙者達の出番はなさそうですな。むぅ、残念」

「……いや。そうはならないと思う」


 二人の動きを注視しつつ、自然と否定の言葉がこぼれる。


「ガイ師匠?」

「このままだと、まずいかもしれないな」

「そう……ですか? 拙者が見る限り、小童……ゼクスが上のように見えるのですが」

「今は……な」


 ゼクスの方が速い。

 技術も上だ。


 ただ……


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