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Data.87 違和感の激戦区

剛速投法(ごうそくとうほう)!」


 忍者の刃がリオに刺さる前に、マキノの手裏剣が忍者に突き刺さった!


「ぐおおおおおおっ!?」


 手裏剣が当たったのは頭! 大きくのけぞった忍者の胸はがら空きだ!


「鹿角突き! 雷虎影斬!」


 心臓を突き刺し、刃を抜かずに腰の方へと斬り抜ける! 特に分厚い防具を身に着けていない忍者はこのダメージであえなく消滅した。


「ふぅ……。マキノが先に気づいてくれなきゃ危なかったよ」


「助けていただいて、ありがとうございます!」


「背後を取られたあなたたちと違って、私からは回転する壁がよく見えたというだけよ。それにさっき倒した忍者に仲間がいることはわかってたもの」


 マキノは屋根裏から降り、マップを開いた。マップにはバトロワのフィールドが表示されているだけでなく、残り組数と人数、戦闘領域が縮小されるまでの時間が表示されていた。


「屋根裏の忍者を倒した時、人数は減ったけど組数は減らなかった。つまり、忍者の所属するパーティはまだ全滅していない。そして、序盤からパーティメンバーが大きく離れて行動することはまずない。ゆえに武家屋敷のどこかに仲間が残っている可能性が高いとわかるわけね」


「なるほど~。それで壁から来た忍者を倒した時はどうだったの?」


「同じく組数は減らなかった。つまり、あと1人は近くに敵がいるってことね」


「今度は不意を打たれないように一層警戒しなきゃ!」


 まだ気配を探る力は完璧じゃない。他のことに気を取られてると、すぐに集中力を失ってしまう。


「ただ、この武家屋敷はフィールドの端っこの方にあるから、戦闘領域の縮小が始まったらすぐに闇に()まれてしまう。あまり臆病になって探索に時間がかかってもいけないわ」


 戦闘領域の縮小とは……えっと、戦える場所が時間と共に狭くなるということだ。


 マッチ開始時はフィールドのどこにいても問題はない。でも、ずっとそのままだとプレイヤー同士がなかなかぶつからず、決着にも時間がかかってしまう。


 そこで役に立つのが、時間が経過するごとにフィールドの外側から闇が迫って来て、戦える場所をどんどん減らすというシステムだ。


 闇に飲まれたら即死というわけじゃないけど、闇の中は視界が悪く、中にいるだけで微量のダメージを受け続ける。とてもじゃないけど、戦える環境ではない。


 なので、プレイヤーたちは闇の外を目指して移動する。移動すれば、他のプレイヤーと遭遇する確率も上がる。こうしてテンポよくプレイヤーを減らしていくんだ。


「……少し動きがおかしいわね」


 マキノはマップとにらめっこしている。今はゲーム開始直後で、まだ闇は発生してない。


「何がおかしいの?」


「組数の減り方よ。予想よりもかなり早い気がする……。フリーのバトロワは負けるとレートが下がるとはいえ、リスクはその程度。しかし、今回の新参者限定バトロワは1回きりの大勝負。みんな慎重になって、後半までなかなか数が減らないのが通例……」


「今回の参加者は血の気が多いんじゃない? ほら、私みたいにさ!」


「そういえば、あなたが速攻で1パーティ沈めてたわね。そう考えると、まだ気にするほどの変化ではないかも……。うーん、ごめんなさい。先を急ぎましょう」


 マキノはまだ納得がいかない様子だ。彼女のことだし、今までのバトロワの結果も調べ上げてるんだと思う。そんな彼女が違和感をぬぐえないと言うのなら……油断ならないわね、この勝負。


 リオにもそれは伝わっているようで、表情がさらに固くなっている。屋内では彼女の砲の力は発揮しきれないし、早く武家屋敷の探索を終えて外に出よう。


 そして、探索すること数分……。私たちは他のパーティどころか、残り1人いるはずの忍者の仲間にすら出くわさずに探索を終えた。


「かなり丸薬が集まったけど、敵ももう少しいると思ってたなぁ」


 忍者の仲間が逃げるのはわかる。3対1で私たちに勝てるはずはないし、バトロワの目的は最後まで生き残ること。


 上手く逃げ回って最後の2パーティになれば、不意打ちで勝利を収める可能性はゼロじゃない。最後まで希望を捨てないなら、あの場から逃げるのも悪くない。


 でも、他のパーティの動きはよくわからないとマキノも言っていた。わざわざ激戦区に降り立ったのに、あまり丸薬の回収を行わずさっさとどこかへ行ってしまった。


 おかげで私たちはたくさん丸薬を手に入れたけど、何か釈然(しゃくぜん)としない……。


「強気に降りてみたけど、やっぱり怖くなって逃げた……ということに今はしておくわ。不自然さは感じるけど、それで私たちの行動までおかしくなっては意味がない。まずは手に入れた丸薬を食べて強化を済ませましょう」


 丸薬は食べるまで効果を発揮しない。なら、手に入れた瞬間食べた方がいい気もするけど、場合によってはあまり必要ない能力を強化してしまったり、味方が欲しがっていた丸薬を食べちゃったりする。


 しかし、それを避けるためにいちいち種類を確認していては、不意を突かれる危険性が高まる。なので序盤はまず集めるだけ集めて、落ち着いたらパーティで集まって丸薬を分けるというのがセオリーらしい。


 ちなみにゲーム展開が早くなって余裕がなくなる終盤は、手に入ったら即食べろということになっている。


「ステータスを開いて、丸薬一覧を表示!」


 みんなが持っている丸薬が一斉に表示される!

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