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ルージュの巻き込まれループ人生〜誰なの!?何度も死に戻ってるのは!〜  作者: 阿井りいあ
2章

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114 もうどうしようもなく事故じゃん


 時魔法。それはとても便利でずるい魔法に思えて、実は扱いが難しい魔法だ。

 簡単に言うと、事故が起きやすい。わかりやすく現象が起こる過程を見るわけじゃないから難しいんだよね。


 だから私も、時魔法を使う時には制限がつく。

 大量の魔力が必要だったり、繊細な魔力操作が必要だったりね。


 当然、大きく時間を巻き戻すというのは本当に難しいのだ。

 前のループでリビオが大怪我をした時、私も取り乱して使ってしまったけど……下手をしたら別の時間軸に自分だけ取り残されてしまう、なんて事故も起こり得た。

 だからあの時、ベル先生は慌てて私を止めたんだよね。


 時魔法は、失敗した時のリスクも大きいのだ。


「村の悲惨な未来を回避するために大きく時間を巻き戻したことで、オーリーは時空の狭間に取り残されたんだって推測したの。私は双子と協力して、時魔法の研究を続けた。そして十数年後、ようやくオーリーのいる場所を見つけたわ。でも……」

「模倣魔法で時魔法を使おうとすると……普通に時魔法を使うよりリスクが高い」

「……その通りよ」


 ただでさえ難しいんだもん、模倣の魔法だなんてもっと難しいに決まってる。

 いくら感覚で扱えるとはいえ、やっぱりオリジナルには敵わないのだ。


 その上、膨大な魔力が必要になる。

 使用中に魔力が足りなくなったら強制的に生命力を削り取られるから……最悪、死ぬ。


 他の魔法なら危険を感じた瞬間、途中でも魔法を止められるけど、時魔法は一度発動させると止めるのも難しい。

 本来、時間は動かせるようなものじゃないからだと思う、たぶん。


「でもね、自らを犠牲にして私たちを、村を守ってくれたオーリーのために、命をかけることに迷いはなかった。今もあの時の判断に後悔なんてないわ。私は双子にも内緒で時魔法を使って……オーリーと再会したの。一瞬だけね」

「一瞬?」

「ええ。時空の狭間ですれ違ったの。オーリーは泣きそうな顔をしていたわ」


 なんだか、想像を絶するな……。

 ローズは人生のほとんどを、オーリーを救うことだけに費やした。

 だとしても、自分の命がかかっているのに最後の一手を使うのをためらわないのは、相当な覚悟だよ。


「オーリーは私たちのことをずっと見ていたんだと思うの。じゃなきゃ普通は驚いた顔になるでしょう? だから私の選択に怒っていたのかもしれない」


 こうしてローズは、オーリーと入れ替わる形で時空の狭間に取り残されることになった、か。


 でもその時、すでにローズは力を使い果たして亡くなっていたのだという。

 魂だけとなったローズは、オーリーのいた空間ではなく、生と死の狭間にいるのではないかと推測を述べた。それがこの場所なのだそうだ。


 ここに、生身の人間が訪れることは出来ない。


 すごく後味が悪い結末だ。

 オーリーだって、せっかく救った命が自分のためにまた失われたなんて知ったら相当ショックを受けるだろう。私でも怒る。


 けど、恐らくオーリーはローズが死んだことを知らない。

 だから何度も時空の狭間を行き来し、いるはずもないローズを探し続けていたのだと言う。


 これ、真実を知ったらオーリーはさらに絶望するのでは? 魔王、さらに暴れるのでは!?


「私だって知らなかったの! ここがオーリーのいた場所じゃなくて、魂だけが存在出来る空間だなんて!」

「はぁ……だからループが終わって始まる前の、魂だけの私じゃないとここに来られなかったってわけね」

「う、そうよ。オーリーに知られたら私、すっごく叱られるわ」


 そうでしょうね! というか、ぜひ再会してうんと叱られたらいいと思う!

 自己犠牲なんてね、残された側を大きく傷つけるだけの自己満足なんだよ!


 と、叫んでやりたかったけど、たぶんローズもそんなことわかってるよね。果てしない時間をここで過ごしているんだから。


 巻き込まれた私にも怒る資格はあるだろうけど……ほら、怒るのって疲れるし。別にローズに同情したわけじゃない。


「長い間、負の感情に支配されたオーリーはもう正気を失っているわ。私の声も魔法も届かないし、もはや目的も忘れかけている。だから貴女に色々と託したかった。全てを終わらせてほしくて」

「……どうして、私なの?」

「貴女に、時魔法の適性があったから。おそらく暗黒騎士は自分にかけられた時魔法の呪いと同じ適性に反応したのだと思うわ」


 ローズは目を泳がせながらそう言った。

 適性? え、たったそれだけのことで?


「オーリーと同じ時魔法の適性。そもそも滅多に存在しない上、戦場で出会う機会もほとんどない。実際、貴女は魔力が少ないと思い込んで自分が魔法使いだということさえ知らなかったでしょう? 偶然が重なった結果、暗黒騎士に見つかり、オーリーに見つかり、時魔法の呪いに引きずりこまれるように巻き込まれてしまったのよ」


 ふと、ベル先生と初めての魔法を使った時のことを思い出す。

 たしか、一番最初に発動する魔法は潜在的にその人の得意とする魔法か、最もイメージのつきやすい魔法になるって話だったよね。


『ルージュの場合、きっと潜在的に時の魔法が適しているんだろうね。得意魔法が時魔法の人は初めてみたよ。いやぁ、驚いた!』


 当時は、何度もループした経験から「最もイメージのつきやすい魔法」を発動したのだろうと思っていたけど……実際はベル先生が言っていた通り、私自身が時魔法の適性を持っていたんだ。


 それって、この運命を避けようがなかったってこと?

 あの時、暗黒騎士と出会ってしまった時点で。


「……事故じゃん」

「ええ、完全に事故。時魔法の適性を持って生まれてしまったがためにね。あるいはオーリーの遠い子孫なのかもしれないわね」

「え、なんかやだ……」

「ふふっ、本当のことはわからないけれどね。彼、結婚はしなかったみたいだけれど、子を残した可能性はなくもないじゃない?」

「うぇぇ」


 魔王と血の繋がりがあるかもしれないなんて悲劇すぎる。


 え? だから私は親がいないの? オーリーに子どもがいたとして、相手の女の人と子どもを育てたとは思い難い。きっと片親だったのだろう。


 そうなると生活はかなり厳しかったはず。どこかで成り上がったとかじゃない限り、その子どもも、そのまた子どもも似たような生活を送っていたかも……。


 そうなると、どこかで親がいなくなって子どもが一人取り残されることだって。

 ヴィヴァンハウスで育てられる子も、先祖代々続いてたりして……?


 なんてそこまで考えたくない! さすがにないって信じたい!

 やめやめ! そもそも私は認めないんだから。絶対にただの偶然だと思い続けてやる!


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