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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第5部2章 毒蛇の王ニドの計画始動

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5-32. 驚きはいつもの悪態より不意の優しさで

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 ムツキは独り半裸状態で、樹海の中を自分の家の方へ凄まじい勢いで走っていた。


「うおおおおおっ!」


 膨大な魔力のおかげで疲れ知らず、かつ、速度も申し分ないが、樹海という天然の障害物走を前に時間がみるみるうちに過ぎていく。


「【テレポーテーション】! 【レヴィテーション】! 【テレポーテーション】! 【レヴィテーション】! 【テレポーテーション】! 【レヴィテーション】! まだ使えないかあああああっ!」


 爆走しながら、どこかで魔法が使えるようにならないかと時々、【テレポーテーション】と【レヴィテーション】を交互に叫んでいる。


「どいてくれえええええっ!」


 ムツキは途中途中で動物の姿をした触手の塊などに出会いつつも構わずに突進して吹き飛ばしていく。蹴散らされた触手は樹海の木々にぶち当たって、ぐったりと動かなくなってから消失していく。


「どいてくれえええええっ!」


「きゅぴっ!?」


「本物かあああああっ! とうっ!」


 もし彼が本物の動物や妖精たちと出会ったときは、吹き飛ばさないように跳び越えながら走り続けている。


「くっ! 結局、家まで走りきりそうだ!」


 しばらくすると、家に近い見覚えのある景色に出会い、ムツキは速度を緩めることなく、樹海から樹海周りの草原、自分の家のある広々とした大草原に姿を現す。


 しかし、彼を迎えたのは草だけではなく、さまざまな姿を模した多くの触手だった。


「なっ! これは!」


「ムツキ!」

「ムツキ!」


 ムツキが現れると同時に、アニミダックとレブテメスプは彼の存在に気付いて名前を叫び、モフモフ軍隊も彼の方を一目見てから戦闘へと戻っていく。


「アニミダック! レブテメスプ!」


「てめえ、のんきに半裸でどこほっつき歩いてやがる!」


「実は!」


 ムツキはアニミダックとレブテメスプが味方をしてくれていると理解し、触手を吹っ飛ばして近付いていく。


 アニミダックの怒号をさらりと躱して、ムツキがニドとのやり取りの話を事細かに説明していく。

ニドの昔話から、ニドが新世界を創ること、ニドがユウの固有能力を欲していることなどを包み隠さず説明していく。


 レブテメスプは困ったとも面倒ごとに巻き込まれたとも言わんばかりの難しい表情で状況を整理しようとする。


「やっぱり、ニドですか。しかし、新世界……ね。この世界を毒蛇のための世界に作り変えるつもりでしょうかね。ま、そんなものはボクの発明で阻止してあげるけどね☆」


 レブテメスプは登場してからいろいろなことが起こっているために、いつもの賑やかな口ぶりから昔の静かな口調まで振り幅が広がっていた。


 一方のアニミダックは愛しのユースアウィスが狙われていると知り、怒りと焦りが混ざったような歯をむき出しにした表情で樹海の方を見つめている。


「ユースアウィスが狙われているだと!? 毒蛇ごときがっ!」


「ユウはどこだ!?」


「ユースアウィスなら世界樹の方へ向かったさ☆ 世界樹が何らかの異常だと感じたようだぜ☆」


 ムツキも世界樹の異変はなんとなく感じていた。


 正確には、樹海全体が魔法の使えない状態ということに、彼は具体的にどうしたのか分からないものの、ニドが世界樹に何かをしているのではないかと思っていた。


 樹海の中で【バリア】も【レヴィテーション】も【テレポーテーション】も使えないとなると、ユウを守るものが彼女の自身の膨大な魔力だが、ニドの真似る手段が分からない以上、ムツキは不安ばかりが募っていく。


「ええっ……じゃあ、また樹海に行かないと!」


「待て!」


 ムツキが踵を返して樹海の方へと向かおうとすると、アニミダックが大声で彼を引き留める。


「アニミダック、なんだ!?」


「ナジュミネを慰めてから行け!」


「え?」

「え?」


 ムツキもレブテメスプも思わず素っ頓狂な声が出てしまう。さらに、アニミダックも自分が何を言っているのか分かったようで、急に苦虫を嚙み潰したような表情で誤魔化す。


「……え? じゃねえ! ナジュミネが毒蛇のせいで出てきやしねえ。メイリもコイハも近くにいるが、お前が声を掛けてやれ! ……てめえの女の機嫌はてめえで取れ!」


 アニミダックはムツキの方を向いていた顔を敵の方へと向けて、触手を生成して激しくぶつけ始めている。


「……あぁ! 分かった! 教えてくれてありがとう!」


「礼なんざいらん!」


 ムツキが家の方へと駆けながらアニミダックに礼を言い、アニミダックはその返しでぶっきらぼうに答える。


 レブテメスプは先ほどきょとんとしていた顔をニヤニヤしたものへと変えて、まるで新しいおもちゃを見つけた子どものようにアニミダックの周りをウロチョロとする。


「……ユースアウィスが心配なんだろう? こんな時なんだから、ムツキが近くにいた方がいいだろうに」


「心配に決まっているだろ! ムツキが近くにいた方がいい? ふざけろ! 敵を倒したら俺が真っ先にユースアウィスの下に行く! えっと、だから、ムツキにタイムロスさせてやっただけだ!」


「……まったく、すっかり周りが見えるいい性格になってしまったようですね」


「はあ!? まだまだ敵はわんさかいるぞ! てめぇも俺で遊んでんじゃねえ!」


「はっはっは☆ 心外だな、遊んでいるように見える? ボクもキールが心配だからね☆ さっさと終わらせるさ!」


 アニミダックの触手は無数に増え、レブテメスプの操るラグナレックの攻撃は敵を一気に屠っていった。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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