テイカーの失敗続き⑮
なぜ俺が閉じ込められている!
再教育?訳が分からない!
俺は最強だ。教育など必要ない。
俺がお前らに教えてやることはあっても教えられることなどない!
テイカーには常に2人の騎士が付き監視している。
文官らしき男がテイカーに再教育を施す。
「~でありますからして、瘴気の発生を最小限に抑える為、民に苦痛を与えすぎるのは良くないのであります。」
「おい!俺に講義なんて必要ない!」
「でしたら、テストを受けてもらいましょう。学力をチェックします。良い結果が出ることを期待しています。」
「ふ、俺の実力を思い知れ!」
思い知らせてやる。
俺の有能さをな!
「結果ですが、5教科500点満点中121点です。再教育が必要ですな。かなり頭が悪いので、きっちり再教育を受けましょう。」
「貴様!馬鹿にするなよ!」
テイカーは胸倉を掴んで顔を殴る。
すぐに騎士に止められた。
騎士が呆れる。
「話には聞いていたが、まさかここまでひどいとは!」
「拘束を強化するよう進言する。」
「普通文官を殴るか?」
「殴ってるからな。現実を受け止めるぞ。」
テイカーの拘束は強化された。
苦痛の首輪を嵌められ、講師の言う事を聞かないと苦痛を与える仕組みになっている。
更に両手足に能力封印のリングがつけられた。
講師に暴言を吐いても暴力を振るおうとしても首輪が発動する。
「貴様!ここか、ぐあああああああ!」
苦痛の首輪が発動する。
「はあ!はあ!ふざける、ぎぎぎぐあああああああ!」
テイカーはしばらく自爆し続けた。
講師が牢屋の前で連絡する。
「ホワイト家が4つ星貴族となったようです。」
「なんだとおお!ぐああああああああああ!」
首輪が発動する。
テイカーは何度も首輪を発動し、何度も苦痛を受けた。
本来は首輪を嵌められることも無かったのだが、テイカー自らの行いにより、自身を追い込んだ。
講師が連絡する。
「ブラック領のダークスフィアの鎮圧が終わったようです。」
「早く首輪を!ぐああああああああ!」
首輪が光る。
おかしい。
ダークスフィアの鎮圧が終わっても解放されないのか?
話が違う。何が起きているんだ?
ありえない!ありえない!ありえない!
こうしてテイカーは再教育の講義を受け続けた。
◇
しばらくしてテイカーは王に呼ばれる。
やっと解放されるぞ!
この首輪ともおさらばだ。
テイカーは王の元に赴く。
「テイカーよ、ルールを守り、民を助け、領を発展させよ。この意味が分かるか?」
「はい!すぐに帰って教えを守ります!」
「何故民を助けるか答えてみよ。」
「瘴気の発生を抑え、未来の発展の為です。」
「・・・まあ良い。解放するが、これからは民に尽くし、良き行いを積み重ねよ。余計な真似はするなよ!」
「はい!私が居ればブラック領は必ずや、良い未来が訪れるでしょう。」
「・・・本当に大丈夫か?信頼できなくなってきたぞ。」
「大丈夫です!」
「まず帰って何をするか言ってみよ。」
「まず魔物を倒し、民の安全を確保します!」
「約束できるな。帰って魔物を狩り、民の安全を確保すると。次何かあれば星だけでなくすべての領地を没収するぞ。」
「はい!問題ありません!」
こうしてテイカーの枷は解かれ、解放される。
王城を出ると異変に気付いた。
「おい!迎えの兵はこれだけか?」
そこには100にも満たない兵がいる。
ブラック領に住む人も兵も多くは残っていないのだ。
ダークスフィアを破壊され避難した民の多くはブラック領に戻らなかった。
まずい!このままでは魔物を狩って星を取り戻すことが出来なくなる。
ブラック領の帰路に就く途中でテイカーは来た道を反転する。
そうだ!手柄を立てればいい!
王都に封印されているレイドボス、奴を倒せば俺の星授与は確実だ。
あの封印のせいで多くの人と経費を割き、王家を疲弊させている。
レイドボスを倒し、手柄さえ手に入れればこっちのものだ!
封印の地
多くの魔導士が魔道具に 魔力を送り、封印を維持している。
そこにテイカーは入り込む。
「な、何しに来たのですか!ここは立ち入り禁止です!すぐ帰りなさい!」
「俺がここのレイドボスを倒してやるよ。」
「そ、そんな連絡は受けていません。帰りなさい!」
「うるさい!黙れ!」
封印装置を斬りつけ、破壊していく。
「ああああ!そんな!封印の結界が!」
「すぐに避難し、王に報告するのです!」
魔導士が慌てる。
「ふ!必要ない、いや、俺がレイドボスを華麗に討伐したとそう伝えればいい!」
封印が破られ、レイドボスが姿を現す。
「ぐおおおおおおおおお!」
「ふ!かかって来い。死にかけのざこが!」
「ぐふふふ!景色が変わっている。長い時が流れたようだな。我は封印されていたのか!?」
「そうだ!そして俺に殺される!」
「ぐふふふ!大した自信だな!貴様一人でか?皆逃げ出しているぞ?」
「俺は特別な存在だ!俺一人で十分なんだよ!」
レイドボスの斬撃がテイカーに飛ぶ。
「ぐああああああ!」
テイカーは斬撃を胸から腹にかけて斜めに受け、血を流す。
「ぐふふふ!はははは!口だけではないか!」
テイカーは慌ててポーションを飲む。
「なめるなああ!スラッシュ!スラッシュ!」
傷がほとんどつかない!ばかな!この剣は宝剣と呼ばれる高級品だぞ!
それにこの俺様のスラッシュを使い、傷がつかないだと!
「うおおおお!スラッシュ!スラッシュ!スラッシュ!スラッシュ!」
「効かんな。さて、次はこちらの番だな。安心しろ。じわじわと追い詰めてやる。ぐふふふ。」
「ひひいい!なんだあれは!なんだあれは!なんだあれはああああ!」
テイカーは王都に向かって逃げ出す。
◇
王はコーヒーブレイクを楽しんでいた。
落ち着く。睡眠不足の体に染み渡る。
側近が慌てて駆け寄る。
沈着冷静な側近があんなに慌てている。
いやな予感がする。
「大変です!テイカーがレイドボスの封印を破り、王都に逃げているようです!レイドボスが王都に迫っています!」
王はコーヒーを床に落とした。
王都に全兵力が招集された。
もちろんキュキュクラブもだ。
王都は滅亡の危機を迎えていた。
テイカーの愚かな行いはみんなの予想を超える行為であった。
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