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作者の活動報告にて、書籍版の書影を公開しております。

まだご覧になられていない方は、こうましろ先生が描く超可愛いティトたちを、是非とも一目見てやってください。

http://syosetu.com/userblogmanage/view/blogkey/1774544/


なお一迅社様に、本作のための特設ページも用意してもらったので、こちらもよろしければご覧ください。

(主に作品を読んだことのない人に向けた内容なので、いつも読んで下さっている方々には目新しさはないかもですが)

http://www.ichijinsha.co.jp/special/rpg/

 竜の谷を抜け、目的地までの道のりをみんなでのんびり歩いていると、何日目かの昼過ぎ頃に、一つの村へと到着した。

 おそらくは帝国領内の村だろうと思う。


 ちなみに、竜の谷方面は国境という認識がないのか、ここまでの道のりで関所みたいな場所に出会うことはなかった。


 で、どんな村かというと、普通の村だ。

 麦や野菜の畑がいっぱいに広がっていて、畑と畑の間を緩やかに蛇行したあぜ道が通っている。


 あぜ道は行く先々で枝分かれしていて、そのところどころの脇に、簡素な木造の家が点在している。

 そしてだだっ広いあちこちの畑には、家畜や農夫の姿がちらほらと見えた。


「何だか村の人たち、元気がなさそうですね」


 村の入り口付近で様子を見渡して、ティトがぽつりとつぶやく。


 そう言えばティトは、どこかの村の出身だって言ってたか。

 一般的な村の様子がどういうものか、よく知っているんだろう。


「そう見えるか?」


「はい。なんて言うんでしょう、どこか活気がないっていうか……」


 言われてみると、確かに畑を耕している農夫も、家畜の世話をしている牧夫も、どこかうつむきがちで暗い印象だった。


「ってか、どいつもやせ細っててガリガリだよな。ちゃんと飯食ってんのかな」


 今度はパメラがそんな感想を漏らす。

 こちらも言われてみればなるほどで、どの村人もあまり健康的な様子には見えなかった。


「おお、旅の方ですかな……?」


 そんな折、羊の世話をしていた一人の村人が、俺たちに気付いて声を掛けてきた。

 村人は老人で、よたよたと俺たちのほうに向かって歩み寄ってくる。


 そして、ある程度まで近付いてきたところで、むむと目を凝らした。

 老眼なのか、目をごしごしとこすったり、しばたかせたりしてから、俺たちの姿を凝視してくる。


「……えらい美男子と、えらい別嬪さんがたくさんおるように見えるが……失礼ですが、どこかの貴族の家の方々でございましょうか?」


「あ、いえ、通りすがりの冒険者です」


「はあ、左様でございますか……」


 俺の返答に、村人のお爺ちゃんは、納得いかないというように首を傾げる。


 俺はちらりと、自分の後ろについている仲間たちを見る。

 ティト、パメラ、アイヴィ、フェリルにアルト──いずれも見た目だけはたぐい稀な、整った容姿の美女、美少女たちだった。


 転じて村の様子を見る。

 村人たちはいずれも、不健康にやせ細っており、くたびれた姿をしていた。


 再び我が家の娘たちを見る。


「……ん? 何、カイル。ボクたちに何かおかしいところある?」


「いや、改めてお前らって、めちゃくちゃ可愛いよなぁって」


「ふぇっ!?」


 俺の発言に、ボンっと顔を赤くするアイヴィ。

 うん、ちょろ可愛い。

 この顔が見たくて可愛い連呼したいまである。


 ……が、しかし、確かに俺たちの周りだけ異世界感あるな。

 何がファンタジーって、この面々が一堂に会していることが一番ファンタジーかもしれない。


 まあさておき。

 村人のお爺ちゃんは、ひとしきり首を傾げてからどうにか納得したようで、それからこんなことを言ってきた。


「しかし旅の冒険者なら、悪いことは言わん、早々にこの村から立ち去られたほうがよかろう」


「あんでだよ? あたしらが村にいると迷惑?」


 パメラが食ってかかるが、村人のお爺ちゃんは首を横に振る。


「そうではない。お主らのために言っておるのじゃ。要らぬ災いを受けぬ前に、立ち去るがよかろう」


 ふむ。

 なるほど分からん。


 そう思っていると──

 そのとき、あぜ道の向こうから、パタパタと誰かが駆けてきた。


「父さん、早く家に戻るんだ! あいつらがまた──って、その人たちは?」


 駆け寄ってきたのは、中年の農夫だった。

 御多分に漏れず、やせ細ってやつれている。

 父さんと言うからには、目の前のお爺ちゃんとは親子なんだろう。


「くっ、また来おったか……! もはや税どころか、わしらの食い扶持ぶちすらも危ういというに。……旅の方々、すまぬが失礼する。先ほども申しましたが、この村におっても良いことなどありませぬ、立ち去られるがよかろう。──殊に、そなたらのような綺麗な女子おなごには、やつら見境いがありませぬからな」


 お爺ちゃんは我が家の娘たちを見渡してそう言うと、息子さんらしき中年の村人とともに、村の奥へと立ち去って行った。

 残されたのは、俺たち六人。


 辺りを見渡すと、畑で耕していた農夫も、家畜の面倒を見ていた牧夫も、一様に仕事を中断して、自らの家に引き返していったようだった。


「……何か事情がありそうだね。どうするカイル、あの老人の言う通り、この村から立ち去るかい?」


 アルトが俺の横に並んで、俺のほうをチラと見てくる。

 俺の度量を量るようなその視線がちょっと癪だったので、俺はアルトの頭に手を置いて、その短い銀髪をくしゃくしゃっとかき混ぜてやる。


「わぷっ! な、何だよ!」


「俺の性分、分かってて言ってんだろ。相変わらずだなお前も」


「う、うるさい! 相変わらずはお互い様だろ……!」


「ま、そうだな」


 見透かされているのは癪だが、それで自分の行動を変えるのはもっと癪だ。

 普通に、気持ちの赴くままに動くとしよう。


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