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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第四十一章 すべてはオーナーの為に

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第185話 対男性用トラップ(誠を除く)

「じゃあ私が使っても問題は無いんだな。早速中を見てみよう」


 カウラはそう言うと恐る恐る象眼が施されたいかにも豪華な扉の金色のノブに恐る恐る手を伸ばした。カウラが手を触れても何も起きず、安心したカウラは扉を開けて中に入った。


「女は触れても平気なのか……じゃあ野郎が触れるとどうなるんだ?」


 興味半分にかなめはそう言って残忍な笑みを浮かべて島田を見つめた。


「西園寺さん……その目怖いです。それって俺に実験台に成れってことですか?嫌ですよ……不死人だからってどんな仕掛けが仕込まれてるか分かったもんじゃないですか……相手は日野少佐ですよ……不死人でも死にはしないけど痛いときは痛いんで」


 嫌がる島田を見るとかなめは懐に手を入れホルスターから愛銃を取り出した。


「痛いときは痛いんだな。じゃあ、銃で蜂の巣にされても痛い時は痛いわけだ。どうせ死なねえんだ。しばらく人を撃ってねえから、島田。的になれ」


 かなめは愛銃スプリングフィールドXDM40にマガジンを叩きこむと銃口を島田に向けた。


「分かりました!やれば良いんでしょ!やれば!」


 半分やけになった島田がそのまま誠と女性陣が見守る中、おっかなびっくりドアノブに手を伸ばした。


 島田の手がドアノブに触れた瞬間だった。


 島田の手に明らかに高圧電流がスパークしているような光が輝いた。そして島田の身体が自然とのけぞり、映画で見るように島田の骨格がはっきりと誠から見えるような光景が広がった。


 焼け焦げた服の匂いと倒れこんだ島田から上がる煙で一面が白く覆われた。


「このように僕の望まない薄汚い男がこの部屋に入ろうとすると当然の制裁を受けることになる。これには少々こだわりが有ってね」


 かえでは痙攣を続ける島田を放置してあきれ果てる誠達に向けてそう言った。


「あの、かえでさん。僕がかえでさんに用が有る時はどうするんですか?僕は島田先輩と違って不死人じゃ無いんでこんな高圧電流を食らったら死にますよ」


 誠は島田のように消し炭になっても数時間後には復活する不死人では無いので恐る恐るそう尋ねた。


「誠君。君は僕の『許婚』でこの世でこの部屋の中の女を自由にできる稀有な存在なんだ。触ってごらん。君が選ばれた男性であるという事実を再確認できるだろう」


 かえではそう言って誠にドアノブに触れるように告げた。


 誠は体中から黒い煙を上げる島田を見つめて恐怖につばを飲み込みながらドアノブに触れた。


 何も起きなかった。そしてそのまま誠はドアを開けて中に入った。


 その内装はこれまでのコンクリート打ちっぱなしの不愛想なそれから見事なデザインの壁紙と真っ赤なふかふかのじゅうたんの敷き詰められたまるで豪華な宮殿を思わせるそれに変えられていた。


「確かに何も起きないですね……それとこの内装。かえでさんの趣味ですか?」


 誠は自分が無事だったことの安心感とこの扉の内と外との環境のあまりの違いに戸惑いながらかえでに尋ねた。


「それはそうさ。僕はいつでも君の訪問を楽しみにしているんだから。プラトニックラブに君が耐えられなくなった時、いつでもその扉は君の為だけに開かれている……その事だけは心にとめておいて欲しい」


 かえではかえでお得意のさわやかな笑顔を浮かべて誠に向けてそう言った。

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