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ルージュの巻き込まれループ人生〜誰なの!?何度も死に戻ってるのは!〜  作者: 阿井りいあ
2章

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82 人が怒ってると冷静になるアレ


 気を取り直して説明開始だ。

 これまでたっぷりと休養の時間をもらったから、話したいことはしっかりメモに取ってある。

 それを見ながらみんなの前でひとつひとつ話していくことにした。


 たっくさんの悪口を織り交ぜながら話すと、みんなは揃って険しい顔をしつつ、時には私と一緒に怒ってくれたりしながら最後まで話を聞いてくれた。

 ずっと誰も共感してくれなかったから、こんなにも親身になって話を聞いてくれて迂闊にも感動で涙が滲みそうになっちゃった。こんなことで泣きたくはないから堪えたけど。


 暗黒騎士の二つの人格について説明したところで、ベル先生が納得したように頷く。


「なるほど、薄々そんな感じはしていたけれど。暗黒騎士に二面性か……」

「えっ、ベル先生は気づいていたの?」


 私なんてなんにも気づかなかったのに。

 みるとジュンやクローディーも目を丸くしてベル先生を見ている。よかった、私だけじゃなかった。ベル先生がすごいだけだった。


「まぁね。最初に違和感を覚えたのは、ルージュが一度目にさらわれた時かな」

「そんなに早くから!?」


 違和感があったなら言ってよ、と思ったけど。この人はあやふやなままでは口にしないだろうなと思い直す。


「僕らの知る暗黒騎士は、対話なんて不可能だったからね」

「あー、そうだよな。ボクは噂でしか知らないけど、出会ったが最後、身体から首がさよならしてるって話だし」


 ベル先生のあっけらかんとした理由を聞いて、ジュンがなるほどと頷きながら答えている。


 それはたしかに。私も初めて会った時は問答無用で頭と身体がバイバイしたんだった。

 でもそこに思い至ったのは、ノアールから話を聞いた後だよ、私は。そういえばあの時、みたいな。


 やっぱり頭の良い人は話を聞いただけでそこまでわかっちゃうんだね。羨ましいことだ。


「で、一時的な協力だっけ? ずいぶん勝手なことを。何様のつもりだろうね」

「ベルナール……すげー気持ちはわかるけど、殺気が漏れているよ」

「ああ、ごめん。つい。ありがとう、クローディー」


 おっと急に部屋が冷えたね。

 ベル先生、実はすごく怒りたいのを我慢していると思う。それが私のためだってこともわかるよ。


 ありがとね。大丈夫、私も思ったし怒ってる。


「とはいえ、ベルナール。四天王を含む魔王以外の敵を倒してくれるというのは人間側としてもありがたいだろう? 暗黒騎士は信用ならないが、その強さは間違いないのだから」

「クローディー。だからこそ腹立つんだよ。殺気の一つや二つ、漏れるってもんさ」


 あっ、また室温が下がった。クローディーが冷静でいてくれるので話が少しだけ進んだけど、やっぱり怒りはどうしても溢れてしまうみたい。


 もちろん私も怒ってるけど……なんだろう。そんなに腹が立たないんだよね。

 みんなが怒ってくれるから私は逆に落ち着いちゃうというか。嬉しいっていうのは、変かな?


「ボクは反対だっ!! ルージュはこれで二回も攫われてんだぞ!?」

「いや、二回目は私が自分でついて行って……」

「そうせざるを得ない状況を作ったのはあっちだろ! 攫われたも同然だっつーの。っていうか、ルージュはどうしてそんなヤツの提案を信じる気になれんだよ! 酷い目に遭わされた張本人だってのに」

「そ、れは」


 っと、そんなのほほんと考えている場合じゃなかった。ベル先生につられてジュンがヒートアップしている。

 下がった室温が上がったなぁ。ベル先生とジュンは両極端な怒りの現し方だ。


 いやいや、それどころでもない。

 ついに話す時がきたってことだね。


「ジュン、これには複雑な事情が」

「いいよ、ベル先生。私、全部説明したい」


 宥めるように声を挟んでくれたベル先生を遮るように伝えると、戸惑った目を向けられた。

 瞳が少し揺れてる。もう、ベル先生って家族のことになると本当に弱いよね。


「ジュンとクローディー、あとラシダさんとバンさんは信用できる人たちでしょ? きっと今後の戦いにも主要戦力として参加するよね? 知っていたほうがいいと思う」


 これは、ノアールたちのところにいた時から考えていたことだ。私はもう腹を括っているのだ。


「ママやリビオとオリドにも。家族には……もう隠しごとをしていたくないから。話しておけばよかったって、二度と後悔したくないんだよ」

「ルージュ……」

「怖くないよ。きっとみんな私の話を信じてくれる」


 言ったって信じてもらえない、なんて諦めるようなことはもうしないよ。怖がったりもしない。

 信じてもらえない怖さより、あとで後悔するほうが怖いってやっとわかったんだから。


 私の覚悟が伝わったのか、ベル先生はようやくわかったと頷いてくれた。

 なんだかんだ言って、私の気持ちを優先してくれるよね。ま、わかってて言い出したんだけど。


「まったく。僕の娘は本当に強かだな」

「頼もしいでしょ?」

「頼もしすぎてパパの心配は尽きないよ」

「ごめんね。でも頼りにしてるから」


 そう、まさにここからはベル先生頼みだからね! むしろベル先生にしか頼めないことだ。

 私がにんまり笑うとほんの少しだけベル先生がたじろぐ。ふふふ。


「というわけで。クローディー、ジュン。これから私に関する秘密を教えるね。信じられない話しかもしれないんだけど……」

「秘密……? 知ってもいいのか? いや、今まさにそう覚悟を決めたんだったな」

「うん。聞いてほしい。いい?」


 私が問うと、二人は当然とばかりに大きく頷いてくれた。

 えへへ、そう言ってくれると思ってたよ! では早速。


「ありがとう! じゃ、ベル先生、よろしくね!」

「えっ、僕?」


 驚いたように私を見るベル先生に微笑んでみせる。そりゃそうでしょ。

 頼りにしてるって、言ったよね? パ・パ♡


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