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テイカーの失敗続き⑤

5家分の傘下貴族を失い、その領地を手に入れ喜ぶテイカーだったが、経営はうまく行かなかった。


領民は他の領地に逃れ、人が減り、さらにテイカーは魔物狩りを怠ったことで、旧傘下の領地は魔物の縄張りへと変わっていく。


ブラック家全体で見れば黒字ではあるものの、旧領地に絞って考えれば明らかに赤字経営だ。


さらに、王から領地を発展させ、領民を守るよう念を押されている。


経営がうまく行かなければ星のはく奪もありうると釘を刺されていた。


まったく、状況の変化に対応できない無能どもが!


また無能に足を引っ張られる羽目になるとは。


領民を露骨に殺すことは出来ない。


そうだ!赤字地域の領民を魔物に殺させよう!


そうすれば俺の責任にはならない。


ふ、我ながら良い考えだ。


早速執事に命じよう。


「旧傘下の領の魔物狩りを中止しろ!」


「お、お待ちください!ただでさえ魔物を狩る頻度が少なすぎるのです。これ以上放置しては、領民が死んでしまいます!」


「不幸な事故で魔物に殺されるかもしれんが、これは不幸な事故だ。」


「そんなことをすれば、王の耳に入り、テイカー様の星はく奪もあり得ます!」


執事の腹を蹴り飛ばす。

「良いからやれ!これは不幸な事故だ。それともお前が死にたいか?」


「か、かしこまりました。直ちに事を進めます。」


執事は裏で出来る限り旧傘下の領民を他領へと避難させた。

これにより死者はほぼいなかった。

他の領に流れた民からテイカーの悪いうわさがさらに他の領地に広まる。





テイカーは学園へと入学するが、なぜかテイカーと同じ学年の新入生は大幅な定員割れで、毎回定員割れすることのないブラック学園としては異例の事態だった。


対戦試験では、テイカーは常に不戦勝。

その為テイカーの対戦試験の成績は1年生の中で1位となる。


テイカーが食堂近くの廊下を歩くと、食堂から自身の話題が耳に入り足を止めた。


「だから、その時テイカーは入学試験で腕を切り落とされてたんだよ。」


「そうなのか。その場に居なかったから分からなかったぞ。」


俺の話!

俺が腕を切り落とされた話をしたのか?

こいつが!


あれはハルトが卑怯な手を使った!


無能にはそんなことも分からないのか!


テイカーはその生徒に駆け寄り、殴り飛ばす。

机と椅子がガシャンと音を立て、悲鳴が聞こえた。


テイカーは生徒に馬乗りになり、何度も何度も何度も殴り続けた。


殴られた生徒はすでに息が無く、命を失う。


「これだから無能は!」

動かなくなった生徒に唾を吐きかけ、その場を去る。


テイカーは領主だ。領主が民を裁く権限を持ち、殺した生徒には適当な罪を被せる。


そしてその生徒が非戦闘職だと知ると、怒りは他の生徒にも飛び火する。


「非戦闘職の生徒の学費を3倍に上げろ!無能には多く学費を払わせる!」


この事件により多くの非戦闘職の学生がブラック学園を後にする。





テイカーは学園に入ってからパーティーを組まず、一人だった。


テイカーがパーティーに誘うと、

「ぼ、僕はテイカー様についていけるほど強くありません。足手まといになります!」

そういって皆がテイカーからのパーティー申請を断ったのだ。


ふ、やはり優秀な俺についてこれるものが居なくなったようだな。


すでに俺は学園のレベルを超えている。


学園に収まる器ではないのだ。


ダンジョンか、行くまでもない。何故なら俺はすでに最強だからな。







「テイカー様、他の貴族の方へ貸していた資金がすべて返済されました。」


「いくら戻ってきた?」


「5500億ゴールドです。」


「良かったじゃねーか。」


「しかし、貸したままにすることで、毎年10%の利益が出ていました。その利益が無くなったのです。」


「は、たかだか10%程度、大したことは無い!」


「ですが、貸金はブラック家の主力ビジネスの1つです。このままでは主力ビジネスを1つ失う事になります。この資金を貸金に使ってみては?」


「何度も言わすなよ!年10%程度大したことは無い!金貸しはしない!」


「・・・・・失礼しました。」


執事は呆れていた。

学校で貸金の有用性は何度も繰り返し教育を受ける。

例えば100万ゴールドを貸金に使い、利子すべてを貸金に再投資すれば、10年で250万以上に増え、20年だと670万以上に増えるのだ。

『借りる側に回るな。貸す側に回れ』と言うのは何度もしつこく教育される。

これはあまりに無駄遣いをする貴族が多い為取られた対策でもあった。


テイカーは10才の時に父が死んでから勉強しなくなった。


自身の経営する学校、学園に通う事で、何もせずとも最高評価を得るように教師を脅してきた。


今もダンジョンに行かずだらだらとくつろぐ。


15の成人を迎えてからは酒・女・学園でのいじめで時間を潰す。


特に学園に通うようになってからは学園や町の気に入った女を無理やり屋敷に連れ込み、屋敷に軟禁するようになった。

このことにより、多くの女性がブラック領を去った。


優秀な兵に屋敷を見張らせ、決して女を逃がさない。

その分魔物狩りに支障が出て、領民の死亡率は上がっている。


テイカーは、先代が努力して築いてきた人からの信頼と、資産を使いつぶし始めた。


強大な力を持つブラック領だが、テイカーの悪行により歯車は狂い始めている。


最後までお読み頂きありがとうございます!ここまで少しでも、ほんの少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!

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