香辛料が無くなるなら、カレーを高値で売ってしまおうか
「素材を納品してリコの所に行ってくる。みんなはサウナにでも行っててくれ。」
皆長風呂でサウナともなれば2時間は時間を潰せるのだ。
エステルの犬耳がしゃきんと立つ。
メイも嬉しそうだ。
「きゅうも行って来てくれ。」
きゅうが俺の肩からエステルに飛び移る。
ここが新しいギルドか。
新しくてきれいだし、木の匂いがするな。
受付嬢が声をかけてくる。
「ハルト君久しぶりだね。」
「こんにちわ。素材の納品をしたいんだ。」
「こっちだよ。」
解体所も大きくなってる。
それでも俺の出した素材の量が多すぎて、全部受け入れてもらえなかった。
「ハルト君、5日以上たったらまた納品しに来て。すぐには全部受け取れない。」
「あれ?前より受け入れ能力が低くなったのか?」
「受け入れ能力は上がってるけど、ハルト君の狩ってくる魔物が大きくなって量が増えたのよ。」
「そうだったのか。分かった。後で来る。所でリコは居るか?」
「今学園だよ。」
「・・・そういうのもあったな。」
2年になってから一回も通ってないぞ。
「きたら連絡するよ?」
「大丈夫だ。いつものパターンだと何かトラブルがあるから気になったんだ。今日は帰る。」
「また来てね。」
俺はサウナに行きみんな大食堂でくつろぐ。
エステルは意味もなく伝説武器を出したりしまったりする。
きゅうと同じことしてるぞ。
「今日の夕食は何にする?」
「唐揚げ!」
エステルが反応した。
「今日は唐揚げとスープ、バケットに、プリンも作ろう。」
ついでにフレンチトーストの仕込みも済ませる。
明日の朝はメイの好きなフレンチトーストだ。
夕食中にリコが訪ねてきた。
「ごきげんよう。」
「上がってくれ。」
「お邪魔しますわ。」
リコがジト目で見てくる。
「ん?どうした?」
「私の分のプリンはありませんの?代わりのお菓子でも良いですわ。」
リコはお菓子が無いと不機嫌になる。
逆を言えばお菓子さえあれば良いから楽ではある。
「今ケーキもクッキーも切らしている。下準備中のフレンチトーストがあるけど、まだ浸して時間が経って無い。」
「フレンチトーストを2枚お願いしますわ。」
「分かった。」
俺はフレンチトーストを作りながら、リコの話を聞く。
「今の状況を説明しに来ましたわ。アリスとニャムですが、おじいさまの教育を受けて順調にスキルレベルを上げております。ハルトに会いたがってましたわ。」
「特級になるまで修行継続だな。今はスキルの修行が大事な時期だ。会う必要もないだろう。」
「兵糧丸ですが、ホワイト領の在庫が切れましたわ。ストックがあれば欲しいのですわ。」
「うむ、出そう。ただ、今日大量に魔物を納品してギルド員のストレージがいっぱいみたいだぞ。」
「次の魔物を納品する時についでに出してもらえれば問題ありませんわ。他には、南のベアー家がダークスフィアの鎮圧に苦戦しているようですわ。王は他に手が回らず放置する考えのようですわ。」
「俺も放置に賛成だな。ベアー領は領主も他の民もあんまりよくないと思う。」
他の獣人族を支配するようなやり方が気に入らない。
他の獣人族は食べ物が少なくて痩せてるのに熊族だけが元気そうだった。
放置だな。
「その影響で香辛料が不足して、値段が高騰してますの。更に騎士団がカレーを食べたいと言ってますわ。」
南の領地から香辛料を取れるが、今採取する人がこっちに来た影響だ。
「カレーか、作れるだけ作ろう。そして高値で販売して欲しい。」
「分かりましたわ。香辛料が無くなれば、ハルトに言っても無駄ですから、作っておくのも良いと思いますわね。」
その通りだ。作れるだけ作って、後は香辛料が手に入らなくて作れないと言って香辛料のせいにする。
俺の所に来ても意味がないという状況を作るのだ。
「最後に、テイカーが王都から解放されましたわ。」
今まで再教育の名目で監禁されてたんだったな。
いやな予感がするぞ。
リコは話が終わると、フレンチトーストを待ち続ける。
結局リコはフレンチトーストを4枚食べて帰って行った。
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