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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第三十七章 消えた皇帝の正体

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第167話 『駄目人間』の出生の秘密

「ついにこいつ等にもその話をするか……しかしこのタイミングかよ。まあ叔父貴らしいと言えばらしいがな。その理由が『脳ピンク』のエロ差にあるというところがいかにも叔父貴らしいや」


 かなめは諦めた調子で茜に向ってそう言った。


「ええ、ここにいればいつか知ることになる……まあ普通に生活していれば一生知ることは無いでしょうけどね。ラーナ、遼帝国国民だからってお父様は決して人を見下したりしない人ですよ。安心してこれまで通りにしていてよろしいの……よろしくて?」


 茜は上司のプライバシーには踏み込まないようにと仕事に集中していたラーナに向けて優しくそう言った。


「は?なんっすか?アタシが知ると不味い事なんすか?遼帝国の国民であるとなんか不都合なんすか?」


 相変わらずの変な口調でラーナはつぶやいた。


「遼帝国の皇帝。今は行方不明ってことになってるだろ?公式行事はすべて中止と言うか宰相のアンリ・ブルゴーニュが仕切ってまるで自分が皇帝陛下でございというようなデカい態度でふんぞり返ってる。何があそこの民主主義で選ばれた正当な宰相だ!遼州人は文字が読めねえから選挙に行けないから1パーセントに満たない地球人だけの選挙で選ばれたイカサマ選挙の結果の宰相じゃねえか!ありゃあランの姐御が『外道』と呼んでる遼南共和国大統領のガルシア・ゴンザレスより質が悪いぞ。それを見て見ぬふりをして『俺は皇帝なんて嫌だからね!』の一言で国を逃げ出してこんなところで『特殊な部隊』の隊長をしているのがその皇帝遼献。今の名前は嵯峨惟基だ」


 かなめは吐き捨てるようにそう言った。その言葉で察しの悪い誠にも嵯峨の本当の身分が分かった。


「隊長が……本当は遼帝国皇帝『遼献』……」


 誠の言葉にカウラも遅れて事の事実を察した。


「そうなのよ。お父様は遼帝国を斜陽の帝国に導いた暗愚の皇帝遼霊の嫡子。遼霊を差し置いて祖母の遼武から皇太子の位を授かったことがきっかけで武帝が暗殺されると遼霊が暗愚なのを良いことに操り人形にしようとこれを強引にクバルカ中佐の武力を背景にして南朝を建てたガルシア・ゴンザレス。それに異を唱える正統派の貴族達に支えられてお父様は12歳で北朝の皇帝に即位した。こうして長きにわたる遼南内戦のきっかけとなった南北朝動乱が始まった……」


 茜はまるで誰もが知っている事実のように誠達に向ってそう言った。


「でも相手はガルシア・ゴンザレスの懐刀だったランの姐御だぜ。『人類最強』が相手なんだ。しかも、付き従う家臣も少ない。なんと言っても叔父貴には当時は今のような策も力も無かった。あっという間に北朝は滅ぼされた。叔父貴はもうすでに30人以上の子供がいたらしいんだがその全員はランの姐御自らによって殺された。捕まった叔父貴は遼帝国の首都央都の奥深くに幽閉された……そこをあの『鬼婆』が救出したんだ」


 かなめはそう言うと嫌なものを思い出すような目をして誠を見つめた。

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