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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第5部2章 毒蛇の王ニドの計画始動

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5-18. 異変は自然な形より突然の形で(1/2)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 ムツキたちが花見をした暖かな季節から時がかなり経ち、何もしていなくても汗ばむような暑さが訪れた頃。


「ん……朝……か」


 ナジュミネは窓から差し込んできた朝日に起こされて、二度寝に興じることもベッドで微睡むこともなく、意識をはっきりとさせてから起き上がってストレッチをする。


「ん-っ! 雲1つない空を見るのは気持ち良いな」


 ナジュミネは赤色のタンクトップにドルフィンパンツというラフな寝間着を脱いで、着慣れた運動着に着替えていく。


「天気同様、身体の調子も良さそうだ」


 着替え終わったナジュミネは髪をしばってポニーテイルにしてからゆっくり大きく身体を動かして準備運動を始め、自身の体調を丁寧に確認する。


 その後、彼女は脱いだ寝間着を持って、静かに自室から抜けて廊下を通り、階段を降りてから脱衣所にある洗濯物入れのカゴに寝間着を放り込む。


「あ、ニャジュミネさん、おはようニャ!」


「おはよう、ケット」


 ナジュミネが脱衣所から出て、玄関へと向かうためにダイニングを通り過ぎようとすると、台所から布巾を持ってテーブルを拭きに来たケットと出会う。


「今日も訓練ニャ? 毎日がんばっていてすごいニャ!」


 ケットは、いつ寝ようと早起きして勘が鈍らないように訓練をするナジュミネに尊敬の念を抱いている。


 ナジュミネもまた、いつ寝ているのかと思うくらいに家事の指示や自ら家事を進んで行うケットに尊敬の念を抱いている。


 互いに尊敬の念を抱いているからこそ、2人は誰よりもフランクに話し合えるようになっていた。


「あはは、もう慣れというか、むしろ、これを始めないとその日の調子がどうにも悪くてな。身体を動かす方が楽しいからかな」


「健康的で素敵ニャ」


 ケットはテーブルを拭きながらナジュミネとの会話を続けている。


「ありがとう。旦那様も素敵と思ってくれているだろうか」


「きっと思っているニャ! ご主人と一緒にするともっといいと思うニャ! ご主人も鍛えニャいとかニャとか言っていたニャ!」


 ナジュミネはふと、毎朝一緒にランニングやトレーニング、瞑想をムツキとともにしている様子を思い浮かべてときめくも、ほかの女の子たちのブーイング姿も過ぎってしまい、その考えを振り落とすかのように頭を横に振った。


「それもいいが、旦那様は朝の訓練だとまあ、ほぼ毎晩運動しているから、起きるのが辛いかもしれん」


「交尾は運動と言わニャいニャ……」


 ナジュミネのオブラートに包んだ言い方はケットの前では通用しない。人の姿をした妖精族以外は、そのような行為の明言を避けることがない。動物の姿をした妖精は動物の考えに近く、人の姿をした妖精は人の考えに近いのである。


「けふっ……んんっ……こほん。まあ、旦那様には昼過ぎの実戦訓練に付き合ってもらうさ。今日の昼過ぎは妾との時間だからな」


「それはいいことニャ」


「では、行ってくる」


「行ってらっしゃいニャ」


 その後、ナジュミネは家から少し離れた場所まで歩いていく。


 やがて足を止めた場所で、彼女は座って瞑想を始め、瞑想が終わった後にいつものように身体を動かしたり魔法を虚空に向かって放ったりと本格的な戦闘訓練をし、最後に再び瞑想で締めた。


「ふぅ……こんなものか。たまに汗をかきたいと思って、旦那様の影響が少ない場所まで来たが……」


 ナジュミネがすっかりと汗だくになっていた。ムツキの魔力は家の周りや要所に対して、居心地の良い温度や湿度になるよう利用されている。その範囲内にいれば、寒くも暑くもないが、徐々に離れていくとその恩恵を得られなくなってしまう。


 それ以上に彼女はムツキの魔力に安心感を覚えていることもあって、自らこの場所に来たとはいえ、少し寂しい気持ちになってしまっていた。


「やはり旦那様を感じられないのは寂しいものだな……旦那様……ん……しまった! 妾が今日の朝食のあーん係ではないか! こんな汗だくで旦那様の隣に座れん! いや、近寄るのも恥ずかしくてできん!」


 ナジュミネは頭の中のシフト表を思い出して、ムツキやほかの女の子たちが起きてくる前に風呂に入ろうと、家にすぐさま戻る。


「ただいま」


 ナジュミネはすぐに脱衣所へと駆けこみ、急いで全部脱ぎ捨てた後に、普段よりもテキパキと身体や髪の毛を洗い、露天風呂の方へと足を運んでいく。


 その時、彼女はあるものを見つけてしまった。


「ん……っ! ひっ……きゃあああああっ!」


 ナジュミネはあまりの衝撃にいつもなら出すことのない悲鳴をあげてしまう。そう、変化の兆しは彼女の悲鳴とともにゆっくりと見えてきた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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