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好きだったの。  作者: 菜々子
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なんでですの。

「お嬢様、今日はどんな御用ですか?」

今日もオリバー様は、不機嫌そうにおっしゃいます。

通常通りです。

「今日は焼き菓子を持ってきました。そろそろ、お茶にしませんか?」

詰め所に通っているうちに、アリスさんと仲良くなって隊長は意外と甘いものもお好きですよ。と教えていただきました。

 ローズ様は、あの強面隊長のどこがいいんですか?

さっきアリス様に言われた言葉が、頭に浮かびました。

どこがいい?

オリバー様を改めて見ます。

背も高くがっしりしていて、髪は黒で短くて、眼光は鋭く、いつも不機嫌そうで。

でも、仕方がないと苦笑される顔や声はすごく優しくて。

食べているときの、ちょっと気の抜けた顔も可愛らしくって。

「お嬢様?」

怪訝そうな声を聞いて、私がじっとオリバー様を見つめていた事に気づきました。

「すいません。失礼を。」

恥ずかしくて、顔が赤くなります。

慌てて、お茶の用意をします。

「何かありましたか?」

いぶかしむような声に

いいえと言うとお茶の準備が出来たので、部屋の外へ出ました。

いつもは、一緒に頂きますが今日はなんだか無理そうです。

メルを探しましたが、見当たりません。

そうです。

たまには、詰め所の方々と頂きましょう。


詰め所の騎士の皆さんは、オリバー様の事がとてもお好きなようで。

「サンドイッチなら、燻製ハムが入ったものが好きですよ。」

「隊長は、近衛の騎士に負けないくらい強いっすよ。」

「お酒にも強くって、酔っ払ったのを見たことがありません。」

などなど。

沢山話してくれました。

私は知らないオリバー様のことが聞けて、嬉しくなります。

ニコニコ笑って聞いていたら、皆さんが

「もうこんな時間だ。」

「そろそろ、見回りに。」

「あっ俺も。」

「ちょっと書類を。」

「買出しに。」

と言っていなくなってしまいました。

思ったより時間が経っていたのでしょうか。


「お嬢様。」

なんだか、いつもより不機嫌な声がします。

恐る恐る振り向くと、

しかめっ面をした、オリバー様と目が合いました。

うっ。

先程より機嫌が悪くないですか?

「わっわたくしもそろそろ失礼します。」

メルはどこでしょう。

「メルのことはギルが送るそうです。」

えっ。

なんでですの?

「帰るなら送ります。」

いいです。と言える雰囲気ではありません。

何故か眼光鋭く、睨んでおいでです。

はい。帰ります。


並んで歩いているオリバー様をチラリと見上げます。

とオリバー様もこちらを見ていて目が合いました。

慌てて目線を逸らします。

どうしてこうなったのでしょう。

きっとアリス様のせいです。

あんな事を聞かれたので、変に意識してしまいますの。

赤くなった顔を見られたくなくて、なんとなく伏し目がちに歩いていると

「ローズ。ローズじゃない。」

よく知っている声に身体がびくりと反応しました。

「マーガレット。」

通りの向こうから、無邪気に手を振る親友を見つけました。


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