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真面目ちゃん 設定集  作者: 亜空間会話(以下略)


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15「33筆 しろくろ中心グルリンだ!?」(1)

『キラ星選隊イチバンファイブ!!』これまでのあらすじ


 新たにもたらされた「ドアー」カードを使い、ついに剣の道に悟りを見たヒョウドウは「イアイシー カット・ワン」へと進化し、カブト・ペッターとクワガタ・ペッターを打倒した! しかし、自身の力が通用しなかったばかりか、いまだに変われない自分を恥じるサクヤは、今日もまた悪夢に苦しんでいて……。

『これがニンゲンか。適合率はどうなのだ』

『おやおや、おやぁ! 期待通り九十パーセントもあるよぉ! これじゃすぐ使えなくなるねぇ、帰ってこないもの』


 真っ赤な化け物と、不気味極まりない色彩をべたべた塗った化け物が笑う。


『ああ、寒い……早く使おう、また墓に同胞を埋める前に』

『そうだな。おい、立たせろ!』


 聞き慣れたあの音、体が作り替わっていくおぞましい感覚。


『行けっ、「アックス・ペッター」! ニンゲンどもを皆殺しにするのだ!』








「うわぁぁああああッ!!!」


 飛び起きたサクヤは、喉元を伝う汗を、寝間着のすそで拭った。


「……また、……いつもの、か」


 異世界からの侵略者「ヌリカ・エデン」に対抗するため結成された特殊部隊「イチバンファイブ」。もともと五人編成が想定されていたものの、三人が殉職、二人が非正規メンバー、残りの一人は元怪人である。敵の攻撃規模は小さいものの、限界が目に見えるほど厳しい戦いが続いていた。


 ヌリカ・エデンに拉致されたサクヤは、偶然「ライトカード」=変身の適性を持っていた。あちらの世界でも、適性を持つ兵士はカードを貼り付けられ、怪人「ペッター」へと変貌してしまう。ニンゲンは適性があれば死なないのか、あるいは彼らの兵士として利用可能なのか――実験のためにサクヤは怪人にされ、ヌリカ・エネルギーを注入されて正気を失った。


 幸いにも、破壊活動を始めた直後にイチバンファイブがやってきたため、彼らに重傷を負わせただけで……誰も死なせずに、人の世界に帰ってくることができた。そして彼は、恐怖を克服し適性を持ち腐れにしないために、イチバンファイブ最後の戦士「オ=ブラン」へと変身した。


(まだ、怖いのか。いや、……克服なんて、していないが)


 彼の使う「アックス」カードは、ただ道具として用いられる白の側面と、処刑用に用いられた歴史から来た黒の側面が存在する。オ=ブランからカードを反転させたサクヤは、漆黒の処刑機械「オ=ノワール」へと変貌し、執拗かつ冷酷な方法で以て、敵を確実に討滅する。


 その精神的変化を克服する方法は、まだ判明していない。戦力が足りないからと用いて、敵を倒したのち味方に刃を向ける事例も、いまだに発生していた。


(……ヒョウドウもマリカも、自分の弱さを克服して、……新しい姿になったのに)


 変身に使うカードの力を爆発的に高める「ドアー」のカード。究極の力を手に入れた二人は、前よりもずっと明るくなり、迷いがなくなった。だというのに、サクヤは迷い続けている。


(俺は、この力を使い続けていていいのか……?)


 いずれ、本当に人の命を奪ってしまったそのときに、後悔することになるのか。それとも、力を使わずに蹂躙される人や街を見て後悔するのか。鳴ったアラームを止めて身支度を整え、サクヤは基地に向かった。


「サクヤさま、どうされたのですか? ずいぶんと顔色が悪うございますが」

「キナリさん。また、悪夢を見て……」


 もとはヌリカ・エデンの一般人だった老爺キナリは、いち早く地球にやってきて、ヌリカ・エネルギーやライトカードについての情報をすべて開示した。悪夢に出てくる幹部たち、「ダンショック」や「カンショック」「ホショック」に比べれば異形には見えづらいが、彼もまた人間とは少しばかり違う姿をしている。


 あちらからすれば国賊、とんでもない裏切り者とも言えようが……一般市民を拉致して侵略用の兵士に改造していることにより、統治機関の支持率は最悪である。彼を支持する声はあっても、彼を糾弾するのは最高幹部くらいのものだろう。


「この老いぼれには、たくさんの後悔がございます。サクヤさまはまだお若い。お仲間もいらっしゃる。今お抱えになっているものが、軽くなることもあるやもしれません」

「俺は、イチバンファイブでいていいのか?」

「私からお願いしたときのことを、覚えていらっしゃいますかな?」

「……ああ」


 異世界のものであるヌリカ・エネルギーを浴び、それをバトルスーツとして身にまとう変身システムは、危険度も高い。初期型のスーツでは、意図せぬ不具合によって異世界へのゲートが開き、変身者が行方不明になる事件も起きた。適正値が高い人間は貴重で、怪人に立ち向かえる水準に達しているものは、いまだ確認済みの「イチバンファイブ」メンバーしかいない。



――人を傷つけることも、誰かが傷つけられることもお嫌いなのでしょう。

――ならばその斧を、人のために振るってはくださいませんか?



「俺の使命を、忘れてはいないんだ。だが、どうにか……オ=ノワールを制御する方法を知りたい。あのときも、あと少しで……」

「カードの解析は、今も進めております。「ドアー」カードを使えるようになれば、完全制御も可能になるやも、と。いま少し、お待ちください」

「……ああ。ありがとう、キナリさん」

「いえ、いえ。祖国を裏切った敗残兵を迎え入れてくださったご恩がありますから」


 過去は消えない。重い空気から逃れるようにレーダー室に向かおうとしたサクヤは、警報音を聞いた。


『G三番地区にペッター出現! 至急応援願います!』

「ッ!」


 飛ぶように駆けていく体には、縛る鎖のひとつも巻き付いてはいなかった。

 本編に収録されていましたが、あまりにも評判が悪いためこちらに移動しました。以降も「本編でやるにはちょっとアレかな?」と思った内容はこちらに投げ込んで行こうと思います。

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