第194話 色々あった数日を終えて
「おい、神前。飲みに行くぞ……ああ、かえでもついてくんのか……面倒だな……」
終業時間になるとそう言ってかなめはため息をついた。
「僕の移動は……」
そう言う誠の後ろにはいつの間にかかえでが立っていた。
「それは勿論僕の車を使うに決まっているだろ?あの車の乗り心地は誠君も気に入ってくれているみたいだし、ベルガー大尉と違ってリンの選択するルートは合理的だ。運転は合理的に行われるべきだ。無駄な馬力に頼るスポーツカーなど無駄以外の何物でもないと僕は思うんだが……どうだろうか?ベルガー大尉」
かえでは明らかに嫌味を込めた視線とその大きな胸を誇るように平らな胸で端末の終了作業をしているカウラを見つめた。
「車に必要なのは走行性能だ。それが車と言う物の持つ機能的性能の究極目標だと私は考える。日野……男を自分の快楽を満たす道具としてしか見ていない貴様に神前を渡す訳にはいかない。いずれ貴様の欲望は満たされずにとん挫する。それだけは明白な事実だ」
明らかにカウラの声には怒りが含まれていた。
「それは誠君以外の男の話だよ。確かに誠君以外の男は僕の性欲を満たすおもちゃでしかない。でも誠君は違う。誠君は共に成長していくべきパートナーなんだ。君は僕より誠君に早く出会った。その間に君はどれだけ誠君を成長させられたかな?僕はあのデートで誠君の世界の見方を大きく変えた自信がある。君やお姉さまと過ごす数か月より僕と過ごす10分の方が誠君には価値がある。これは性的な意味はまったく含んでいない人間としての存在意義としての話だ。ベルガー大尉と一緒に時間を過ごしていればいずれ誠君もお姉さまのように成長の止まってしまった人間になってしまう。僕はそんな誠君は見たくないんだ」
かえでは明らかに見下すような視線を向けながらカウラに向けてそう言った。
「誰が成長が止まった人間だ!オメエにとっては神前の成長なんてついでの事なんだろ?目的はデカい神前のアレだけだ。色々格好をつけているがテメエはただの色魔なんだよ!」
怒りに駆られたかなめは今にも銃を向けそうになる調子でかえでに向けてそう言った。
「それのどこが悪いんだい?結果的に誠君は大きく飛躍を遂げることになる。そして僕は性的に満たされる。良いことずくめじゃないか!誠君にも損なところは一つもない。僕の最高の知識と最高の身体を手にしてこの世で一番幸せな男性に成れる。残念ながらお姉さまでは誠君の相手は役不足なんだ。事実はちゃんと認めた方が良いよ。お姉さま……」
かえでは勝利を確信した笑みを浮かべてかなめをにらみつけた。




