見せて貰おうか、貴国のナイトウィザードの性能とやらを!
『手慣れたものだな』
会敵後、白兵戦に至るまでの過程に於いて、様々な魔法を撃ち込まれるのは相手に依らず常識のため、経験豊富な麾下の者達は其々に回避手段を修得している。
完全に躱せないまでも装甲を削らせる程度に留め、各部の損傷を最小限度に抑えており、どの攻撃も致命傷とはならない。
此方も前衛組の皆に倣い、堅牢なベルフェゴールの左腕を上手く宛がわせて、飛んできた焔弾の軌道を逸らす。
『うぅ、衝撃で痛いのとか、私はちっとも慣れないけどね……』
『悪かったな、射向が合うなら次は右腕の盾を使う』
騎体との感覚共有によるフィードバックを受け、やや恨みがましい声を出したレヴィアに一言添えていれば、唐突に側方から爆音が響き渡った。
『くそッ、盾で受けちまった!!』
『… ディノ君、それは普通だと思うけど』
念話装置越しに届いた悪態から察する限り、専用兵装の中型盾に複数取り付けられた反応装甲を温存したかったのだろうが、言葉に詰まったリーゼの指摘は正鵠を射ている。
本来、転移前の地球でイスラエルが戦車用に開発した “火薬仕込みの装甲” は指向性のある爆発を以って、攻撃を相殺する防御手段だ。
(こっちだと、もはや殴り付けている印象しかないけどな……)
本末転倒な光景に口端が緩んだところで、斜め前方に位置するスヴェルF型二番騎が背部バースト機構を噴かせ、残り少ない敵勢との距離を一息に駆ける。
『馬鹿なッ、巨大騎士の動きじゃないぞ!』
『ふふっ、貴殿が遅いのです』
外部拡声機で皇統派の騎士と言葉を交えながらも、基本的に猪突猛進な性格の某令嬢は乗騎の腕盾を構えさせたまま吶喊して、敵勢の一翼など担うエイドス領所属と思しきグラディウスに体当りをかました。
アインシュタイン曰く “質量×速さの二乗” が生み出した衝撃により、咄嗟に翳した腕盾ごと弾かれていく敵騎を逃さず、追撃の戦斧を薙ぎ払う。
『ぐッ!?』
『ッ、うぁ…』
首筋に喰い込んだ斧刃が “頭部を切り離す” 感覚の共有、それに耐えられるはずもなく操縦者らが意識を手放せば、頭のない躯体は地響きを鳴らして荒地に斃れた。
僅かに遅れて背部バースト機構を軽く噴かせた此方も同型の敵騎に迫り、突き出された西洋式薙刀に対してベルフェゴールの上半身を捻らせることで躱しつつ、右掌に握り込ませたサーベルの切っ先で相手の喉元を穿つ。
『ッ、ぐぅううッ!!』
『大人しく、昏倒していろ』
必要なら一切躊躇わないが、無為に殺めるのも本意ではないため、傷口を抉り広げて疑似眼球に向かう神経節ごと人工筋肉も断ち、その反動で騎体と繋がる者達を気絶させた。
『貴様ッ!!』
近場にいた敵勢の一体が薙刀を振りかざして半歩踏み込んでくるも、機先を制して振り抜かれたスヴェルF型一番騎の戦斧が横合いから胸部に直撃して、操縦席の付近をぐしゃりと潰していく。
『うぁ… 容赦ないね、ザックスさん』
『いや、俺達が甘すぎるだけだろう』
小さく呟いたレヴィアに応える傍ら、少し退いて戦況を見渡せば月ヶ瀬兄妹のベガルタや、藍髪の騎士が搭乗するガーディアも前線に到達していた。
恐らくは薙刀が制式兵装であろう二体のグラディウスが迎え撃ち、それぞれに鋭い袈裟斬りを放ったのだが……
見切りに長けたロイドは柳生の系譜らしく後の先を取り、斜めに踏み込んで躱しながらもベガルタを独楽のように回転させ、煌かせた刃で無防備な延髄を切断する。
対照的に粗さが残るディノは一度切り結んでから、改造騎の中型盾で強引に相手の躯体を殴り付け、残っていた反応装甲と諸共に爆散させた。
『はぁっ… もっとスマートにできないの?』
『小言は後にしてくれ、リゼ』
いつの間に愛称で呼ぶようになったのやら、騎体と人工筋肉を介して一緒に繋がるレヴィアの食指が微かに動いたものの… 交戦中なので黙殺を貫き、皇統派の徽章を付けた敵騎の牽制に傾注する。
初手の攻防で五体の主力騎を瞬殺されたエイドス領の騎士達は腰砕けとなり、長柄の武器を騎体に構えさせたまま攻めあぐねていた。
『来ないなら、此方から仕掛けるのみ……』
『ん、そういうの好きだよね、クロード』
『この後にリグシア領の連中も控えているからな』
前衛組を二組編成に分けて左右の残敵へ宛がい、新任騎士らが乗るクラウソラスの引率で出遅れたゼノスの団長騎と自騎の肩を並べて、麾下を従えたグラディウスの重装型と相まみえる。
『歪な黒銀の騎体、リゼルの騎士王と見受ける』
『相違ない、其方は?』
『エイドス領の騎士長、ベルトラン・ウォルノだ』
名乗りを上げた御仁は騎体の右肩に戦槌など担がせ、左肩に取り付けられた厚い大盾をベルフェゴールに向けた。
皇統派の立場だと騎士国の行為はアイウス帝国への内政干渉に他ならず、言いたい文句は多々あるのだろうが、戦場故に飲み込んで刃金を交える腹積もりのようだ。
『心遣いに感謝を… 斑目蔵人、推して参る!』
『見せてもらうぞ、貴国の巨大騎士の性能とやらをッ!』
咆えると同時に地を蹴った重装騎は上質な人工筋肉だけで組まれているのか、又は操縦者の騎体同調率が非常に高いのか、厳つい躯体に似合わない想定外の加速を見せる。
中途半端に躱そうとして弾き飛ばされるよりも、真っ向から受け止めた方が損害は少ないと瞬断した俺は騎体右腕のアームシールドを構えさせる動作に合わせて、重心が低くなるように腰も落とさせた。
好きなんすよ、ガ〇ダム(*º▿º*)
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