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19話 元は取れたかも知れない

 ヴェロキラプトルと言う恐竜は、某映画まではあまり一般的では無かった。無論、マニアの間では知られていたが。

 通常ヴェロキラプトルという言い方はされず、略称のラプトルで呼ばれることが多い。

 日本で発見されたフクイラプトルなんてのも居るが、これはいわゆるラプトルとは別物だ。

 なんで、こんな話をするかって言うと、その名を与えられたモンスターがいるんだよ。


 ☆ラプトル

  ・レベル 8~9

  ・体長 1.5メートル

  ・攻撃方法 噛みつき 前足の爪

  ・使用魔法・スキル 咆哮

  ・弱点 頭部 背中中央部

  ・魔石 アンバー(ランクA サイズ1)380円 記憶素子

  ・その他のドロップ品 牙 爪 胆石

  ・その他の特徴 小型の二足歩行恐竜 4匹以上の集団で行動 

  ・棲息ダンジョン名及び深度 アラスカ、台湾のダンジョンで目撃 表層部


 限定的なダンジョンにしか居ないモンスターなのだが、恐竜好きの俺はデータを頭に入れていた。

 恐竜はロマンだ。歴史に埋もれた神秘、そして、その造形美。すんばらしい。

 無論、それは本の中だったり、CG作製されたTV画面の中ならばの話だ。

「お兄ー! こいつら動き速すぎ!」

 碧の声がダンジョン内に響く。

 ここは、何時もの『お城の周りをぐ~るぐる作戦』で回っていた既知のエリアだ。当然今までこいつらに会ったことなど無い。

 何時も通りの狩りをしていた際、いきなりこいつらが現れた。

 元々集団で行動するヤツらなのだが、この際現れた数は11匹。

 即座に魔法の連射で半数以上を殺すか行動不能にしたのだが、弾幕を逃れたヤツらが接近してきた。

 その中の1匹が立ち止まり息を吸い込む動作をするのが見えた。

「『咆哮』が来るぞ!、下っ腹に力を入れろ!」

 『咆哮』スキルは、その声を聞いた者に一時的な行動不能(スタン)を与えるモノで、レベル差がある場合や、前もって強く意識することで回避出来る。

 注意を促すと同時に俺も、ぐっと下っ腹に力を入れる。その上で、前方から走り寄ってくるラプトルにサンダー・ボールを放つ。

「雷撃・雷撃・雷撃」

 3発放ったものの、その内1発しか当たっていない。多少なりと誘導製のあるサンダー・ボールでコレだ、碧のファイアー・ボールやぺんぺんのアイス・ボールの命中率は更に落ちる。

 そんな着弾と同時に、地面を揺るがすかの様な『咆哮』がダンジョン内に響き渡った。

 多分、洞窟内と言う状況が反響効果を発揮しているのだと思う。音の大きさよりも振動として感じられた。

 身体が一瞬硬直する。時間にして0.2秒程だ。『咆哮』対策は完璧では無かったが、9割方レジスト出来た。

 だが、加速している体感時間の中の0.2秒は長い。

 そして、飛び跳ねる様に近づいてくるラプトルの速さも有って、どうしても焦りが生まれる。

 だが、そんな中、俺の左肩からぺんぺんのアイス・アローが放たれ、近寄ってきていたラプトルの左半身を貫いた。

 ぺんぺんは完全にレジストしたらしい。さんきゅー、ぺんぺん。

 0.2秒の硬直から回復した俺は、まだ硬直から回復していないらしい碧をフォローすべく、碧に向かって来ているラプトルに牽制として腰の短剣を抜いて投げる。

 その間、槍を持った右手からは俺の前方に居るラプトルに対してサンダー・ボールを放っている。

 投げられた短剣は標的のラプトルには当たらなかったものの、その進行を一時的に妨害することには成功した。

 そして、碧もスタンから回復した様だ。

「むっきー! ファイアー・アロー! ファイアー・アロー! ファイアー・アロー!!!」

 何か切れた様だ。魔力量(MP)の消費無視で、弾速が早いアローを連射し出す。

 放たれたファイアー・アローの1発が命中し、その個体を行動不能にする。

 そして、ぺんぺんのアイス・アローも1匹を殺し、その奥に居た個体にもダメージを与える。

 俺はその時点で、魔法の使用は止め、槍での攻撃に移った。

 碧も掃討に入り、瞬歩を使いながら動きの悪くなっている個体に止めを刺していく。

 エンカウントから殲滅までに掛かった時間は2分と掛かっていない。

 だが、楽勝では無かった。一歩間違えれば危なかったのも事実だ。やっぱり、先に進むのはもう少し控えるべきか。

「何よあれ! 身体動かなくなったよ!」

「『咆哮』スキルだよ、ぺんぺんの初期選択リストに有っただろ」

 何か、そうだっけ? って顔してやがる。そんなだから、せっかく俺が忠告したのにスタンに掛かるんだよ。全く。これで素の知力は俺より高いって…納得出来るかぁー! 管理者出て来いやぁ~。

「アレ地味にヤバいよ。ぺんぺんもアレ取れば良かったのに」

 碧がそう言いながらぺんぺんを突くが、ぺんぺんは無視している。多分、声を出すこと自体がイヤなんじゃ無いかって気がする。それ位声を出さないからな、ぺんぺんは。

「MP大丈夫か? アローを連発してたみたいだけど」

「大丈夫大丈夫、MP100はダテじゃ無いよ。次の『部屋』まで十分持つよ」

 ペン

 二人とも問題無い様だ。

「あっ、ドロップみっけ」

 碧が拾い上げたのは爪の様だった。琥珀色をした爪で、10センチ程の長さがある。魔石の色も同じ琥珀色で、結構見た目も綺麗だ。

「『鑑定』…そのまんま『ラプトルの爪』だって。『大きな爪』に錬成出来るみたい。中間体だっけ?素材になるみたいだよ」

「爪って事は、武器とかになるパターンか?」

 結局11匹中ドロップしたのは1匹だけで、『ラプトルの爪』しか手に入らなかった。他に『牙』と『胆石』もドロップするはずなのに… やっぱりリアルラック値に問題があるのか?碧の。

 魔石などを回収後、さっきまで以上に警戒をしながら狩りを続けた。

 そして、その後、オークから『盗む』で『低級回復薬』を手に入れ、初めてグリーン・ゴブリンから『香木』のドロップを得た。

「香木来たぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 拾い上げた長さ30センチ程の木片を、頭上に掲げた碧はクルクルと回っている。喜びを全身で表すタイプなんだよな。俺的にはチョット引くけど。

「お兄ー、伽羅だって、伽羅!」

 伽羅、ダンジョンが現れるまでは、グレードによっては1グラム4万円以上していたと言う意味不明なものだ。

 グラムだよグラム… 危ない薬じゃ有るまいし、って思うよ。低いグレードのものでも1グラム2万円台… アホかと。

 今でもキロ10万は楽に越えている。かなり相場の値動きがあるんで、ハッキリはしないけど、10万を切ることは無い。

 どう見てもただの木片なんだけどな… 燃やせば臭いのするただの木片。まあ、ニーズが有るって事は価値を認めている者が居るって事なんだろうけど、俺には分からん。

「10万円♪ 10万円♪ ラララ10万円♪」

 周りながら歌い出したよ。

「低級回復薬もちょうど1個手に入ったし、明日辺り売りに行こうか」

 碧の白鳥の湖がピタっと止まった。

「おおっ、やっとまともな収入がぁ! ね、ね、いくらぐらいになる? 50万は超えるよね」

「ああ、低級回復薬だけで今日のも入れて5個有るし、伽羅も入れれば60万円、魔石も入れて65万円は最低でも行くと思うぞ」

 きやっほー、とか叫んでまた回り出した。今度は逆回転だ。

「今度は電車で行きなよ、それなら往復も早いしさ。それ位の出費は問題無いでしょ」

 回ったまま、そんな事を言ってくる碧。…まあ、確かにバイクで行くより日数的には確実に1日以上変わっては来るんだけど、どうすべ。

 電車も新幹線なんかを使わなきゃそこまで掛からないんだけど、バイクで行くよりは倍以上掛かる。往復で3倍以上。

 ただ、浮いた日数でダンジョン探索をすれば、『低級回復薬』などを入手出来る可能性が増える訳で、もし手に入ればその方がトータルとして得な訳だ。

 金銭に逼迫していない現状としては、電車で行った方が良いかも知れない。うん、全ては効率の名の下に。

「分かった、そうするよ」

 その後時間まで狩りを行い、午後は翌日の準備を行った。

 ちなみに、この時点まででパラメーターを上げられたのは、ぺんぺんのみで、碧はもちろん俺も貯金残高が足りない。先が長そうだ…


 翌日は、早朝から地元の駅より電車にて移動して行く。

 無論、特急券なんぞ買う訳も無く往復券での購入をしただけだ。と言ってもJR分だけだけどね。

 何本かの電車を乗り継ぎ、最後はモノレールで摂津市に到着した。早朝5時過ぎの電車で発った事も有り、10時過ぎには目的地へとたどり着いた。

 先ずは売却だ。

 前回売却した貴金属買い取り店へと行き、リュックから全てのものを出した。

「多いですね」

 さすがに店員も驚いた様だ。まあ、普通は纏めて持ってくるってケースは滅多に無いだろう。ダンジョンの目と鼻の先に有る店だから、帰り際に直ぐに売却出来るのだから。

「細々売るのが面倒だったんで、纏めてです。1ヶ月チョット分です」

 店員は、別の従業員を呼ぶと、魔石と金属塊を先に確認し、次に香木を計り、一番最後に『低級回復薬』を調べた。

 直径15センチで高さ10センチ程のスポンジケーキ型の器具の中央に空いた穴に『低級回復薬』を差し込んでいる。

 そして、ボタン操作をした様で、ピッピッピッピッピーと言う小さな電子音が流れた。

「なんですかそれ?」

 思わず俺が聞くと、チョット驚いた顔で俺を見た店員は説明してくれた」

「ポーションを売却されるのは初めてなんですね。これは鑑定器です。中身が本物かをこれで確認してるんですよ。まさか、管理機構みたいに一々ダンジョンに入って『鑑定』する訳にはいきませんから」

 最後は少し苦笑気味だった。ま、確かに、中に水でも入れて持ってこられたら確認しようが無いわな。1度開ければ劣化するって言われてるから、開けて味見する訳にも行かないし。

「なるほど」

 納得だ。しかし、どうやって鑑定してるんだろうか? 赤外線とか超音波とか使ってるのか? 『ポーション』って言ってたから、他の解毒剤系とかも調べられるんだろうな。ハイテク恐るべし。

 店員は次々に『低級回復薬』をはめ込んで確認を続けている。

 そんな店内には、確認の為に先程僅かに削ってそれを熱した事によって発生した伽羅の香りが漂っていた。

「はい、全て確認終了しました。数の確認をお願いします」

 リスト化された売却品の数量を確認する。うん、問題無い。

「では、こちらが現在の買い取り単価となります。そして、それで買い取った際の合計がこちらです」

 単価の方は無視して、合計を見ると、72万1560円となっていた。おぉー予想より高い。

 単価表を見ると、伽羅が15万2千円だったようだ。木片のくせに凄いじゃ無いか。木ぎれ扱いしてごめん。

 特段に問題がある訳も無く、その買い取り金額を了承して売却を行った。

「またのお越しをお待ちしております」

 店員の丁寧な言葉を背に、俺はほくほく顔で店を出る。

 72万だ、72万。ダンジョン周りに使った費用は確実にこれでペイ出来た。

 って言うか、それを考えなければ、家代を稼げたことになる。なんたって65万円だったし。その後の引っ越し費用を入れても賄えるのでは無いかな?

 …やっとだ、やっと、生活していけるだけの収入が手に入った。例え、3人がかりで2ヶ月近く掛かっての金額とは言え、十分な金額だ。

 持ち家ってのは大きいな。なんせ、月々に家賃って言う巨大出費が無い。

 現状、(うち)の月々の出費で一番大きなのは、俺の国民年金代だったりする。

 実際、3人で生活するだけなら、月6万円もあれば十分に生活出来る。つまり、今日の収入で1年間の生活費を稼いだことになる。

 もちろん、税金とか、自動車の任意保健代とかを月割りで入れた上でね。

 そんな事を考えると、自然に顔がほころんでしまう。このまま気が緩んだままでは危ないので、とっととお金は口座に放り込む。

 貴金属買い取り店の3軒隣りに有った都市銀行で、自分の口座に振り込む。手数料は掛かるが、持ち運ぶ勇気は無い。

 そんな感じで、色々な意味で身軽になった俺は、『大阪ダンジョン』へと入るべく、道路を渡って『管理機構大阪ダンジョン支部』へと入って行く。

 立ち番の自衛官と、総合案内に軽く会釈して、奥のダンジョン受付へと向かった。

 受付嬢は以前の人とは違い、別の20代後半の女性だった。茶髪のクリックリの髪だ。俺は以前の人の黒いストレートの方が好みだな。

 そして、ダンジョン立ち入りの手続きをして、大型のスポーツバッグからプロテクター類と、段ボールでグルグル巻きにした短剣を出して装備する。

 そして、バッグや段ボールを、荷物の受け渡しカウンターで預ける手続きをした。

 これで準備完了だ。

「お気を付けて」

 柵式のゲートを開けながら送り出してくれた受付嬢に黙礼して、鉄扉に向かいドアを開けで吹き抜けのホールへと出る。

 ちょうど、その時、5人組の『冒険者』が地下鉄入口状のダンジョン出入り口から出て来た。

 全員が30代の男で、手製らしいアルミ製の防具を身に纏っている。

 彼らを避けて、脇に退くと、彼らは俺をじろりと睨んでいく。…やっぱ、ガラが悪いな。

 間違ってもダンジョン内では会いたくないよ。

 外国人によるダンジョン内犯罪は有名だが、別段外国人だけが行っている訳ではない。その国の者の中にも当然そんな者は居る。ただ、数値化した場合の数が圧倒的に違うというに過ぎない。

 よし、誰かと会ったら、速攻で逃げよう。

 さて、では行きますか。本日の予定は、午後5時までの約6時間だ。表層をウロウロしよう。

 先ずは、『転移』のポイントをここの入り口に設定する。よし。

「『マッピング』」

 何時も通り自動マッピングスキルを起動してゆっくりとダンジョンに入って行く。

 今回は、前回の様に地図を見る必要は無い。入り口付近の地形は頭に入れているし、『マップ』スキルもあるので視線が手元に集中する愚を犯さずに済む。

 最初はやはりこのダンジョンで一番多いサーベル・ドッグだった。1匹だったので、魔法は使用せず短剣のみで殺す。

 突っ込んで来て首筋に噛みつこうとするのを、十分に(たい)をかわし短剣で首を切り上げる。

 典型的な負け犬声を出したサーベル・ドッグは、床を転がりのたうっている。

 多分5分と掛からず死ぬのだろうが、待つ訳も無く、近寄って腹部を蹴り上げ壁へと叩き付け、動きが止まった所で脊髄部分を刺し貫く。

 骨が砕けた感覚を感じて5秒もすると、サーベル・ドッグは黒い(かすみ)と成って消えた。

 ま、こんなモンか。剣はあまり使ってないからな。でも、レベル2~6帯なら問題無いだろう。

 その後も、ブルー・コモド、ジャイアント・バット、イエロー・キャタピラーなどを剣中心で殺していく。

 集団で現れない限りは、全て剣と蹴りだけで対処する。ちなみに靴は安全靴だったりする。買っちゃったよ。重いけど良いんだよ。蹴りまくっても痛くない。良い買い物をした。足が蒸れるけどね。

 時折『部屋』で休憩を入れながら、ゆっくりと狩って行く。実際、俺の目的は『狩り』では無く、ここに潜ったと言う実績作りなので、出入り口でウロウロすればそれで問題無い。

 ただ、何もしないのも流石にもったいないので、弱いモンスターを相手に、剣のリアルスキルを上げる訓練に当てている。

 短剣は直刀で、刀の様に切ることを目的としたものでは無いらしいのだが、だからといって『切る』という動作が不必要という訳でも無い。

 当然、ただ叩き付けるよりも引くことで切れ味は格段に上がる訳だ。ただ、刀と違って形状がそれに適していないという問題がある。

 それをイエロー・キャタピラーなどの比較的動作の鈍いモンスターを相手に、試行錯誤する。

 長く引き延ばされた体感時間を利用して、どうすれば切れるか、どうすれば一番力が入るか、等少しずつ変化を加えながら試す。

 ある程度その方法を身につけると、今度は集団戦での効率的動きの為に、2匹の状態を作りまた試行錯誤していく。

 そんな事を繰り返すと、あっと言う間に5時間が経過した。腕時計から流れるアラームを消し、俺は帰途につく。

 『転移』はやはり使わない。近いしね。

 それにしても、ここは歩きやすい。

 自分()のダンジョンに本格的に入っただけに思う。ここの表層は歩き易すぎだろう、と。

 (うち)のダンジョンの様に、石柱も石筍も無い、それどころか張り出した岩すら無い。見通し良すぎだ。

 まるで大きな四角い地下通路の様だ。自然物感が全く無い。

 何でも、表層部分のみがこうらしい。それ以降は全く違う状態になっているとか。

 多分、(うち)のダンジョンも途中から違う景色になると思う。場所によってはゲームの様にマグマが流れている所もあるらしい… そんなのが無い事を祈ってる。

 そんな事を考えて出口に向かっていると、人の声が聞こえてくる。しかも女の声だ。

 色々面倒なので、しばらく止まって行き過ぎるのを待ち、1分程置いて歩き出す。…モンスターより人間の方が面倒くさいな。

 そのまま、出口を抜けて、鉄扉のドアを開けると、受付に4人の女性が集まっていた。

 多分さっきの声の主達だろう。多少の開きはあるが全員が20代だ。女性の『冒険者』は数が少ないので、この偶然はかなりレアだろう。

 ま、見たからって、何って事でも無いんだけどさ。まあ、珍しいものを見たって事だ。

 手続きをしている女性以外の3人がゲートの開く音で俺の方を見た。……化粧っけが無いこともあるんだろうけど、…いえ、何でも無いです。はい。

 碧はあんなに成らない様にしないとな。嫁のもらい手が… いや、人の心配を出来る状態じゃ無いって話もあるんだけどね…

 アニメや小説なら、ビキニアーマーを着ている所なんだろうけど、そんな訳も無く、手製らしい厚手の皮にアルミプレートが付けられた鎧を全員が着ていた。

 そして、3人がジュラルミン製っぽい機動隊が過去使用した様な楯を持っている。タワーシールドに近い大きさだ。アレよりは短いけど。

 唯一の楯を持っていない女性は、槍を携えている。

 装備や雰囲気からし、昨日今日潜り始めた人達では無さそうだ。多分、女性パーティーでは名が通ってるのかも知れない。

 手続きが終わって、俺の前を通りがかった彼女達は、俺を一瞥すると、フンと鼻で笑って出て行った。…良いけどね。

 そして、俺も手続きを済ませ、預けていた荷物も受け取り、短剣は来た時と同様段ボールに包み、ガムテープでグルグル巻きにする。

 これは、武器を移動する際の規定で、『外観から武器を所持していると分からない様にすること』『武器は直ぐに使用出来る状態にはしないこと』と言う規定に基づくものだ。

 銃器の持ち運びよりは大分緩い規定ではある。

 剣の処置が終わると、プロテクターを全て外しスポーツバッグに入れて完了だ。

 この装備を脱着する場所は、この部屋の隅に作られていて、この場所以外にも女性用の部屋も存在している。さっきの女性達はその部屋に向かったんだろう。

 準備が終わった俺は、受付嬢達に黙礼してその場をたった。

 そして、来た時と同じようにモノレールや電車を乗り継ぎ自宅へと向かう。

 帰り着くのは多分午後9時ごろだろう。

 しかし、やっぱり電車移動は早いな。例え鈍行(普通)列車でもだ。日帰りが出来るとは。

 俺は、換金、実績作り、剣のユーザースキル上げと言う目的を遂げ、気分良く電車に揺られた。

 行きと違い、リュックに20キロ以上有る金属塊が無いことも、その気分を上げている要因の一つだったりする。

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