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ルージュの巻き込まれループ人生〜誰なの!?何度も死に戻ってるのは!〜  作者: 阿井りいあ
2章

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112/124

112 無駄なループじゃなかったんだ

更新する話を2話ほどすっ飛ばしてました!!!!(土下座)


114話更新時には2話続けて更新します〜_(┐「ε:)_


 ローズは優雅にティーポットからカップに紅茶を注ぎ、私の前に差し出してくれた。

 ふわりと紅茶の良い香りが鼻腔をくすぐる。


 変な感じだな……現実のような夢のようなこの真っ白な世界で、お茶の香りを楽しめるなんて。


「まずは知りたいであろうことを一つ一つ話していくわ。質問があったらいつでも聞いてね。そして……出来れば落ち着いて聞いてもらいたいわ」

「……善処します」


 それだけで嫌な予感がすごくする。でもきっと、避けては通れない話題だろうから。


「まず。貴女はもうすぐ死ぬわ」

「……うん。そう、だよね」


 覚悟はしていたけど、改めてそう聞かされると……こう、ずっしりくる。

 と、落ち込みかけてふと気付く。今、なんて言った?


「あれ、でも待って。もうすぐって?」

「正確には、死ぬ間際に貴女の魂をここに呼ばせてもらったの。再びループという時間の流れに乗る前にね」

「そ、そんなことが可能なの……?」


 どうして私が今ローズと会っているのかはわかった。なるほど、呼ばれたのねって。

 でもループという時間の流れを越えて魂に干渉できるっていうのが意味わかんない。


 だってそんなこと……いや、時魔法を極めればもしかしたら。


 そんな淡い可能性があるだけで、とてもじゃないけど理解できる気がしないよ。

 私には絶対に使えそうにない。たとえ魔力が膨大にあってもね。力でごり押しはまず無理だ。


 ローズは小さく口元に笑みを浮かべると、紅茶を一口飲んでから口を開いた。


「それを説明するには、まず私のことを教える必要があるわ。貴女が珍しい時魔法を扱うのと同じように、私の得意な魔法も少し珍しいものなの」


 珍しい魔法? それだけでベル先生が喜びそうな話題だ。


 私は一つ頷いて話の先を促した。


「私が得意な魔法は模倣。簡単に言うと誰かの魔法を解析して再現する魔法ね。頑張れば誰にでも使える魔法ではあるんだけど……私の場合、発動した魔法を見さえすれば感覚で使えちゃうの。いくらでもね」

「えっ、ずるい! 羨ましい!」

「ふふっ、ありがと。その上、今は亡霊でしょ? 時間が有り余ってるから研究が捗って!」


 あ、この人も魔法使いなんだなってテンション感でわかった。

 亡くなった後も霊体になってまで研究を続けるなんて。魔塔の魔法使いの半分以上はそれをやりそう。出来るかどうかは別にして。


「私ね、生まれは普通の村娘なの。たまたま魔法が使えるってだけのね。そして友達も魔法使いだった。彼が得意とする魔法こそが時魔法だったってわけ」


 だから時間についての魔法の知識はあり、ローズも昔から友達の魔法を真似して時魔法を使うこともあったそうだ。

 本当に羨ましい……! 私も複数の魔法を使えるけど、かなり勉強したし上限はある。頭がパンクするからね。


 でも模倣魔法には上限というものがないというんだから。見て解析さえすればどんな魔法でも使えてしまうってことだ。


「だから、時魔法に干渉する下地はあったの。それでもここまで大規模なループに干渉するのはとても難しかったわ。けれどルージュ、貴女がループに巻き込まれたことで私の研究は再び進み始めた」


 え、私の? 不思議に思って目を丸くしていると、私のこれまでのループ人生はたびたび覗いていたのだとか。え、ちょっと恥ずかしいんですけど。


「暗黒騎士といったかしら。彼が何度もループを繰り返していたけれど、変化がなくてね。なかなか糸口が見えなかったの。貴女のループも途中からほとんど変化がなくなってしまったから……正直、難航したわ」

「ごめんなさい?」


 研究するのに同じ条件ではあまり意味をなさないのは当然だよね。

 やはり無駄な時間を繰り返したあの日々が悔やまれる……!


「謝ることないわ。おかげでたくさんのデータを集められたもの。何度も干渉に挑戦出来たしね。貴女のループ人生は、必要な時間だったのよ。少なくとも私にとってはね」

「……そんなふうに言ってもらえたのは、初めてかも」


 ローズの優しい微笑みが心に沁みる。

 そっか。無駄に思えたあの日々も、ローズにとっては必要な時間だったんだ。


 うっ、泣きそう。我慢、我慢。


「前置きが長くなったけれど、貴女の人生が変化し始めた二回ほど前のループから、手応えを感じ始めた。けれど私がこの流れに干渉するにはループしてもらう必要がある。一度目は失敗して、二度目の今、こうして貴女を呼び寄せることに成功したのよ」

「すごい。本当にすごいよ、ローズ」

「やだ、照れちゃうわ。ふふっ」


 頬に手を当てて恥ずかしがるローズがちょっと可愛い。というかこの人、雰囲気からして愛らしいよね。


 でも、なぜそこまでして? という疑問は残る。

 私は一度座り直すと背筋を伸ばして訊ねた。


「ねぇ、ローズ。霊体になってまでここまでしてきたってことは……ローズにもそれなりの事情があるってこと?」


 私の質問に、ローズは真剣な眼差しを向けたまま力強く頷いた。


「まだ時間があるとはいえ、無限にあるわけじゃないわ。でも少し長くなるだろうからお茶でも楽しみながら聞いてちょうだいね」

「なんか緊張感がないなぁ……。でも、せっかくだからお言葉に甘えます」

「ええ、たくさんどうぞ」


 緊張しっぱなしっていうのも疲れるしね。

 今の私も霊体みたいなものだし、疲労を感じるのかはわかんないけど。


 それを言ったらここで食べているものだって本当は存在しないものだけど、雰囲気って大事だよねってことでひとつ! んー、甘い焼き菓子最高っ!


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