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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第5部2章 毒蛇の王ニドの計画始動

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324/360

5-19. 異変は自然な形より突然の形で(2/2)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 ナジュミネの悲鳴が微かに聞こえたムツキはガバッと起き上がって、一緒に寝ているメイリとコイハを置いたままにパジャマ姿で急いで階下へと駆けていく。その途中でケットと出会い、彼らは脱衣所を通り、風呂場の方へと走り抜けた。


 ケットは脱衣所でタオルを手に入れることを忘れず、その後、ムツキに投げ渡した。


 その後ろから遅れてクーが追いかけている。


「ナジュ! どうした!?」


「ニャジュミネさん、どうしたニャ!?」


 ナジュミネは未だに小さな悲鳴をあげて涙もぽろぽろと零し、腰砕けでがくがくと震えていて這って動くこともままならなかった。


 ムツキがケットに手渡されたタオルを彼女にそっと巻いてあげながら、彼女の顔を見て話を聴くことに専念する。


「へ、蛇! 蛇っ! 蛇がっ!」


「え、蛇が?」


「……あれニャ」


 ナジュミネの言葉に、ムツキは驚き、辺りを見回すも蛇の姿はない。ケットはさらに露天風呂の壁の上へと駆け上がり、視界の端に消えていく蛇の姿を一瞬だけだが確実に捉えた。


 ケットはそれが毒蛇だと認識し、この状況に困惑する。


「ううっ……」

「よしよし」


 ナジュミネにとって、蛇は天敵中の天敵である。幼少の頃に毒蛇に噛まれて数日生死の境を彷徨った経験から、彼女は蛇を見てしまうと蛇に睨まれた蛙と喩えられるくらいに何もできなくなる。


 それを知っているムツキは、蛇だけはなんとしても近寄らないようにいろいろと策を打ち、毒蛇の王であるニドにも毒蛇たちがムツキの家の周りに来ないようにお願いをしていた。


「ぐすっ……蛇はダメだ……嫌だ……無理だよ……怖いよ……ぐすっ……」


「もう大丈夫だ。ほら、目の前に俺がいるだろ? それに蛇はもういなくなった」


「旦那様……怖いよ……」


「よしよし。大丈夫だ。ナジュ、大丈夫だ」


 ナジュミネは蛇を恐れるあまり、無意識に退行して助けを求めている。ムツキは彼女をしっかりと抱き寄せて頭を優しく撫でていた。


「……蛇は蛇でも毒蛇ニャ」


「毒蛇……ニドにはナジュのことを伝えているはずだけどな」


「……うっかり忘れちゃったのかニャ?」


「ニドはしっかりしていると思うから、そんなうっかりがあるとは思わないけどな」


 ケットは毒蛇であることを伝えつつも、どこかそうであってほしくないと思っているかのようにとぼけてみせる。


 一方のムツキはニドの賢くて卒のない印象から、うっかりこのようなことを起こすように感じなかった。しかし、彼はニドがわざと嫌がらせをしようとしているとも思っていない。あくまで、何かが起こってしまったからという推測をしている。


「俺も主様とほぼ同じ意見だな」


「クー」

「クー」


 今まで声も出さずにひっそりと様子を窺っていたクーがここにきて言葉を発して主張を始める。


「ただし、ほぼと言ったように、俺は主様が思っているよりも少し深刻な方向で考えている」


「深刻な方向?」


「ニドの宣戦布告じゃないか、とな」


 宣戦布告。その言葉の重さを分からないクーではないし、もちろん、ムツキやケットも分からないわけでもない。故に、その言葉を聞いた途端にムツキは首を傾げてしまう。


「ちょっと……待ってくれ。さすがにそう判断するのは早くないか? だいたい宣戦布告って……」


「……悪いが、俺はあいつを信用していない。自分の主に牙を剥く奴など信じてたまるか」


 クーはニドの過去の造反行為をいつまでも口にして言う。忠義を重んじるクーにとって、仮にニドに大義があったとしても、とても容認できるものではなかった。


 だからこそ、クーはニドをもう一切信用しないと誓っている。


「主が間違っていることもあるニャ。あの時は……オイラが悪かったニャ」


「……まったく。ケットに落ち度があったにせよ、それとあれとは全くの別物だ。許すのは甘すぎるぞ。昔のことはともかく、今のこの状況をどう見るかだ」


 クーは頑として譲らない。ただし、クーも確信があるわけではないため、宣戦布告として、ニドを取り押さえようという主張にまでは至らない。


「とりあえず、一旦、落ち着いて。ニドにもう一回、ナジュの近くに毒蛇が来ないようにお願いしてみよう」


「オイラも行くニャ」


「……ケットも来るのか?」


 ケットがそう申し出ると、ムツキは驚いた表情でそう聞き返した。


「ニドや毒蛇たちは妖精族の一員ニャ。今回の件、きちんと妖精族の中で再度徹底しニャいといけニャいと思うニャ。本当はご主人抜きにしたいけど、ご主人も直接言いたいだろうから一緒に行くニャ」


「それはいいな。とすれば、俺も行く。アルも連れて行くか」


 ケットの言葉に賛成したクーは、自身とアルを連れて行くようにケットに促す。


「どうせ断っても来るニャ」


「その通りだ」


「そうニャら断っても仕方ニャいニャ。ご主人、いいかニャ?」


「俺は大歓迎だ」


 ケットは早々と折れて、クーの提案を了承した。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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