5-50. 物語の終わりはバッドエンドよりハッピーエンドで(5/5)
約2,500字でお届けします。
楽しんでもらえますと幸いです。
ムツキがゆっくりと振り返ると、ナジュミネ以外の女の子たち6人が部屋の中にぞろぞろと入ってきて、彼の方へと近付いていく。
「というか、人に心配させておいて、扉も閉めずに公開イチャイチャってどういう了見かしら?」
そう言い放ったのは、リゥパだ。
彼女は白い肌と長く尖った耳が特徴的な見目の美しい森人とも言われる妖精族の一種エルフであり、若干スレンダーな体型で、優しそうな丸みを帯びた目の中にある瞳の色や髪の色が淡い緑色をしており、髪がショートボブで短く綺麗にまとめられている。
彼女は薄緑色をした膝上丈で七分袖のワンピースタイプのパジャマを着ており、パジャマから見える白い手足が色っぽい。また、両手首に身に着けている琥珀色の腕輪はエルフの姫の証である。
「いや、扉はまあ、それだから閉められないけど……」
「イチャイチャの方は否定しないの? 割と本気で心配したんだけどな」
腕組みをして、頬もめいっぱいに膨らませて、ムツキにそのような言葉を言い放っている女の子が彼の最初のパートナーであり、創造神にして唯一神である女神ユースアウィス、普段、ユウと呼ばれる幼女である。
彼女は白いナイトキャップに薄青色の寝間着姿だった。背中が隠れるくらいの長い金髪に透き通るような白い肌をしていて、ぱっちりなお目目の中には綺麗な青い瞳がその存在感を主張していた。お人形さんと呼ばれても遜色ないほど、理想的で綺麗な姿である。
「えっと、その、あれだよ、その、解決したから、仲直り的なそれで……ほら、ユウにも前にしたことあるだろ?」
ムツキは若干しどろもどろになりながらもなんとか言葉を紡いでいく。
「ふーん。そういうことなら、じゃあ、私もまたぷんぷん怒っちゃおうかな」
「やめてくれ……もし、みんなにそんなことされたら、俺の精神がもたないから……それに、そんなみんなをあまり見たくないんだよ……」
「そ、そんな顔をしないで、冗談だよ、冗談!」
「ムッちゃんも中々やるわね……」
ユウが意地悪な笑みを浮かべて、半ば脅しのような言葉を口にしたので、ムツキは困ったような悲しいようなを隠さずに見せた。すると、彼女は彼のその表情を見て焦ったように自分の言葉を否定する言葉を放ち始める。
「ところで、抜け駆け姐さん」
「ところで、抜け駆けナジュミネさん」
リゥパとユウがムツキに狙いを定めている中、メイリとキルバギリーはナジュミネの方に焦点を当てていた。ムツキが身体を向き直していたため、ナジュミネは彼の背中に少し隠れるかのように寄り添って、彼を独り占め状態である。
「むっ……むぅ……今回のは抜け駆けでは……」
「まあ、それは置いておいてあげよう! でさ、仲直りしたってことは、みんなでお出かけもありってこと?」
メイリはニヤニヤとしたまま、ナジュミネにルール変更の最終確認をする。
ナジュミネはその問いに小さく肯いた。
「あぁ……みんなにも迷惑を掛けたな……」
「じゃあ、早速、ダーリンの言っていた紅葉ピクニック、ケットの超豪華ピクニックランチ付きに早く行こっ!」
「え? 紅葉ピクニックだと!? い、今からか!?」
ナジュミネはムツキが紅葉ピクニックまで提案していたとは知らなかったようで、今から出かけると聞いてガバッと起き上がる。
「そう、天気も良いから行きたいんだ……」
「くっ……旦那様が珍しくも外出と言うなら仕方あるまい……行く者は全員、支度を開始せよ!」
ナジュミネの号令とともに、全員が慌ただしく支度のために自室へと散り散りに戻っていく。
部屋を追い出されたムツキは少し悩む。女の子たちよりも支度の時間が短くて済むため、自分の支度だけなら時間が余るのである。もちろん、彼の支度は彼一人でできない。
「……まだ時間があるし、朝風呂にでも入るか」
ムツキが脱衣所へと向かうと、それに気付いた猫の姿をしている妖精が彼についていって、脱衣所で彼の服を脱がし始める。
彼は自力で衣服を脱ぎ着できない着脱不可の呪いを持っており、誰かにお願いするしかない。
「にゃー」
「ありがとう」
ムツキが全裸で風呂場へと向かうと、後から犬の姿をした妖精が数匹、彼についていった後に彼の頭や身体を全身くまなく洗っていく。
彼は自力で自分の身体や髪を洗うことができない洗身不可、洗髪不可の呪いがあるためであり、これもまた誰かにお願いするしかない。
「わん」
「ありがとう」
朝のひと風呂を終えた後、いつものビジネスカジュアル姿に着替えたムツキは次に、ダイニングへと向かい、自分がいつも座る椅子に着席する。
しばらくすると、彼の前に朝食が運び込まれる。その後、彼の席の隣にウサギの姿をした妖精が現れて、器用にスプーンを持ってからできたての温かな野菜スープを彼の口へと運ぶ。
彼は食事不可の呪いもあり、自分で食べる動作をしようとしても無意識に食べる動作をやめてしまい食べ物を自ら摂取することができないのだ。故にこれもまた誰かにお願いするしかない。
「ぷぅ」
「ありがとう」
ムツキはこのように生活が困難になる様々な呪いが掛かっており、みんなの介護がなければ満足に生きていけないレベルである。
しかしながら、それ故に彼は他の人との繋がりの大切さを知ることができて幸せだと感じており、自分ができることに全力を尽くそうと思えるのだった。
「できたニャ! 今日はハーレムのみんニャと楽しんでくるといいニャ」
「おぉ……ありがとう。でも、いいのか? モフモフのみんなは行かなくても」
「大丈夫ニャ!」
ケットはこれでもかと山のように積み上げた重箱を持ってきて、ダイニングテーブルにドンと置いた。驚きで笑顔になっているムツキはこれを自分のアイテムボックスの中にしまい込んで、彼のできるだけの準備が完了した。
「……帰ったら、ちゃんとモフモフたちも労うからな」
「ニャー、分かったニャ。みんニャ期待して待つニャ」
ケットが2本の尻尾で〇を描いた後に、ハートマークを描いて嬉しそうにしている。そうこうしているうちに、いろいろと支度を終えた女の子たちが続々とダイニングテーブルの周りへと集まってくる。
紅葉ピクニックということで、全員、動きやすい服装をしていた。
「旦那様は準備できたのか?」
「あぁ。完璧だ」
「よろしい。他のみんなも準備ができたようだ」
「みんな、ありがとう。じゃあ、紅葉ピクニックに行こう!」
これは、異世界の創世神に招かれて最強の転生者として生まれつつも代償の呪いもたくさん持つムツキが、モフモフとハーレムに囲まれながら楽しく笑いあり涙ありのスローライフを送るべくがんばるお話である。
最後の最後までお読みいただきありがとうございました。
これにて第5部、ならびに、本作は完結です!
なお、作者の励みになりますので
・ブックマークに追加
・評価(下にある☆をポチり)
・読んでみた感想
・いいね
などの応援をお気軽にいただけますととても嬉しいです!
してもらえるととても喜びます!




