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テイカーの失敗続き③

旧ハウス家を自分の領地とし喜ぶテイカーだったが、経営はうまくいかなかった。

テイカー・ブラックの領地に変わると知った旧ハウス家の領民たちはホワイト領へと旅立つ。

旧ハウス領は、魔物の支配する森へと姿を変えつつあった。


テイカーが無駄な出費として魔物狩りを怠り、残った領民が魔物の餌となったことで、テイカーの評判はさらに落ちた。


くそくそくそ!

よりによってなぜ俺が統治した瞬間に魔物があふれ出した!?

ハウス家の奴らが魔物狩りを怠ったに違いない!


テイカーの考えは間違っていた。

ハウス家が統治している間は、最低限の魔物狩りを行っていた。


テイカー自らが放置したことで魔物が増えたのである。


テイカーはイライラを抱えたままクリムとダンジョンへと向かった。

クリムにすべての荷物を持たせ、魔物を斬りつける。


「テイカー、そんなに早く歩けねーわよ。」


テイカーは奇声を上げながらクリムを蹴り飛ばした。

「ぐれああ!無能が!自分の仕事位まともにこなせよ!」


テイカーとクリム以外のメンバーが居なくなったことで、怒りの矛先はすべてクリムに向いた。

貴族としての格と、戦闘能力両方でテイカーに劣るクリムは逆らえず耐え続けた。


クリムの指に10個はめられていた指輪は8個に減っていた。






「テイカー様、ベーコン家の経営が苦しくなっております。ブラック家への献上金を免除して欲しいとの連絡がございました。」


「は?ふざけるな!死んでも払わせろ!」


「し、しかしこのままではベーコン家が潰れてしまいます。」


「ふ、構わん。潰れたら俺が領地を貰ってやる。」

領地経営も出来ない無能はブラック家の傘下にふさわしくない。

くっくっく、俺に貢献するか、俺の領地が増えるか、どちらに転んでも良い未来しかないな。


ダンジョン探索でクリムがおかしなことを言い出した。

「ブラック家への献上金を免除して欲しーわよ。」


「は?献上金を払うか貴族の地位を捨てるかどっちかにしろよ無能が!」


クリムはこれ以上口を開くことをやめた。


クリムの指輪は5個に減っていた。






「テイカー様、チーズ家も献上金免除のお願いをしたいと連絡を受けたのですが?」


テイカーはため息をつく。


この執事は無能なのか?


献上金を払わせるか貴族の地位を捨てるか2択しかない。


そんな簡単なことすらわからないとは。


「献上金を払うか、貴族の星を捨てるかどちらかしかない。」


「・・・・・かしこまりました。」







クリムとダンジョン攻略を進めるが、またクリムがミスを犯した。


クリムは俺の足を引っ張るばかりで俺の邪魔をしているのか?


「経営が苦しくてポーションがねーわよ。」


テイカーは無言でクリムの顔を殴る。

クリムはその場に倒れる。


無能の豚には殴って分からせてやるしかない。


まったく、世話が焼ける。


俺の教育が無ければまともに動くことすらできない。


クリムの指輪は3個に減っていた。






「テイカー様、ワイン家が貴族の星を捨て、ワイン家の領地はブラック家の物となりました。」


「そうか。」


ワイン家か、自分の無能を認めたという意味では、まだましだったな。!

ふ、俺がすぐに経営を軌道に乗せてやる。

これで俺の領地が増えたな。




クリムは学校をしばらく休み続けた。


クリムか、あいつなど居なくても問題なくダンジョン攻略が出来る。


いや、あいつが居ない方がうまく進める。


テイカーは一人でダンジョンの奥へと進んだ。


ダンジョン5階


「くそくそ!魔物に囲まれた!」


テイカーは30体以上のキックラビットに囲まれていた。

スラッシュのスキルを連発し、魔力が切れてくるとライフスラッシュを連発した。

無事にキックラビットを討伐する。


「は、ははは!雑魚どもが!俺にかかれば余裕なんだよ!」


だが、ライフスラッシュを連発したことで、血が止まらない。


「な、なんだ!さっき受けた傷が塞がらない。血が止まらない。」


テイカーは血だらけになりながら帰還し、ポーションを飲むことで傷を塞いだ。


「クリムか、し、仕方がない。俺だけダンジョン攻略を進めたら俺が強くなりすぎる。あ、あいつの為に待っててやるか。」




その頃、クリム・ポーションは、領主が貴族の星を返却することを決め、王都へと向かっていた。


このままテイカーと一緒に居たら殺される。


それよりは貴族の地位を捨て、冒険者になった方がましだ。


クリムはブラック家の学校に戻ることは無かった。


クリムの指には1個だけ指輪がはめられ、新たな道を歩み始めていた。



傘下貴族、本来の役割は、格上の貴族が、下の貴族の領地を発展させるために存在する。


だが、テイカー・ブラックは逆に下の貴族から金を吸い上げ力を奪い続けた。


ベーコン家・チーズ家・ワイン家・ポーション家4つの貴族は星を失い、その領地はブラック家の物となったが、多くの領民がブラック家以外の領地に逃れた。


ライバルの少なくなったホワイト家の燻製・チーズ・酒・ポーションの売り上げはどんどん上昇し、ホワイト家の経営はどんどん良くなっていく。


領地が広くなり喜ぶテイカーだが、領地が広くなるという事は、魔物や盗賊の討伐範囲が広がるもろ刃の剣でもある。

うまく管理出来なければ逆に自身の首を絞める結果になりかねないのだ。


大貴族のブラック家、強大ではあるが、

その力は少しずつ弱まっていた。


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