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交錯する思惑

王は側近から報告を受ける。


「なるほど、テイカーはおとなしくダンジョンでレベル上げか。」


「はい、それと、気づいたのですが、テイカーは不機嫌な時はまともな行動を取り、上機嫌になるとロクなことをしません。」


「ふむ、確かに、振り返ってみれば領民の為になる、魔物狩りを進めている間は不機嫌で、難民を追放し、贅沢三昧をし、資産を食いつぶしている間は上機嫌であった。」

今後テイカーには常に不機嫌でいてもらうか。


「ホワイト領は、徐々にではありますが難民の受け入れを進めつつあります。解決までは時間の問題かと。」


「さすが、ホワイト領は優秀だな。まったく、他の貴族にも見習って欲しいものだ。」

貴族の多くはプライドだけは高く、自身の領の保身と利益、または自分自身の快楽の事しか考えない。

更に兄弟同士で殺し合い、無駄に民を疲弊させる。


そして、私が少しでもルールを破ろうものなら、『王がやってるんだ!俺がやって何が悪い!』という態度で貴族どもはすぐにルールを歪めてくる。

王家にもっと力があれば、テイカーの星など数年前にはく奪している。


だがあまり厳しくすれば、今度は貴族同士で結託し、王都に攻め込んでくる。

今は魔物の数が増え、争い処ではない。

貴族どもは自身の権力維持の為なら、民をいくらでも犠牲にしてくる。


子供のまま大人になったような貴族どもの相手をするだけで時間が奪われる。


そう考えれば、ホワイト領の優れた経営は、貴族の中では、異質でもあった。

当主にも、リコにも、感謝してもしきれん。


本来なら、ハルトを貴族にしたいところだが、それも断られた。

味方も時間も資金も物資も、すべてが足りない。


「ホワイト領とブラック領の納品対決の大枠を詰めよ。今後テイカーには苦労をさせ、不機嫌で居続けてもらう。テイカーに余計なことをさせるな!それと、リコには勝たなくても良い。負けても気に病まぬようにと裏で伝えろ。」


「裏で、ですな。かしこまりました。それと、キュキュクラブについてです。」


「おお、元気でやっておるのか?」


「ええ、ものすごい勢いで魔物を狩り、急速に力をつけているようです。」


「それは良かった。」

王には狙いがあった。

ハルトの特級へのランクアップである。

ハルトを貴族に出来ない以上、ハルトには戦闘力をつけて欲しい。



キュキュクラブを調べさせると、皆が元バッドスキル持ちだという。

バッドスキルを乗り越え、ギフトを授かった者は皆優秀だ。


更にエステル以外は職業が上級、しかもエステルも上級まであと一歩、しかもレア使い魔のキュキュを従える。

皆が非戦闘職とは言え、上級に到達した者は戦闘能力も例外なく優秀で、戦闘以外の能力にも優れる。

非戦闘職でも上級以降は、戦闘関連のスキルを覚えることが多い。

しかも上級にランクアップした際にスキルを2つ覚える。


王は確信する。

キュキュクラブはこの国に利益をもたらしたが、今後さらに利益を上げ、民を豊かにする。





「しかし、」


「なんだ?」


「騎士団がハルト君にカレーを作らせようとしております。」


「・・・どうでも良い。放置せよ。」


「冗談のつもりでしたが、相当お疲れのようですな。」






王城へと向かう見知った顔


クリムとリンである。


2人は笑みを浮かべながら王城へと入城した。






ホワイト領の滅亡を企むテイカー。


一方、領内で、難民の受け入れに尽力するホワイト領。


テイカーを縛るため、ブラック領とホワイト領の納品対決の準備を進める王家


ダンジョンで力をつけるキュキュクラブ。


そして謎の笑みを浮かべ、王城へと入場する元貴族、クリムとリン。


それぞれの思いと思惑が交差し、混乱と戦いを生む。




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