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ハルトVSテイカー 親善試合

「ち、男か!つまらねーな!」

アークは舌打ちする。


俺は両手に持った刀の感触を確かめるように振る。


「つまらねー。早く終わらせるか!」

アークが一気に距離を詰める。


アークの手足4本が両断された。

「あ、へ、?」







「何が起きているんですの?」

リコは鑑定でハルトをくまなく確認する。


あの刀は!マグロ包丁!


包丁!







アークは運ばれ、10番の選手がリングに上がる。


一般的なロングソードを持つが、雰囲気が違う。



「構え!ブラック学園10番対ホワイト学園100番! 試合開始!」


観客席がざわつく。

「ブラック6強最強が出てきた!」


「最強のラックだ!」




ラックがハルトと対峙する。

「恨みは無いが、全力で相手をする。」


ラックと打ち合う。一撃で倒せない感覚はゲス以来か。

だが、こいつはゲスより強い


始めてまともに打ち合える相手。


これによりハルトのスキルレベルは急速に鍛えられていった。


ハルト優勢ではあったが、ハルトの連撃をラックが受けきる。


12才で追放され、修行をしてから初めてまともに打ち合える相手と打ち合う。


『包丁レベルが、6から7にアップしました。』


ハルトの方が優勢だった打ち合いは、さらにハルト優勢に傾く。


『敏捷アップレベル4から5にアップしました。』


『敏捷アップレベル4から5にアップしました。』


更にラックを追い詰める。


ラックは斬り刻まれ、動きを止める。


「見事だ!」

ラックが倒れる。


「「おおおおおおおお!」」

歓声が聞こえる。


「あいつ!疾風の料理人ハルトだぞ!」


「黒い悪魔のハルトか!」


「テイカーの腕を切り落としたあの!?」


騎士団非番の者もハルトの応援に来ていた。

「ハルト殿!全勝するんだ!」


「君ならやれる!」


「あいつ何者だ!騎士団の関係者なのか!」


《数値だけ書かれてるので、誤入力かと思われる》


20連勝


俺は、父親の背中を思い出していた。


こんな武器を持ってゆっくり素振りをしていた。


父親の面影を思い出すように、真似をするように戦う。


50連勝


疲れてきた。

でもその分、無駄な力が抜ける。


これを、この包丁をもっとうまく振れる気がする。

いや、今包丁をうまく使えていない感覚がする。


俺はまだ未熟だ。


80連勝


『包丁レベルが、7から8にアップしました。』


周りの者は、ハルトの動きに目を奪われていた。


達人の動きには美しさが宿る。


無駄のない流れるような動き。


ハルトの動きは観客の心さえつかみ始める。


追い込まれ、疲れながら、劣勢の中戦う。


そんなハルトに涙を流しながら応援する観客が増え始める。


ハルトが起こす奇跡に皆が沸き立つ。


「ハルト君!がんばってー!」


「100番まであと少しだ!負けるな!」


ハルトへの歓声が増え、場の空気を支配していく。


リコは涙を流しながらハルトを見つめる。






気が付けば、俺の前にテイカーがそこに立つ。


「は!非戦闘職の無能が!最強の俺が力の差を見せてやる!王の前で無様に這いつくばれ!やっとだ!やっと貴様に屈辱を与えられる!」


テイカーは、宝剣を取り出していた。

封印が施され、テイカーだけが鞘から抜くことが出来る。


テイカーは自身が強い宝剣を使い、ハルトには包丁を使わせないよう画策したのだ。


俺とテイカーは対峙する。


手がしびれて感覚が無くなってきた。


息が上がる。


だが、テイカーが目の前に居る。


俺は口角を釣り上げる。


「構え!ブラック学園100番対ホワイト学園100番! 試合開始!」


テイカーの剣からバチバチと雷が発生する。


「スラッシュ!」

スラッシュと宝剣の力で驚くべき力を発揮する斬撃がハルトを襲う。


スラッシュを躱し、テイカーの腕に斬りつける。


テイカーが振りかぶろうとしたその時、テイカーの右腕が宙を舞う。


更に左腕を切り落とす。


「ぐあああああ!」


右足に斬りつける。


テイカーの右足が離れ、転げまわる。


「殺せえええ!ハルトを殺せええ!言う事を聞かないとお前らの家族もろとも殺してやる!」


「テイカー!ふざけるな!正々堂々と戦え!」


こいつは何をやっている!


部下の家族を何だと思っている!


俺に斬らせるのか!


周囲から迫ってきたテイカーの部下が俺に斬りかかる。


向かってくる相手の攻撃を躱しつつ、斬り倒す。


向かってくるものが居なくなり、ジークが俺の護衛に入る。


というより、俺がテイカーを殺さないようにしているのか。

ジークはテイカーと俺の間に立っていた。


「し、親善試合!ホワイト学園の勝利です!」


「「わああああ!」」

歓声が鳴り響く。


治療の為あわただしく駆け出す運営。


俺はジークとともに奥へと下がる。


ハルト 男

レベル 33

職業 上級料理人

ノーマルスキル

経験値上昇・超 レベル10

職業スキル

包丁    レベル8

料理    レベル8

ストレージ レベル6

感知    レベル5

敏捷アップ レベル5

敏捷アップ レベル5






俺はエステルとメイの元へと向かう。


二人は治療を終えていた。


きゅうはみんなの治療で疲れ果てたのかぐっすり眠っている。


「お疲れ様。」

「勝ったんですね?」


「ああ、勝ったぞ。」


周りのけが人が歓声を上げる。


疲れがどっと出て、俺は椅子に腰かける。


「疲れていますね。私のベッドを使ってください。」

そういってメイは俺をずるずるとベッドに運んで寝かしつける。


となりにメイが寝て、安心したような表情を浮かべる。


「ああ!ずるいよ!」


「ずるくありません!ハルトの体を気遣った当然の対応です。」


ぐううううううう~


エステルのおなかが鳴る。


「あはは、おなかがすいちゃった。」


「血を流しすぎたんだ。何か出そう。」


「私も甘いものが食べたくなってきました。」


『甘い物』という言葉で、きゅうが覚醒する。


「きゅう~」


さっきまですやすやと眠り、潰れるように力が抜けていたきゅうの体に力が入る。

素早くモコっと膨らみ、俺に飛び込んでくる。


周りのみんなも「俺も!」「私も!」

と手を上げる。


「これは、ストレージにある分だけじゃ足りないぞ。」


「ハルト、キュキュクラブの食事が落ち着いたら、外に食堂を出しましょう!私が接客します。」

メイの言葉に周りが盛り上がる。


「ハルトの食事とメイの接客だぞ!」


「お、俺エステルに接客して欲しい!」


「俺カレーが良い!」


「待て待て数が多いから今日はカレーとスープ、サラダ限定な!」


すぐに食堂を闘技場の前に出し、ストレージから食事を取りだす。


キュキュクラブは固まって食事を取る。


「カレーとケーキ、パンしかないんだけどな。」


「十分だよ!」

エステルがすごい勢いで食べ始める。


きゅうは顔でケーキを食べ、顔がケーキまみれになる。


メイは落ち着き、上品に食事を口に運ぶ。


汚れたきゅうの顔をメイがやさしく拭き、きゅうは満足そうに眠り始めた。


外を見ると、人だかりが出来ている。


ホワイト学園の生徒・騎士・ゲンさんとその教え子、さらにその家族までもが集まってきたのだ。


メイはゆっくりと紅茶を飲み干すと、接客を始める。


エステルは鍋一つ分のカレーを食べつくす勢いで食事を続ける。

エステルの回復力と料理ブーストの相乗効果で、エステルはどんどん回復していく。


「ハルト!もう料理がありません!」


「今からカレーを作り始める!時間がかかると伝えてくれ!」


こうして、夜になるまでキュキュクラブの食堂はカレー屋さんに変わった。









最後までお読み頂きありがとうございます!ここまで少しでも、ほんの少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!

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