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【第十章前編 クリスマス】隣に越してきたクールさんの世話を焼いたら、実は甘えたがりな彼女との甘々な半同棲生活が始まった  作者: バランスやじろべー
第六章前編 ダブルデート ~お家デート~

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第312話 パンケーキに絵を描こう

 そんなこんなでこの友情崩壊ゲームを楽しんだ四人。

 そしていよいよ結果発表。

 確かめるまでもなく最下位は怜であることに疑いの余地はない。

 エンディングにより発表された最終順位は蕾華、陸翔、桜彩、怜の順であった。


「あーっ、盛り上がったあ!」


「楽しかったあ! れーくん、罰ゲーム決定ね!」


「ふふっ。怜、ご愁傷様」


 ニヤニヤと悪魔の微笑を桜彩が向けて来る。

 罰ゲームを与える役割は桜彩ではなく蕾華なのだが随分と楽しそうだ。


「んーっ、何にしようかなあ」


 蕾華も桜彩に負けず劣らず楽しそうに意地の悪い笑みを浮かべる。

 本当に何を命令されるのか想像もつかない。


「まあ、時間もそこそこ経ったしそろそろ休憩にするか」


「あ、そうだね。賛成!」


 とりあえず罰ゲームから話を逸らす為にそう怜が提案すると、桜彩も怜に同意する。

 実際のところゲームが長引いたために時刻は既に十二時を回っており、既に昼食の時間だ。


「でもあんまりお腹空いてないんだよね。お菓子も食べてたし」


「そうそう。別に運動したわけでもないしな」


 陸翔と蕾華の言う通り、四人は朝食後からずっとゲームをしていただけだしお菓子を間食したりもした。

 そんなわけで四人共そこまでお腹は空いていない。

 まあ食べろと言われれば通常の一食分くらい問題なく食べられる胃袋を持っているのがこの四人だが。


「それじゃあ軽めにパンケーキでも作るか」


「あっ、良いね!」


 怜の提案に桜彩が目を輝かせて賛同する。

 本来であれば休日の朝食やおやつにしか作らないメニューだが、今日に限ってはそれでも良いだろう。


「二人はどう?」


「オレも良いぜ」


「アタシも!」


 陸翔と蕾華も二つ返事で賛同してくれる。


「そっか。それじゃあ作っちゃうな」


「あっ、それじゃあ私も手伝うね」


「ああ。お願い」


 怜がキッチンへ向かおうとすると、桜彩も立ち上がってその後へと付いて行く。

 そして怜からプレゼントをされたエプロンを身に付けて準備を始める。


「えっと、ホットケーキミックスは――」


「他には牛乳と卵だよね――」


 この生活を始めた当初は何をして良いか分からなかった桜彩も今ではもう慣れたもので、こうして怜がやりやすいようにフォローしてくれる。

 それが本当にありがたい。


「次は――」


「それじゃあ――」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 自然に並んで準備を始める二人を陸翔と蕾華はダイニングから幸せそうに眺める。

 キッチンの中では怜と桜彩が息を合わせよどみなく動いている。


「いやあ、もうどう見ても同棲してるカップルにしか見えないんだよな」


「だよね。あれでまだ同棲どころか付き合ってすらいないんだから」


「まあ、昨日は一歩前進したからな。これからに期待だ」


「だね。……はあ、まったくもう。世話が焼けるなあ」


 思わず蕾華がため息を吐く。

 仲の良い友達は、毎日一緒にご飯を食べたり、あーんで食べさせ合ったり、手を繋いだり、あまつさえデートを楽しんだりしないというのに。

 まあ昨日やっと恋心に気付いてくれたのだが。


「それじゃあ次は罰ゲームだな。せっかく怜が最下位になったことだし、もっと二人を接近させる罰ゲームを考えるか」


「もちろん! りっくんは何かアイデアある?」


「そうだな――」


「だったら――」


 こうして怜と桜彩が昼食を作っている間中、陸翔と蕾華は親友二人を更に意識させるように考えを巡らせていった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「それじゃあ私、サラダの用意しちゃうね」


「あ、待ってくれ」


 昼食がパンケーキだけというのもなんなので、ミニサラダを付け合わせにすることにした。

 そちらに取り掛かろうとした桜彩を怜が止める。


「怜、どうかした?」


 普段であればここで桜彩がサラダを担当するのが役割だ。

 故にきょとんとした顔で問い返す桜彩。

 そんな桜彩に対して怜は


「いや、せっかく陸翔と蕾華もいることだしさ、パンケーキにひと工夫してみようかなって思って。それで桜彩の手が必要なんだけど、手伝ってくれないか?」


「工夫? うん! 私に出来る事なら何でも!」


 怜に必要だと言われて桜彩が張り切って頷く。

 ただ手伝ってくれと言われるよりもよほどやる気が出て来る。


「それで、工夫って何するの? 何か隠し味でも加えるの?」


「いや、味はそのまま。たださ、パンケーキに絵を描いてみようかなって思って」


「え? 絵を?」


「ああ。桜彩はそういうのって見たことないか?」


「え? いや、実物は見たこと無いけど写真では知ってるよ」


 桜彩はそもそもそういう物を出すようなおしゃれな店でパンケーキを食べた経験はなかったし、実家で舞が作ってくれた時も単なる普通のパンケーキだった。


「どうだ? やってみたくないか?」


「うん! それとっても楽しそう! あ、でもそれって難しくない?」


 当初に比べて上達したとはいえ、まだ桜彩の料理の経験は少ない。

 それゆえの心配だったのだが、怜はゆっくりと首を横に振る。


「いや、全然難しくないって。この先に絞り袋で絵を描いて、それを焼いてから生地を流すだけ。ほら、絵については桜彩の方が俺よりも得意だからさ」


「そうなんだ。うん、頑張るよ。あ、でもさ、搾り袋で上手に絵を描けるかな?」


 いくら絵が得意とは言ってもペンや筆で描くのとは違ってくるだろう。


「大丈夫だって。それに失敗しても爪楊枝とかで直せるしな」


 安心するように怜が微笑むと、つられて桜彩も笑みを浮かべて頷く。


「そっか。うん、それじゃあやってみるね」


「ありがと。それじゃあ桜彩は生地を混ぜちゃってくれ。えっと、絞り袋は――」


 生地を桜彩へと任せて搾り袋を探す。

 幸いなことにそれはすぐに見つかった。

 混ぜ終えた生地を絞り袋へと投入し、いよいよスタートだ。


「えっと、これで良いんだよね?」


 おっかなびっくりと言った感じで搾り袋をホットプレートへと近づけていく。


「ああ、大丈夫。あ、ただ描いた絵は左右反転するから文字を書く時には気を付けて」


「う、うん! それじゃあ描くね……!」

次回投稿は月曜日を予定しています

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