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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第二十六章 痴女との『罰ゲーム』と化した初デート

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111/206

第111話 その恰好はあまりじゃないですか……と誠は思った

 ついに当日の朝が来た。


 誠はかえでと何かあった時の為にひたすらこの一週間は禁欲生活をつづけ、かえでからの愛の無修正動画にも手を伸ばすことは無かった。


「なんだよ、浮かねえ顔してるじゃねえか……ああ、変態のかえでがどんな変態的な格好で来るか考えると憂鬱なのか。それはもう凄い変態的な露出狂そのものの格好で来るぞ。間違いねえ」


 食堂でいつにもない洒落たジャケット姿でデートに備えて朝飯を食べていた誠にかなめが声をかけてきた。


「そんなこと無いですよ!今日は人生初デート!うれしいなあ!それに初デートですよ!かえでさんにだって常識くらい……あるのかな?」


 誠がそんなことを言うと遠くの方で朝食のカレーうどんを啜っていたカウラ命の変態である管理部係長の菰田邦弘主計曹長が満面の笑みで誠を見つめているのが目に入った。


「菰田の奴。オメエがかえでとくっつけばカウラが自分のモノになると思ってんだぜ……世の中そんなにうまく行くかってんだよ。まったく気持ちわりい」


 かなめはそれだけ言うとあっさりと誠を置いて喫煙所へと歩いて行った。


 誠はこんな時なら必ず感情的になって突っかかってくるはずのかなめが妙に落ち着いていることを不思議に思いながら時計を見た。


 かえでは寮に車で迎えに来ると言うが、その時間まではまだ30分ほど時間があった。


「なんだか中途半端な時間だな……」


 そんなことを思いながら誠はカレーうどんを食べ終えると食器を片付け、一度部屋に戻って髪を整え直そうとした。


 その時、食堂に集う野郎共に異様な興奮とも驚愕とも取れるため息が響くのを聞いて誠は驚いて振り返った。


 原因は食堂に立っていたかえでの姿を見ればすぐに分かった。そして誠はかえでならばその程度の事はやってのけるだろうと言うこと位は予想をしていた自分を情けなく思った。


 かえでの格好は典型的な露出狂だった


 まず気取った茶色いチェックの鳥打帽。これ自体は特に問題はない。


 そして黒い皮のジャケット。これもこの季節としては少し寒いんじゃないかと気になるところだがこれも問題はない。


 しかし、その下半身はTバックの透けた薄い生地のパンツにガーターベルトしか履いていない。そしてそのパンティーは透けていて大事な部分を隠すという本来の機能を全く果たしていなかった。


 そのすらっとした生足は薄い黒い布地のストッキングに覆われているだけで腿はむき出し。なにより、履いているのはどう見てもパンツである。


「やあ、みなさん!ごきげんよう!」


 かえでは明るく一人そう言うと誠を早速発見して歩み寄って来た。


「かえでさん……その恰好……本気ですか?」


 誠の開いた口は塞がらなかった。下半身はどう見てもパンツ一丁。しかもよく見ればかなりきわどいギリギリに大事な部分を隠しているだけという代物である。


 非番の整備班員達は色情に満ちた飢えた視線をかなめの下半身に向けた。


「誠君、どうしたのかな?僕の格好がそんなのおかしいのかな?僕は今日の為にと一生懸命考えて選んだんだよ?似合うだろ?」


 かえでは平然として誠にそう尋ねてきた。


「かえでさんには似合うでしょうね……一緒に居ると釣り合わない……というか僕が恥ずかしくなるくらいに会います。それ以前にそんな下半身だと寒くないですか?」


 誠は色々ツッコむところはあるのだが、言えることはそれしかなかった。


「いやあ、この国でもこれを履かないで出かけると『わいせつ物陳列罪』と言う犯罪になるらしい。誠君の前ではこれは少し邪魔かもしれないが、とりあえず君が一番興奮しそうなものを選んだんだ……似合ってるだろ?」


 誠が近づくとそのパンツはうっすら透けていて中身が見えると言う代物だった。


「似合ってますね……確かにかえでさんらしい……としか今の僕には言えません」


 誠は『露出狂のかえでさんらしい』とはっきり言わなかった自分を褒めてやりたくなった。

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