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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第4部9章 人族の始祖レブテメスプとの決着

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4-86. 屁理屈をこねられたから戦うことになった(1/2)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 ムツキがすべての罠を無効化して蹴散らした先、今まで通って来た廊下や扉などとは比べ物にならないほどの大きな扉が見えてきた。彼は目の前の大きな扉に興奮気味に目を輝かせている。


「おー、大きな扉。いよいよ、大きな扉の前に来たな。これは中々の雰囲気、何か出るって感じがして、気が引き締まる感じがするな」


 言葉にも熱を帯びてきているムツキに対し、サラフェは少し冷ややかな目で大きな扉と今まで通って来た道を交互に見る。


「今までそこまで大きくない扉や通路ですけど、どうしてこういうところだけ大きいのでしょうね?」


「多分、ボス級が出現するぞ、という意思の表れだと思う」


「どうして敵にわざわざそれを知らせるのでしょう?」


 ムツキはサラフェの言葉に興奮気味に返すも、それさえも彼女に就き返されたので、次の瞬間から静かに目を瞑り、自分の顎に指を添えて、少し口の端を上げてにやっとした表情で口を開く。


「……ロマン……かな」


「男の人って、ロマンって言えば何でも片付くと思っていませんか?」


 サラフェは少しきつめの口調でムツキのロマン発言に釘を刺す。その青い瞳から放たれる冷ややかな視線もあって、ムツキは先ほどの表情から一転してしょんぼりした様子でうなだれる。


「……はい、すみません」


 ムツキの様子にハッとして、サラフェは軽い咳払いをした後に優しい口調で彼に話しかける。


「あ、いえ、すみません。サラフェが悪かったです。作った本人じゃないのだから、ムツキさんに聞いても分かるはずないのに」


「まあ、ロマンで通そうとしたのは事実だから……でも、まあ、そうだな。考えても分からないから、先に行こう」


「そうですね」


 ムツキとサラフェがお互いに頷くと、大きな扉の前へと進む。何があってもいいようにと2歩ほど彼の方が前に出ており、彼女はいつもながら彼の背中を頼もしく思っていた。


 扉が何の前触れもなくゴゴゴゴゴ……と大きな音を立てて開いていく。今までの通路は明かりが灯っていたが、その部屋は明かりが灯っていない。


「ん? 暗いな。【ライト】」


 ムツキが【ライト】を唱え、3つほど明るい光の球を出現させる。彼はそのまま周りを警戒しつつ先へと歩を進める。サラフェも絶えず視線を周りに向けながら、彼の後を追うようにしてゆっくりと歩く。


 2人と試練くんが部屋の中央部まで来たところで、突如、部屋の明かりが灯り、小さな音量でクラシック音楽のような曲が流れ始めた。


「っ! 明かりが点きました! なぜか優雅な調べも流れていますね……」


「……だけど、誰もいない?」


「ッテコトハ、ソロソロ、トウジョウスルゾ」


 サラフェとムツキが若干戸惑っていると、試練くんがすべてを分かっているかのように次に起こることを2人に告げた。


 試練くんの予想通り、急に音楽が軽快な曲へと変わって、クラッカー音がいくつも鳴り響く。スポットライトが3つほど部屋の奥を照らし出すと、彼らが見たことのある小さい半球のカプセル型UFOが見える。


 そこからひょっこりと現れる黄緑色の髪をマッシュルームカットにしている少年が満面の笑みで賑やかな雰囲気で騒いでいる。


「じゃじゃーん! 皆さまお待ちかねのレブテメスプ様のごと」


「レブテメスプ! 約束が違うぞ! 試練は終わったんだ!」


 ムツキはレブテメスプの前口上を遮った。レブテメスプはUFOの中で軽くズッコケる動作をした後に、恨めしそうにムツキを見つめる。


「人の登場シーンをぶち壊すのはどうかと思うけどね!? まあ、言いたいことも分かるよ☆ でもね、別に娘については特に言ってないだろう?」


「あなたは、あなたが勝ったらキルバギリーを返してもらう、と言っていましたよね? つまり、負けたら元に戻すのが道理ではないですか?」


「ん? あの時、君たちが勝ったら、ムツキを元に戻す約束はしたけどね? 娘を返す話はしてないよね? ボクが勝ったら記憶を消去して返してもらうとは言ったけど、負けたらそっくりそのまま返すなんて言わなかったしね☆」


 レブテメスプはサラフェの言葉に反論し、さも自分の意見が真っ当なものだと言い張っている。


 たしかに彼の話した流れでそうに違いないと思い込んでいた節がムツキにもサラフェにも、ほかの皆にもあっただろう。ただし、その言い分で納得できるわけもなかった。


「それはさすがに屁理屈だろう」


「そうそう。屁理屈さ☆ でも、押し通そうと思えば、押し通せる。だから、気を付けなよ。駆け引きってのはそういうところから既に始まっているのさ☆ ちゃんと勝ち負けの時の取り分を話しておく、とかね。話の流れで、そうなるだろう、と思っても、そうならない、こともあるのだからさ☆」


 レブテメスプはまるで彼らの先生かのように注意を促した。


「なら、あなたはどうするつもりですか? レブテメスプ」


「そんなに睨むなよ? かわいいロリ顔が台無しだぜ☆ まあ、ボクもさすがにそれは意地悪で屁理屈が過ぎるかな、とは思うからさ。救済措置として、追加のゲームさ☆」


「追加のゲーム?」


 ムツキはレブテメスプの言葉を訝しんだ。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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