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対戦試験

俺とリコは7日間学園を休んだ後、久しぶりに学園へと向かう。


しかし焦る心配は無い。

何故なら学園の学科は学び終え、俺とリコはすでに卒業までの学科試験を合格している。


「ハルト、今日は対戦試験を受けて欲しいのです。」

対戦試験、生徒同士が戦い、能力を測定する試験の事だ。

俺は生産職の為、良い結果を残さなくても問題は無い。


「まあ、適当にやるさ。」


「いえ、一年生全員のプライドをへし折ってほしいのですわ。」

リコがそんなことを言うのは珍しい。


「何かあったのか?」


「わたくしとハルトが7日間学園に通わなかったことで、おかしな噂が立っているようです。毎晩ベッドで激しく乱れている、ハルトにメロメロでわたくしが言いなりになっているなど、ありもしない噂が流れ、教師に抗議する生徒まで出てくる始末です。一刻も早く問題を解決しませんと。」

貴族に対するやっかみや思い込みはいつもの事だが、今回はひどいな。


「なので、エステルとメイ以外の1年生全員を倒して欲しいのですわ。」


俺が学園に着くとすぐに闘技場へと案内される。

「まさか学園に来てすぐにここに来るとは。」


午前中は俺を含めて50名の生徒と教師が闘技場へと集まる。


俺一人がリングへと上がっていた。


「さあ、どなたかハルトと闘いたい方はおりませんの?」

沢山の生徒が手を上げる。


一回戦目は重戦士か。


重戦士がリングへと上がる。




俺の名はジミー。

重戦士だ。この盾と剣で多くの生徒を倒してきた。


次の餌食は料理人、武器は包丁か。俺の勝ちだな。


何故なら短剣系の武器は俺の最も得意とする相手だ。

俺の剣・盾スキルのレベルの高さで今までの試験短剣相手すべてを余裕で倒してきた。

対短剣系の勝率は100%!後はメイ、リコ、ハルトを残すのみ!


「ハルトと言ったか、この勝負悪いが俺の勝ちだ!」


「そうか、よろしく。」


ふん、すかしやがって、余裕でいられるのも今の内だ!

これからの学園生活、俺への劣等感を感じながら過ごすことになる!


「それでは、一回戦、開始!」


まずはいつものようにシールドを突き出して突撃する!


ジミーはハルトに突撃するが盾の手ごたえが無い。


「避けられたか!」


ハルトが後ろから木の包丁で思い切り斜めに斬りつける。


あまりの衝撃の大きさに、木の包丁は割れ、ジミーが前へと吹き飛び動かなくなる。


「「・・・・・」」


「しょ、勝者ハルト!」


周りがざわつく。


「今木の包丁が割れたぞ。」


「いや、それよりもあの重いジミーが簡単に吹き飛ばされた!」



リコが近寄ってくる。

「もお、ダメですよ!木の包丁を壊してしまいました!次からハルトは素手で戦ってくださいませ!」


あれ?俺怒られた?注文通りプライドをへし折ったわけだが?


「ハルトはまだ余裕ですわね?次はどなたですか!?どんどん行きますわよ!」





次は短剣使いがリングへと上がる。


俺の名はダメー。

なるほど、確かに素早くはあるな。そこは認めよう。

だが俺は敏捷特化のダガー使い。

戦闘職である俺に、非戦闘職のハルトが勝てる道理はない!


俺はハルト以上のスピードで戦うことが出来る!


スピード対決なら俺の勝ちだ!




「二回戦!開始!」


「ふ、ハルト!スピード対決では俺の勝ちだ!」


ダメーはハルトと距離を詰め、ダガーを突き出す。


ハルトは左手で腕を払い、そのまま左手のこぶしで腹を殴る。


ダメーが地面へと崩れ落ちる。


ダメーは気を失っていた。


「あいつジミーに負けてたのに!なんで勝てると思ってるんだ!」


「ダメーはやっぱりだめだな!」



「次!どんどん行きますわよ!立候補はありませんの?


「・・・・・」


「ど、どなたかおりませんの!?どなたか立候補してくださいませ!?」


リコはまるで急患が出た時の『回復魔法を使える方は居ませんか!?』というような必死な呼びかけを続ける。


教師が前に出る。


「それでは3強に相手をお願いします。」


3強。この7日間の対戦試験によって強者がはっきりしてきた。


斧のエステル・メイドのメイ・巨乳のメロン。


いや、最後だけおかしくね?


「ハルトには勝てないよ。」

「ハルトには勝てません。」

エステルとメイが素早く負けを認める。


「ではメロン、リングに上がりなさい。」


「巨乳のメロンだ!」


「この対戦カードは楽しみだな!」


外野が盛り上がる。


メロンは自信を見せた。


「ハルト君、強いのは認めるけど、私は詠唱の早い風魔法、それも魔法発動を早くするスキルを2つ持っているわ。」

魔法威力アップの指輪をハルトにかざし、かまえると胸がプルンと揺れる。


「「おおおおおお!」」

揺れるメロンの胸に外野、男の歓声のみが上がる。


「良いのか?スキルを知られると不利だろ?」


「対策しにくいと思うわ。」

確かに、素早い攻撃は対処のしようがない。



「三回戦、開始!」


メロンが魔法を撃つ前にハルトはメロンの足を払い、転ばせて、馬乗りになってメロンの首に手を当てる。


「ふぇ?」

メロンは状況が理解できず気の抜けた声を出す。


「・・・・・」


「・・・・・」


「負けよ。」


「え?なんですか?」

聞き取れなかったのか教師が聞き返す。


「私の負けです!降参します!もう何回やってもハルトには勝てません!」


外野の男の視線はメロンの胸とスカートに集中する。


メロンは急いでパンツを隠すようにしてリングを降りる。


「エステル、メイ、ハルトと闘わないと不戦敗になりますよ?」

教師が確認をする。


「それで大丈夫だよ。」

「私も不戦敗でお願いします。」


「うーん、出来れば一回は戦ってもらった方が評価を付ける側としては助かりますよ?」


「メロンと同じように足を取られて地面に転がるだけですよ。」


「私も同じだよ。戦うまでもない事だよ。」


男の生徒が声を上げる。


「待て!、地面を這いつくばって、見えてくる景色があるんじゃないのか?」


「そうだ!メロンと一緒に敗北を味わうべきだ。地面に転がされて見えてくる景色があるはずだ。」


教師が男子生徒を注意する。

「エステルとメイのパンツが見たいのは分かりますが、そういうのは良くありませんよ、そういう皆さんがまず先にリングに上がってください!」


リコが提案する。

「10人位までならリングに上がれますね。どうでしょう?10人対ハルト一人で戦ってもらっては?」


「ハルトの強さならそれでも大丈夫ですね。」

教師が10人の生徒をリングに上げる。



「四回戦開始!」

試合開始直後にハルトは全員に掌底を食らわせ、全員を一瞬でリングから吹き飛ばす。


こうしてハルトは、午前午後と連勝し、メイとエステル以外の全員を余裕で倒す。

リコもハルトに簡単に後ろを取られあっけなく降参。


その日の内にハルトは、


『10人殺し』

『リコの懐包丁』

のあだ名がつけられ、『ハルトは1年生最強』となる。


「ハルト、お疲れ様ですわ。これで生徒も少しはおとなしくなりますわ。」


「ただ、『リコの懐包丁』っていう変なあだ名がついたぞ。」


「ホワイト領の発展に協力していただいていますので、完全に間違っていない点が悩ましいですわ。」


エステルとメイが俺の腕に絡みついてくる。

きゅうは俺の胸に飛び込む。


「ちょうどキュキュクラブが揃いましたわ。キュキュクラブにお願いしたいことがありますの。」








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