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ルージュの巻き込まれループ人生〜誰なの!?何度も死に戻ってるのは!〜  作者: 阿井りいあ
2章

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107 ジュン・トルアバルの叫び


「マジ! 絶対! 今度という今度は許さねぇからな、ベルナールっ!!」

「まぁまぁ、落ち着いて。あと安心してにゃ、ジュン」


 今回の目的地、砂漠地帯でボクはイライラを抑えきれずに叫んだ。

 だってほんっとにムカつくんだもん! ベルナールはこれまでもずっと無茶ぶりばっかりしてきたけど、今回ばかりは許せねぇ!!


 ボクらはルージュと一緒に四天王の一人を討伐する予定だった。

 そうはいってもルージュの役目は最後の最後で暗黒騎士を倒すことだって聞いてるから、それまではあまり負担をかけないように後方支援をしてもらうつもりで。


 そのための準備もしっかり進めて、心構えも完璧で。

 だというのに急な予定変更。それも事後報告で、ベルナール本人もいない。


 あー、またイライラしてきた……!

 ラシダの宥めてくる声も今ばかりは素直に聞けそうにない。


 そう思いながら振り返ってギョッとする。


「みんな、同じ気持ちだから……!」


 ラシダの目がマジだ。ちょっとだけやばいかな、とも思ったけど、今回ばかりはどう考えてもベルナールが悪いので同情なんてしてやらない。


「急な予定変更ならいいよ、慣れてるし。いつものことだにゃー、って思うもん。けどさ、まさかルージュを連れて魔王のほうに行くとは思わにゃいでしょ! 信じられにゃいっ!!」


 完全同意。同意だけど……ちょっと暴れすぎ!

 危なくて近づけないし、戦いの前に怪我したくねぇんだけど!?


 周囲の冒険者たちも引いてるし、これどうしたらいいの? なんて思ってたらクローディーがポンと肩に手を置いて困ったように笑った。おぉ、任せろってことか? 助かる。


「ラシダのほうがジュンより興奮しているぞ。頼むから落ち着いてくれ。我々の敵も相当な相手なのだから」

「んむむむ、にゃー……」


 うんうん、こういう時はやっぱクローディーが頼りになるよな。喧嘩の仲裁とか、いつもやってくれてるし。

 穏やかな笑顔も怒ってるヤツを落ち着かせてくれる。


 穏やかな、笑顔……ん? あれ?


「ベルナールへの怒りはまずあっちにぶつけよう」

「……クローディー、笑顔が怖いにゃ」


 にこにこ笑ってるのに青筋が見える。


 うわぁ、冷静に見えたクローディーもぶち切れてた。一番怒らせたらまずいヤツだったかもしれない。怖ぁ。


 まぁな、クローディーは人一倍ルージュのことを気にかけてたもんな。ボクもよく「扱いが雑すぎるだろう」ってチクチク言われたし。

 べたべた近付いたり世話を焼いたりするわけじゃないけど、たぶん誰よりもルージュのことを心配してた。

 無茶をさせるような選択をしたベルナールに怒るのもわかる。


 これは戦いが終わって帰った日がベルナールの命日かもな。助けてはやらん。海より深く反省しろ。


「んっ、動いた! みんな静かに」


 ラシダの耳がピクピク動き、小声でみんなに指示を出す。

 すげぇよな、まったく見えない距離なのに動きが把握できるなんてさ。


 でもラシダいわく、ヤツの動きはそこらへんの魔物を探すより簡単だって。

 ……正直、ちょっとわかる。圧倒的強者ってのは、わざわざ気配を消さないから。


 獲物が逃げても追いつけるし、隠れていても見つけだす。

 当然、こっちの攻撃もほとんど効かないんだから逃げる必要もないってわけ。


 ま、今回はそうやって油断してくれたほうがいいけどな。人類の底力をたっぷり味わわせてやる。


 ボクたちが挑むのは四天王の一人、イフリート。正直、姿も見えない今の段階でさえ威圧がやばすぎて足が震える。


 でもこんなところでビビッてらんねぇ。魔王はもっとやばいんだろ?

 そこに、ルージュもいるってんなら、姉貴分として負けてらんねぇな!


 イフリートくらい軽く倒して、そんですぐに魔王のとこに飛んで参戦するんだ。

 その頃、ルージュは暗黒騎士のところに行ってるかもだけどさ……急いで行けば、少しくらいは顔が見れて、声もかけられるかもしんないじゃん。


 あいつ、生意気だけど意外と寂しがりだしさ。ちょっとくらい励ましてやんないと陰でコソコソ泣くかもだし。


 息を潜めてその時を待つ。

 ようやくボクの目でもイフリートの姿が確認できた。


 あの野郎……こっちに気付いてやがる。ちらっと目だけで一瞬こっちを見たのがわかった。

 だというのにすぐ目をそらして余裕ぶって……ムカつくな。自分が強いってこと自覚してるがゆえの余裕だろ。ベルナールみたいで余計に腹立つ。


「っし。そろそろ仕掛けていいんだよな?」

「血の気が多いな、ジュン」

「だって、憂さ晴らしは必要じゃん」

「ふっ、まぁそうだな。だが今回は魔法使いだけのチーム戦じゃない。冒険者たちもいることを忘れるな」

「わぁってるよ」


 正直、冒険者のほうにまで気を回さなきゃいけないのは面倒だけど……戦力になるのは確かだからな。


 ただ、ボクは魔法使いの中でも異端の前衛職。冒険者たちと連携する機会のほうが多いのが気がかりっちゃ気がかりだ。


 ま、あれこれ喋って説明するようなタイプじゃないし、ボクはボクのやり方で親睦を深めてやるよ。


「っしゃ、一番乗りで行くぜぇ!!」

「まったく、無茶するなよ。援護は任せろ」

「おう!」


 イフリートがつまらなそうな顔でこっちに顔を向けた。

 全身が高温の炎に包まれてるからってなめんなよ!


 次の瞬間、転移魔法を察知。クローディーのことだからどうせ……!


「よぉ、はじめましてってな!」

「っ!?」

「うおらぁぁぁぁっ!!」


 イフリートの目の前に飛ばすと思ったぜ! なーにが無茶すんな、だ。こういうこと平気でしてくるんだから。知ってたけどな!


 あいつと組むのも長いから、事前に話さなくても感覚でわかる。

 おかげでボクの強化された拳はイフリートの顔面に命中し、ヤツを十数メートル吹っ飛ばした。


 ふふん、物理攻撃は効かないかもしれねぇが、ボクの拳は魔法と同じ。


 殴られるのは初めてか? イフリートさんよぉ!


「開戦だ! ボクに続けよ、野郎ども!!」


 拳を突き上げて叫ぶと、冒険者や他の魔法使いたちの士気が上がるのが分かった。


 くぅ~~~、これこれ! 最っ高に気持ちいいっ!!


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