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たまさま
ある日の昼 あふれる涙と安堵の溜息
僕はソファでテレビを見つめるふりをして
鼓動が高鳴るのを感じながら
台所に立つ君を盗み見る。
休みの日、何時も君は僕の部屋を訪れる
つきあい始めて丸三年
僕はそっとポケットの中に手を入れると
小さな箱が指先に触れて
僕の鼓動が高鳴っていく
君が近づいてくる足音
何時ものように僕の傍に腰掛けて
高鳴る鼓動を抑えながら
そっと君を抱き寄せて僕は君を見つめる
不思議そうに見つめる君の瞳が眩しくて
ここで言うのを戸惑ってしまう
ホントならもっとちゃんとした場所で
でも、僕らは肩肘張るのは似合わない
だから、何時もと同じ昼下がりに
僕は君に伝えることにした
君といつまでも一緒に居たいから
結婚してください
僕が差し出した指輪に君は大きく瞳を見開いて
最高の笑顔で頷いてくれた
溢れる涙を拭うこともせずに
その表情に僕は安堵の溜息をつきながら
そっと君を抱きしめた
けれど、小さな声で
もっとロマンティックな場所が良かったな……でも
貴方らしいけどね
クスリと笑う君と苦笑いの僕
これから先もよろしくね




