5-Ex7. この世界は永遠より今が大事で(1/2)
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楽しんでもらえますと幸いです。
世界樹の剪定も全て終わってからナジュミネが気絶して少しだけざわついていた頃、レブテメスプはユウを見つけて近寄った。
「やあ☆」
「ん? レブテメスプ、どうしたの? 珍しいね?」
ユウは座っており、近付いてきたレブテメスプを不思議そうに上目遣いで見る。
昔はアニミダックやタウガス、ディオクミスも含めて、よく一緒にいた彼氏彼女の仲だが、ユウがムツキの伴侶になり、レブテメスプがキルバギリーの父親になった最近では近くにいたとしても一緒にいることが少なかった。
「ま、挨拶さ☆」
レブテメスプがそう呟いてユウの隣に座る。
「そう? とか言って、他にも言いたいことあるんでしょ? というよりも、聞きたいことかな?」
レブテメスプの性格を知っているユウは、話を合わせつつも本題へと進むように促す。レブテメスプは敵わないと言わんばかりに肩を竦めて、ゆっくりとした動作で彼女の隣に座る。
「まあね☆ それにしても、今回、あの毒蛇には驚かされたね☆」
「もー、ほんとだよ。ニドがまさかそんなことできるようになったなんて。私でも今から新しい世界を創るのはもう無理なんじゃないかな」
ユウがニドのことを考えているのか、彼女はレブテメスプから目を逸らして遠くの空を見る。
「それは寄ると……」
「それ以上言ったらぶっ飛ばすよ?」
寄る年波には勝てない。
そうレブテメスプが呟くのだと気付いたユウがギロリと睨み、彼は全身でビクッと跳ねる。その後、硬直が解けた後のぎこちない様子で、彼はお手上げだと両手を軽く上にあげた。
「おっと、怖い、怖い☆ ま、ぶっ飛ばされるのは勘弁願いたいから、それは置いておいて……これでしばらく気にしなくて済むよね☆」
仕返しとばかりにニヤつきながら、レブテメスプがそう思わせぶりに問いかけるような言葉を出すと、今度はユウが全身でビクッと跳ねる。
「……何のことかな?」
「世界樹の魔力飽和」
「なななっ! …………気付いていたの?」
ユウの声が少し大きくなったので、レブテメスプが人差し指を自分の口に手を当てて微笑む。彼女は大きく開いていた口を閉じてから、再度小さく開けて話し始める。
「ムツキを異世界から呼んだのは、ムツキを自身の最高の伴侶にするため。これ、半分は本当だと思っているよ。だって、ボクたちと曲がりなりにも楽しんで笑っていたはずの昔と比べても、ユースアウィスの喜怒哀楽が豊かになっているからね」
「…………」
レブテメスプがゆっくりとユウを見ながら説明をしていく。その様子は正解不正解を確認するというよりも、彼女の表情の変化を楽しむかのような意地の悪さが笑みから浮かんでいた。
ユウもまた彼の意図を理解しているかのように、正解不正解を言わずに努めて無表情で黙って聞いている。
「じゃあ、半分は? ま、推測だけど、世界樹が魔力飽和で暴走しないよう、異世界の魂、つまり、ムツキに普通じゃあり得ないほどの魔力をぶち込んでるよね☆ こんな量をこの世界の魂にぶち込んだら一瞬で消滅するね☆ それは創世神のユースアウィスでもさえも例外ではない」
「…………」
「で、今回のことで分かったけど、ムツキも比喩じゃなしに世界樹みたいなもんじゃんね☆ って言うか、魔力の貯蔵量と貯蔵可能限度からすれば、世界樹以上かもね。その世界樹も昔はそこまで魔力で肥大化していなかったはずだけど☆ で、長くなったけど、これが残りの半分……でしょ?」
「……そこまでバレてるかあ」
ユウはごまかすこともなく、レブテメスプに小さな拍手を送る。自信たっぷりの彼をごまかせるほどの話を考えつかなかったと言わんばかりに、彼女は口の端を少し下げて困ったような悔しいようなといった表情を貼り付けていた。
「子が親を超えることなんて、いくらでもあるように、ボクはユースアウィスの頭脳を超えているからね。確度の高い推測、まあ、推測ではあるけれども、それくらいなら簡単なわけさ☆」
「ちょっと……言い方が鼻につくんだけど?」
ユウはバカにされたと思ったのか、髪の毛を指でくるくると巻きつける遊びをしながら、頬を少しばかり膨らませて、口をツンと尖らせた。
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